シリアスななかにも熱さを感じる曲!あらき・堀江晶太「9-nine- Ruler's Crown Double Single」リリース記念インタビュー

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2025年10月11日 14:20  アニメ!アニメ!

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アニメやゲームの主題歌、テーマソングなどを歌うアーティストに楽曲について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2025年10月号には、『9-nine- Ruler's Crown Double Single』をリリースしたあらき・堀江晶太が登場。

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新たな熱量を感じさせるメロディとボーカル

――堀江さんは、原作ゲーム『9-nine-』シリーズでも多くの主題歌の作・編曲を手がけられています。アニメ『9-nine- Ruler's Crown』のOP主題歌「ResoNAnce」の制作にあたり、依頼があった際の感想を教えてください。

堀江テレビアニメ化が決まって、長くお付き合いのあるプロデューサーさんから「OPをお願いしたい」とお話をいただきました。思い返せば、6、7年ほど『9-nine-』に携わらせていただけていたので、今回のオファーもとてもうれしく思います。

――OP主題歌「ResoNAnce」は、あらきさんの歌唱ですが、男性ボーカルは『9-nine-』シリーズの主題歌では初めてですね。

堀江お話をいただいた段階で、アーティストはあらきさんに決まっていました。おっしゃるとおりこれまでは米倉千尋さんが主題歌を担当されていたので、男性ボーカルだったことに驚きました。また、ゲーム関連楽曲で男性ボーカルがフィーチャーされることもあまりなかったので、責任重大だなとも感じていました。

――あらきさんは、OP主題歌の歌唱のお話があったとき、驚きはありましたか?

あらきビックリ仰天でした。私自身、ソロでアニメの主題歌を担当することがあまりなかったですし、何よりこれまで米倉千尋さんが主題歌を担当されていたので、原作ファンの方も複雑な思いを抱くのではないかと思ったんです。ですが、光栄なことでもあるので、ぜひという気持ちと、複雑な思いもねじ伏せたいという思いでお引き受けしました。

堀江歴史のある作品に新しい方が入ってくると、ワクワク感と同じくらい、自分でいいんだろうかという気持ちになりますよね。

あらき歌い終わったいまは、「私でよかった」と思えるくらいの自信はありますよ(笑)。

――『9-nine-』シリーズ初の男性ボーカルであることやアニメの曲ということで意識された点はありますか?

堀江『9-nine-』シリーズは、一貫してシリアスな空気があって、これまでの楽曲でも緊迫感のようなものはモチーフとして入れていたんです。それをアニメのOPでも踏襲しようという気持ちでした。ただ、これまでの曲以上に、『9-nine-』という作品の世界が持つ熱や爆発するエネルギーは色濃く表現したいなと思っての制作でしたね。ボーカルに関しては、男性だからというよりもあらきさんに合った楽曲を作ることを意識しました。あらきさんは、エネルギーを無制限に爆発させることができるタイプのシンガーなんです。しかも、その爆発させたエネルギーをコントロールできる。エネルギーを放出するまでのライン作りもうまいので、それを生かしたかったんです。

あらき私は曲を聞いたとき、やたらとキーが高いなって思ったんですよ。

堀江申告してくれたら下げるつもりだったんですが、何も言われなかったのでそのままにしました(笑)。これまでにあらきさんとご一緒したことは何度もありますが、いまでも限界値が掴みきれないんです。だからこそ、どこまで歌うのかは、すべてあらきさんに任せたんです。

あらき仮歌が入っていない段階で、メロディのデモを聞いたとき、緻密な構成と美しいサビの仕上がりで、しかも熱さを内包していて、これぞ堀江さんだなと感じました。曲を聞いて、男性が歌うのだから人間くささみたいなものも乗せたいなと思って、自分が得意としている力で押すような歌い方ではなく、もっとエモーショナルな歌い方ができればと思いました。

――歌詞は、これまで原作ゲーム『9-nine-』シリーズの主題歌の作詞を担当していた山口たこさんが手がけていますね。

堀江私はいつも、まずメロディをある程度作って、アレンジもそれなりに固まったところで歌詞をお願いするんです。今回も同様でしたが「ふさわしいフレーズが浮かべば、メロディを変更するので、言葉を無理にメロディに当てはめなくていいです」と伝えていました。山口くんはアカデミックな音楽知識を持っていて、総合的な音楽スキルがすごく高いんですね。今回も楽曲全体の抑揚を理解したうえで、作品の持つ緊張感、無機質なシリアス感がありつつも、熱い感情がくすぶっているところも美しく描いてくれている。メロディが喜ぶ歌詞を付けてくれたなという印象です。

あらき楽曲制作当時のマネージャーが『9-nine-』にとても詳しく、日常が急に非日常になり、能力系のバトルがあるジャンルだということを教えてもらっていました。歌詞はまさにその非日常感を言葉に落とし込み、緊張感もうまく表現されていて。歌う際にもその緊張感を声に持たせつつ、メロディの美しさ、タイトル「ResoNAnce」が示す音の響き具合も意識していこうと思いました。

――レコーディングは、あらきさんがおひとりで行ったそうですね。

堀江あらきさんのレコーディングはブラックボックスなので、一回も立ち会ったことがないんですよ。

あらきエンジニアもついていなくて、レコーディングから納品まで全部ひとりでやっているんです。むしろ、堀江さんに見られていたら、緊張で歌のクオリティが下がったかもしれません(笑)。

堀江ディレクションをしながら録るほうが良いものができるわけではないからね。曲に対してイメージとロマンを持って向き合ってくれれば、どんな場所でもいいものは生まれると思うんですよ。

あらきでも、今回は資料や仮歌もしっかりと準備していただいたので、かみ砕きながら歌うことができましたよ。最初はスタジオで録る話もあったんです。そうしたら、堀江さんやほかのスタッフさんから「あらきさんは長年ひとりでやってきていて、機材も揃っているから任せちゃって大丈夫です」って言われて。そこまで信頼していただけたことが、心強かったです。

堀江制作の段階で、ディスカッションをしたいという要望があれば話しますが、制作陣の思いが向かっている方向が一緒なら、各々がそこに向かっていけばいいという考えなんですね。もちろん、今回の曲作りに関しては、あらきさんやメーカーさんと打ち合わせをしましたが、それ以降は追加の打ち合わせもなく、レコーディングが終わりましたね。私としては、あらきさんに預けたものなので、多少自分が考えていたものとニュアンスが違っていても、とくにリテイクなどは出さなかっただろうと思います。歌というのは、完璧さを求めるよりも、偶発性もあってこそ魅力が出るものだと思っていますから。

あらきだからこそ、人間くさい部分が曲に乗って、よりよく響くんだと思います。

堀江私もあらきさんもバンドマンライクなところがあって、きっちり完璧に仕込まれたものを作るよりも、ちょっとはみ出したくらいのほうがおもしろいと思っちゃうんですよね。自分の内側にあるものだけじゃないもので構築したほうが、人とやる意味があるみたいに考えるでしょう?

あらきそうですね。自分も100点よりマックスを狙いたいタイプです。

――歌が乗ったOP映像を見たときの感想は?

あらき恐れ多かったですが、自分の声がテレビから流れてくるというのはおもしろい感覚でした。

堀江自分は、もともと作品は終わってから一気見するタイプなんです。第1話、第2話あたりは、さらにフィードバックできるものがないか、映像をチェックするのですが、作り終えた曲はアーティストとリスナーのものという感覚なんですね。やはり長く携わってきた作品なので、キャラクターたちが動いているのは、シンプルにうれしかったです。

――楽曲として、ここをチェックして聞いてほしいというポイントはありますか?

堀江私としては、受け取った方に好きに楽しんでもらえたらという感覚です。「ResoNAnce」は、あらきさんの歌声を新しい要素として迎えたので、これまでの曲とはまた違ったエネルギーの発露もあり、その部分が印象に残る曲にできたなという気持ちでいます。

あらきAメロ、Bメロは低い声でダークに歌っていますし、これまでの『9-nine-』シリーズの主題歌とはまた違うエッセンスを加えられていると思います。フラットに聞いていただき、よりリスナーの方の耳に馴染んだらいいなと思っています。

――あらためて『9-nine-』という作品の、どんなところが多くの方に愛されていると感じていますか?

堀江緻密に練られたストーリーと伏線、スタイリッシュなバトル要素やミステリアスな仕掛けなど、精巧に舞台が作られているところです。そして、そういった品質の良さが下地にありつつ、熱くなるような人間臭さがちゃんと描かれているところですね。がんじがらめな状況を打破するのは、人の思いや愛情だと思うので、そういった全世代に共通のことが真っ直ぐ描かれているところもいいなと思います。

あらき私は、原作に詳しいわけではないのですが、アニメの第1話から怒涛の展開でアーティファクトやそれに伴う異能力が出てくることに中二心がくすぐられます。初見でも、多くの方を引きつける要素があると思いますので、放送後にあらためて一気見したいです。

――では、最後に読者へメッセージをお願いします。

堀江『9-nine- Ruler's Crown』のOP主題歌「ResoNAnce」は、カッコいい、おもしろそうと思ってもらえるような作り方を意識しましたので、ちゃんと役割を果たせていたらうれしいです。作品やあらきさんの歌声に興味を持っていただいた方は、ぜひ何度も聞いてもらえたらと思います。

あらき「ResoNAnce」は、『9-nine- Ruler's Crown』で描かれている、キャラクターの感情に寄り添えるような曲になったと思います。私もタイトルの「ResoNAnce」が示すように、作品と視聴者、ユーザーの皆さんの思いが響き合い、思いをつなげられる曲にしたいという思いで歌いました。作品に詳しくない方にも届くような、『9-nine-』の入口になれる曲を目指して歌いました。そう感じてもらえたらうれしいです。OP映像と合わせて、シリアスさや美しいメロディをチェックしていただけたらと思います。

Profile
あらき/ボーカリスト。2013年から精力的にネットミュージックシーンやライブで活動。ニコニコ動画・YouTubeでの総動画再生数は2億回を超える。

堀江晶太(ほりえ・しょうた)/ソングライター、アレンジャー、ロックバンド・PENGUIN RESEARCHのベーシスト、コンポーザー。ボカロPとしては、kemu名義で活動している。

Information
「9-nine- Ruler's Crown Double Single」
発売中
株式会社クリアレーヴ
2750円(税込)

テレビアニメ『9-nine- Ruler's Crown』の主題歌シングル。あらきが歌唱、堀江が作・編曲を担当したOP主題歌「ResoNAnce」と、米倉千尋が歌唱、堀江が作・編曲を手がけたED主題歌「Pale Blaze」の2曲を収録する。

(C)クリアレーヴ・マーベラス・グッドスマイルフィルム

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