
今季最終戦で放った20号本塁打が、日米通算250号のメモリアル弾となったDeNAの筒香嘉智(33)。シーズン中盤まで不調に苦しんでいたが、筒香には「(原因となっていることが)直れば打てる」という自信があった。転機を迎えた8月中旬以降は14ホーマーと完全復活。2位でのクライマックスシリーズ進出に、貢献した。
昨年から悩んでいた重心のズレ日本球界への復帰2年目は、不安を抱えてのシーズン入りだった。「かかとに(体重が)かかって、へっぴり腰みたいになる」。体調は万全だったが、昨年から悩んでいた「重心のズレ」が直らず、開幕後も試行錯誤を重ねていた。
2016年には44本塁打を放ち、本塁打・打点の二冠王に。これまでの経験と技術で、「練習は何とかできた」が、「やっぱり崩れたままでは試合では打てない」。7月7日に2度目の登録抹消となった。それでも「これが直ったら勝負になるなという感覚があった」。復調への糸口を探し、2軍調整の間も全体練習とは別に毎日3時間、黙々とバットを振り続けた。
「打てるっていう感覚に戻った」約1か月の再調整期間も「打てる感覚」は戻りきらず、不安な状態のまま8月7日に1軍へ。だが、その瞬間は急に訪れた。13日のヤクルト戦(神宮)で6回に代打で出場し、53日ぶりとなる7号3ラン。試合前練習で「完璧に戻ったっていう感覚があった」という。
過去には「かかとに重心がかかる」ことを嫌い、自らタイヤを切って作ったサンダルを履いて身体の感覚を研ぎ澄ませるなど、日頃から「重心」や「感覚」を大切にする筒香。かかと重心になることで「(身体が)突っ込んで、足が我慢できないから、変化球振るし。足の反応ができないからストレートに振り遅れるしって感じだった。足が決まったから、もう『打てるっていう感覚に戻った』という感じ」と、振り返る。
|
|
思っていたとおり、結果はすぐに現れた。24日の巨人戦で8号ソロ、いずれも阪神戦の8月26日には2打席連続、27日には7年ぶりとなる3試合連続アーチ。さらに30日の中日戦では1試合3本のアーチを描くなど打ちまくり、月間8本塁打と存在感を示した。調子が上がっても、打席に入るときは「無」だという。「練習も試合も変わらない。それが一番いいよ」と“心の重心”にズレはない。
11日からは、チームとしては2年ぶり、筒香にとっては渡米前最後のシーズン、2019年以来6年ぶりとなるハマスタでのクライマックスシリーズが始まる。前回は3試合で2本のホームランを放っている筒香。「ホームだからファンの方も盛り上がる。それを力に変えて頑張ります」。2年連続の日本一へ、頼れる男の一振りでハマスタを沸かせる。