記者会見で鉄鋼に対する関税率引き上げについて話す欧州委員会のセジュルネ上級副委員長(右)とシェフチョビッチ欧州委員=7日、仏ストラスブール(EPA時事) 【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)欧州委員会は7日、無関税の輸入枠を超過した鉄鋼に対する関税率を現行の25%から50%に引き上げる方針を発表した。無関税枠も2024年比で半減させる。米国と同水準の関税率とすることで、安価な中国産鉄鋼の流入を抑え、低迷する欧州鉄鋼業の立て直しを図る。実施には加盟国と欧州議会の承認が必要となる。
セジュルネ上級副委員長(産業戦略担当)は仏ストラスブールでの記者会見で「鉄鋼業では昨年だけで1万8000人の雇用が失われた。これを止めなければならない」と指摘。シェフチョビッチ欧州委員(通商・経済安全保障担当)も「欧州の製鉄能力を持続可能な水準に戻す」と述べ、中国の過剰生産が域内市場に及ぼす影響を抑える必要性を訴えた。
欧州の鉄鋼メーカーは、米国の高関税措置で輸出先を失う一方、域内市場では中国産との競争が激化している。設備稼働率は67%に低下しており、今回の措置で80%程度への回復を目指す。