左から坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)、サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)、野尻智紀(TEAM MUGEN) 2025スーパーフォーミュラ第9戦富士 10月11日、静岡県の富士スピードウェイで2025年全日本スーパーフォーミュラ選手権第9戦の決勝が行われ、サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)がポール・トゥ・ウインでキャリア2勝目を飾った。視界不良など安全上の理由から赤旗での早期終了となったこの第9戦のレース後、優勝したフェネストラズをはじめ、2位となった坪井翔、同3位の野尻智紀、そして優勝監督の舘信秀氏の4名が会見に臨み週末ダブルヘッダーの初戦を振り返った。
■サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)予選:1番手 決勝:優勝
――第9戦を振り返ってください。
「本当とても良い一日だったと思う。運も必要だなというふうに感じた一方、予選ではいい結果で終わったのもあって実力を出せたとも思う」
「このようにトップに戻ることができて本当にうれしく思っている。2022年に一度スーパーフォーミュラを離れたときは、またいつかチャンピオンシップを争うために戻ってきたいと思っていた」
「そして今日、アルゼンチン国歌を聞いて感動した。やっぱり戻ってきてよかったなと感じている。最近、家族の一員が亡くなったんだ。今日の優勝はその人に捧げたい」
――37号車は何が良くなったのでしょう?
「7月の富士の日曜日からセットアップの方向性を変えようということになり、それ以来とても乗りやすくなっている」
「37号車はここ2、3年パフォーマンスがあまり出ていなくて、姉妹車との差が激しかった。それをどうにかして近づいていきたい。僕にはとくにそういう気持ちがあった。そのために僕のほうからもいろいろ提案した。以前のスーパーフォーミュラでの経験を取り入れたり、アドバイスをしたりね。その結果、クルマが非常に乗りやすくなってきた。僕自身もパフォーマンスを発揮できるように感じ、自信につながっていったんだ」
「7月の富士もその後のSUGOも良い調子で走ることができ、なんとなく見つけた、解決してきたなと感じている。でも、まだ完璧ではないし、これからも少しずつ調整していかなきゃいけないところがたくさんあるけれど、方向性は見えてきたと思う」
――明日はドライになりそうですが?
「明日に関しては、今日と同じようにワン・ツーでここに戻って来たいと思っている。昨日ドライコンディションでフリー走行をこなしたなかではそこまで決まっていなかったが、明日に向けて、より良い結果を出せることを願っている。頑張るよ」
■坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)予選:2番手 決勝:2位
――2位の7.5点を獲得し、ライバルに差をつけました。
「できればレースをしてフルポイントが欲しかったなというところです。普通にレースしてればチャンスあったかなと思うので。どちらかというとハーフポイントになってしまって残念だったかなと思います」
「また、見ている方にとっても残念なレースになってしまいました。安全上の問題ですし、集団の後ろのほうは本当に何も見えないと思うので、レースを止める判断は間違っていなかったと思います」
「チャンピオンを獲ることが最終目標になるため、ハーフポイントとはいえ、しっかりポイントを重ねられたことは良かったです」
「今日の予選も含めて最近ちょっとギリギリのところでしのいでしのいでこの位置にいる感じですけど、噛み合えばまた優勝のチャンスが来るかと思うので、しっかり噛み合わせられるようにしたいなと思います」
――明日への意気込みをお願いします。
「明日はおそらくドライで走れると思うので、まずはすっきりレースを終えたいですね。走り切って、お客さん皆さんにもしっかり熱いレースを見せたいと思います」
「ここで、どれだけポイントを引き離せるかというのがすごく大事になってくると思うので、明日のレースは重要です。いま、トムスの2台がすごく上り調子なので明日も2台でそろっていいかたちでレースを終えられるように頑張ります」
■野尻智紀(TEAM MUGEN)予選:3番手 決勝:3位
――雨のなかで手応えを感じていたようですが。
「はい。本当にすごく手応えがあったなという印象です。どのチームも2台の差というのはそれなりにあるなかで、我々もそういった部分を感じていて、いろいろなトライをしながら毎戦やってきているわけですが、そこでひとつ何か良いものが見つかったような気がしています」
「それがドライでも活きるかどうかはまた別かなという気もしますが、今日は本当にパフォーマンスはすごくあったと感じていて、予選よりも確実に上がっていける感じでしたから、レースができれば……というところはありました」
――ドライコンディションでの手応えはいかがでしょう。
「昨日のフリープラクティスではすごくいい感じで、『これだったらトップ2ぐらいかな』と思って帰ってきたら、コンマ5秒も遅れて8番手ぐらいでした。なにかそういった時ほど、『じゃあここからどうする?』という悩みが結構深いのかなと思っていますが、幸い隣に良い参考になる岩佐選手がいてくれたので、参考にしながらクルマを仕上げていきます」
「明日の路面コンディションがどれぐらいのレベルになるかが分からないので……雨が降ってしまったことを加味して考えないといけません。割とタイムを出すセットアップにしていって、アグレッシブに行くしかないのかなという風には思ってます」
――ファンは巻き返しを信じていると思います。
「気が重いですが、それを跳ね返すのも僕たちドライバーの仕事のひとつでもあると思うので、精一杯やります」
「僕としても、チャンピオンシップ争いの中にいる状態で最終戦を迎えることは、そうでない場合と比べて人生の面白みがまったく違うと思っています。ですから、明日はなんとか良いレースをして最終戦までしっかりと権利を残して、『まだまだ自分もタイトルの可能性があるんだぞ』という状況で鈴鹿に行けるようにしたいです」
「ベストはポールポジションと優勝。当然、そこをまず目指してまずは予選を戦って、決勝も頑張りたいと思います」
■舘信秀(VANTELIN TEAM TOM’S) 優勝チーム監督
――ひさびさのワン・ツー・フィニッシュついて。
「最近のうちのチームにとっては夢のような結果ですね」
「36号車(現1号車)と37号車の差をいろいろと指摘されるときはなかったですけど、やはり同じチームで2台走らせる以上は同じような位置にいてほしいという思いがあるので、そういう意味では大変いい結果でした」
――サッシャ選手への評価は?
「もう本当にすごく良くなってきていて、これからも楽しみですね」
――両タイトル争いが楽しみになってきました。
「これもレースですよね。坪井くんとランキング2位以下との点も少し開いたし、チームもランキング2位になったかな? これでタイトル獲得の可能性が出てきたので面白くなってきたと思います」
[オートスポーツweb 2025年10月11日]