Netflix『今際の国のアリス』シーズン3を徹底解剖!佐藤信介監督が「撮影の裏側」をネタバレありで語る

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2025年10月11日 20:50  All About

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Netflixシリーズ『今際の国のアリス』シーズン3について、ドラマの詳細をお届けするとともに、佐藤信介監督のインタビューも公開。ネタバレありで『今際の国のアリス』の魅力を大公開します! © 麻生羽呂・小学館/ROBOT 
2025年9月25日に配信されるや否や、大好評のNetflixシリーズ『今際の国のアリス』シーズン3。気になるげぇむの内容や注目ポイントは? そして佐藤信介監督へのインタビューで明らかになった、撮影の裏側や意味深なラストシーンに込めた意図とは?

シーズン3について、映画ライターの筆者が“ネタバレあり”で徹底解剖します!

シーズン3は完全オリジナルストーリー

© 麻生羽呂・小学館/ROBOT 

2025年9月25日(木)より配信がスタートした『今際の国のアリス』シーズン3。Netflix週間グローバルTOP10(非英語シリーズ)で2位を獲得、世界87の国と地域でTOP10入りを果たし、日本のNetflix週間シリーズTOP10で1位を獲得しました。

シーズン2で原作通りに一度終わった物語なので、本作はオリジナルストーリーです。アリス(山崎※賢人)とウサギ(土屋太鳳)は結婚をし、幸せに暮らしていましたが、ウサギは死後の世界を研究しているリュウジ(賀来賢人)に導かれて、再び今際の国へ。

彼女を取り戻すため、アリスも再び今際の国へと旅立ちます。まずはシーズン3の主な登場人物とキャラクターをご紹介しましょう。

※山崎賢人の「崎」は正式には「たつさき」

【これからの内容はネタバレを含むためご注意ください】

シーズン3の主な登場人物

© 麻生羽呂・小学館/ROBOT 

アリス(山崎賢人)
カウンセリングセンターで実習中の大学院生。東京で起こった隕石落下事故の被災者。「今際の国」の記憶はほぼない。妻のウサギが行方不明になったことをきっかけに、彼女を連れ戻すために今際の国へ。
© 麻生羽呂・小学館/ROBOT 

ウサギ(土屋太鳳)
スポーツブランドに勤務。アリスと同じく隕石落下事故の被災者。亡くなった父のことが忘れられずに苦しんでいる。リュウジに導かれ「今際の国」へと行ってしまう。
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リュウジ(賀来賢人)
大学精神医学講座の教授。死の世界にとらわれ、「今際の国」に強い興味を示す。ウサギを再び「今際の国」へと導き、自身もげぇむに挑戦することになる。
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アン(三吉彩花)
今際の国でアリス、ウサギとともにげぇむを戦い抜いた仲間。その後、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しむ。アリスが今際の国へと再び旅立つのを助ける。
左がバンダ、右がヤバ © 麻生羽呂・小学館/ROBOT

バンダ(磯村勇斗)
シーズン2でげぇむを勝ち抜き「今際の国の国民」になることを選んだ。アリスの前にたびたび現れ、今際の国へ誘う。

ヤバ(毎熊克哉)
バンダとともに「今際の国の国民」になることを選び、運営側の人間としてバンダとバディを組んでいる。
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テツ(大倉孝二)
薬物中毒者で薬が手放せない。口は悪いが、次第に周囲の人々と交流していく。
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カズヤ(池内博之)
ヤクザ。殺人に関与した過去がある。強面(こわもて)だが、仲間のために戦う熱い一面もあり。
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レイ(玉城ティナ)
アニメオタクの大学生。頭脳系のげぇむで活躍する賢さがあり、げぇむ攻略のさまざまなアイデアを出す。
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サチコ(須藤理彩)
専業主婦。思春期を迎えた一人息子がいる。明るい性格でよくテツに突っ込んでいるが、実は家庭に問題を抱えている。
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ノブ(醍醐虎汰朗)
無職の若者。いじめに苦しみ、引きこもりに。実は母親思いの青年。
左がナツ、右がシオン © 麻生羽呂・小学館/ROBOT 

シオン(玄理)
スタートアップ企業のCEO。ストーカーに襲われた経験がある。負傷しながらも仲間に支えられて、げぇむに挑戦し続ける。

ナツ(吉柳咲良)
新米ダンサー。シオンのことを「ねえさん」と呼んでなついている。隕石落下事故の被災者。
© 麻生羽呂・小学館/ROBOT

イツキ(岩永丞威)
消防士。妹を大切にしており、あらゆるげぇむで妹を守ろうとする。
© 麻生羽呂・小学館/ROBOT 

ユナ(池田朱那)
イツキの妹。兄を頼りに生きている大学生。

シーズン3のあらすじ

東京で起こった隕石落下事故の被災者であるアリスとウサギ。「今際の国」の記憶はなく、2人は結婚し、幸せに暮らしていました。しかし2人の運命はリュウジという大学教授に出会ったことで大きく変化していきます。

死後の世界を研究しているリュウジは、「今際の国」についても調べており、アリスとウサギへインタビューを行います。そこでウサギが「亡き父に会いたい」という強い気持ちを抱いていると知り、ある人物の協力を得て、彼女を「今際の国」へと導きます。
© 麻生羽呂・小学館/ROBOT 

突然、行方不明になったウサギを探すアリスは、カウンセリングセンターで再会したアンのサポートを受け、ウサギを取り戻すために再び「今際の国」へ。そして2人はジョーカーが企てる数々のげぇむに立ち向かっていくことに……。

注目ポイント1:シリーズ初のオリジナルストーリー

麻生羽呂の同名原作コミックの内容はシーズン1、2で完結しており、シーズン3は完全オリジナルストーリー。佐藤信介監督は、シーズン2を撮影しているときに、すでにシーズン3の構想を練っていたようです。
© 麻生羽呂・小学館/ROBOT 

原作コミックに登場するげぇむの中で、シーズン1、2に登場しなかったげぇむをシーズン3に取り入れているところもポイント。原作に敬意をはらい、シーズン1、2の世界観を失わずに、新たに作り上げたげぇむ、そして物語なのです。

注目ポイント2:アリスとウサギは別行動

© 麻生羽呂・小学館/ROBOT 

シーズン1で出会い、シーズン2で協力して戦い、げぇむに勝利したアリスとウサギ。しかし、シーズン3での2人は別行動。アリスとウサギが再会できるのはエピソード4のげぇむ「暴走電車」。

それぞれが乗った電車がすれ違いますが、すぐに引き離されてしまい、ファイナルゲームまで、それぞれが別チームを組んで、げぇむに挑戦していく新展開です。

注目ポイント3:善か悪か……リュウジという男

シーズン3の最重要人物はリュウジ。生と死の境界線を研究し続けてきた彼は、隕石落下事故の被災者であるアリスとウサギの臨死体験に強い興味を抱きます。

そして、父の死から逃れられないウサギの心の闇を利用して「今際の国」へ入り込むことに成功。実はその裏で、彼はバンダと恐ろしい契約を交わしていたのです。

注目ポイント4:ウサギがわが子とともに戦う

「今際の国」でウサギは、自身の妊娠を知ることになります。ファイナルステージではウサギのおなかにいる子も参加人数にカウントされ、この子の存在が、最後の選択で大きな意味を持つことに。

シーズン3のげぇむはコレだ!

【ばばぬき】
© 麻生羽呂・小学館/ROBOT 

一般的なばばぬきと同じルールだが、「今際の国」のばばぬきは最後までジョーカーを持っていた人が勝者。手持ちのジョーカーを引かれた時点でそのプレイヤーは脱落する。

【おみくじ】
© 麻生羽呂・小学館/ROBOT 

参加者が1人ずつ、計10回のおみくじを引いて書かれている問いに1分以内で答える(大吉は問題回避)。問題の答えは必ず数字。答えが不正解の場合、正解との誤差の数の火矢が飛んでくる。

【ゾンビ狩り】
1対1で戦うカードゲーム。1人7枚のトランプが配られ、4チームで対戦する。4枚のカードを出して数が多い方が勝ち。

・ゾンビカード:各チーム1枚配られる。このカードの持ち主は対戦相手をゾンビにできる。
・ワクチンカード:ランダムに配られる。ワクチンカードを持っているとゾンビと対戦してもゾンビにはならない。
・ショットカード:各自1枚ずつ配られる。ゾンビを殺して増殖を防げるカード。

20ターンを戦い、手持ちカードがなくなったらゲームオーバー。

【暴走電車】
© 麻生羽呂・小学館/ROBOT 

1号車から先頭車両・8号車へ移動し、停車ボタンを押せればクリア。

電車は車両を移動するとロックされ、30秒後に毒ガスか酸素が噴出される。噴出前に、どちらかを選び、毒ガスだと判断したらガスマスクとボンベを着用。ガス車両は4つ。ボンベは各自5つ渡される。

【東京タワー】
© 麻生羽呂・小学館/ROBOT 

東京タワーに登りながらビンゴを完成させるげぇむ。ビンゴカード真ん中の「FREE」はタワーの頂点に設置されている。各所に設置された番号を押してビンゴを成立させればクリア。落下した場合は命を落とす。

【缶蹴り】
10個の缶を制限時間内に元の場所に戻せばクリア。缶は時限爆弾。手にすると60秒のカウントが始まり、落としたり、制限時間内に元に戻せなかったりすると爆発する。

【ミライすごろく】
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縦5×横5に並んだ25の部屋がある。1つの部屋がゴールにつながっている。

各部屋に4色のカラーサイコロが設置してあり、出た目の数の人数がその色のドアから移動ができる。

各自15ポイント所持しており、移動するときは誰かが1ポイント消費する(そのほかにもポイント消費のルールあり)。

部屋のドアのパネルには、プレイヤーの未来映像が映し出され、自分の未来を選択し、ゴールの部屋を推理しながら移動していく。ポイントが0になったらゲームオーバー。

佐藤信介監督が語る『今際の国のアリス』シーズン3、撮影現場の裏側

佐藤信介監督 © 麻生羽呂・小学館/ROBOT 

佐藤信介監督にインタビュー。撮影の裏側などについて“ネタバレあり”で語っていただきました。

――シーズン3のオリジナルストーリーについて、原作者の麻生羽呂さんから「これだけは守ってほしい」などのリクエストはなかったのでしょうか?

佐藤信介監督(以下、佐藤監督):シーズン1〜3それぞれの脚本が仕上がった段階で麻生さんに見ていただき、意見交換をしながら進めていきましたので、特に問題なくスムーズに進めたと思います。

――渋谷の街の巨大セットを作るなど大掛かりな仕掛けが『今際の国のアリス』の魅力でもありますが、シーズン3のセットについて教えてください。

佐藤監督:シーズン3では「ミライすごろく」に登場する特殊な部屋は実際に作りました。もちろん25部屋作ったのではなく、実際には1部屋半です。

「このターンでは、アリスはこちらから入って、こちらから出る」など、5×5の部屋と東西南北を想定し、全て計算して撮影を進めました。最初から撮影に関わっていた人物でも混乱してしまうような複雑な撮影でしたね。

――一番大掛かりだったのは「ミライすごろく」ですか?

佐藤監督:ラストの濁流シーンですね。これはかなり大掛かりな撮影になりました。
メイキング:ずぶ濡れ撮影になった玉城ティナさんと醍醐虎汰朗さん © 麻生羽呂・小学館/ROBOT 

――プレイヤーがずぶ濡れになって流されていくシーンですね。

佐藤監督:実際の撮影に加えて、CGも使いましたが、実際にキャストの皆さんはずぶ濡れになり、泥まみれのまま濁流に流されまして。賀来賢人さんも打ち上げで「なんでこんなことをやっているのか、わけが分からなかった!」と笑っていました(笑)。

撮影するにあたっては、スタッフとともに準備を完璧に整えて、安全を確認し、各シーンの設計をして、万全な状態で撮影に臨みましたが、スタッフも大変な作業となり、シーズン3の中で一番大変な撮影でした。

賀来賢人さんと玉城ティナさんの役割について

――シーズン3の重要人物のリュウジは、賀来賢人さんが演じていますが、賀来さんについて教えてください。

佐藤監督:リュウジは、原作に登場しない完全オリジナルキャラクターです。マッドサイエンティスト的な存在で、敵か味方かよく分からない、謎めいた立ち位置の人物にしようと考えました。

賀来さんと役についてお話しした際、彼が考えていたリュウジのキャラクターは、僕の考えていたリュウジとマッチしており、キャラクターの内面の把握力が非常に高い方だと思いました。

リュウジはとても複雑な思考の持ち主でしたが、その謎めいたキャラクターをリアルに表現していただけたと思っています。
© 麻生羽呂・小学館/ROBOT

――リュウジは脚が不自由で、ずっと車椅子に乗っていました。

佐藤監督:リュウジはある事情で車椅子生活をすることになったという設定にしました。かなり動きが制限されるのでやりにくかったとは思います。

また、リュウジは生と死の狭間の世界に捉われてしまい、バンダと恐ろしい契約をしてしまう人物ですが、「今際の国」でのげぇむやプレイヤーとの関係を通して、変化を見せていきます。

登場人物の中で一番振り幅が大きい役だと思いますが、賀来さんは本当に素晴らしいお芝居を最後まで見せてくださいました。

――敵か味方が分からない存在といえば、レイ役の玉城ティナさんも印象的でした。

佐藤監督:玉城さんが演じたレイは、シーズン1と2にはいないタイプの人物なんですね。敵か味方か分からない人物で振り切ったキャラクターを想定していました。

玉城さんの出演が決まった後、「レイはどういう服装だろうか」とかなり時間をかけてスタッフと考え、あのビジュアルに決まったんです。

「ミライすごろく」で描きたかったこと

© 麻生羽呂・小学館/ROBOT 

――「ミライすごろく」の未来パネルを見て、レイがアニメ好きで、あのような未来を夢見ていたというのが分かり、ふわふわした存在からリアルな女性へと見方が変わりました。あの未来映像は、キャラクターの人物像もよく分かるように作られていますね。

佐藤監督:未来モニターに映し出される未来は、明るい未来も最悪な未来も、実際にはまだ発生していないものの、そこに映し出される世界は、それぞれのキャラクターが持っている性格、思考、過去の行動に基づいているんです。

人間は誰でも「やりたかったけど諦めたこと」ってあると思うんですよ。そういう部分をそれぞれのキャラクターに当てはめて描きました。

『今際の国のアリス』シーズン1、2では、プレイヤーに意外な過去があったり、複雑な家庭環境だったり、トラウマを抱いていたりなど、その人がたどっていた過去を描きましたが、シーズン3では、過去を踏まえた上で未来を見るという、これまでのシーズンとは違うひねりを加えました。

シーズン1、2の登場人物の復活と意味深なラストシーン

――最後にシーズン1と2で活躍した登場人物が出てきますが、この意図は?

佐藤監督:原作コミックを読んだ方は分かると思うのですが、最終巻に街頭インタビューのシーンがあります。「あなたにとって生きることとは」という問いをいろいろな人に聞くのですが、アリスも偶然そのインタビューを受けるんです。

実はプロデューサーがその街頭インタビューのシーンが好きで、「このシーンを描きたいから『今際の国のアリス』を制作したいと思った」と、シーズン1の時に言っていたんです。

ただシーズン1、2を作った後に、そういえばインタビューシーンをやらなかったと気付きまして。「シーズン3でやりたい」とずっと考えていました。できれば、視聴者の皆さんが忘れた頃に登場させたかったんです。

そこでインタビューシーンに、シーズン1、2で活躍したキャラクターたちに登場してもらいました。ファンの方にも「チシヤ出なかったな」と思ったら「来た!」と喜んでいただけるのではないかと思ったんです。
シリーズの人気キャラクター、チシヤ(村上虹郎) © 麻生羽呂・小学館/ROBOT

――きっと皆さん喜んでいると思います! またラストシーンが意味深で気になりました。

佐藤監督:そうですね。『今際の国のアリス』は生と死の問題を扱っており、その問題は永遠に終わることはないと思うんです。

シーズン3のラストは、きれいに終わるパターンも書いていたのですが、僕はストーリーを考える時、自然と1つのストーリーが、次のストーリーにつながっていくことがよくあり、今回もその流れの中で、世界は続いていく……という終わり方にわりと自然に落ち着いていきました。

――では最後に、これから『今際の国のアリス』を見る方に向けて、メッセージをいただきたいです。

佐藤監督:劇場で見る映画と違い、Netflixなど配信のドラマは、いつでも最初から見ることができるのが魅力だと思います。『今際の国のアリス』シーズン3は、全く新たな物語、先の見えない展開です。

ぜひシーズン1、2を見て、その世界を楽しんだ上で、予備知識なしでシーズン3を見ていただきたい。新たなげぇむをぜひ楽しんでください。

Netflixシリーズ「今際の国のアリス」シーズン3

© 麻生羽呂・小学館/ROBOT 

2025年9月25日(木)よりNetflixにて世界独占配信
シーズン1〜2:Netflixにて独占配信中

出演:山崎賢人、土屋太鳳、磯村勇斗、三吉彩花、毎熊克哉、大倉孝二、須藤理彩、池内博之、
玉城ティナ、醍醐虎汰朗、玄理、吉柳咲良、三河悠冴、岩永丞威、池田朱那、賀来賢人
原作:麻生羽呂『今際の国のアリス』(小学館『少年サンデーコミックス』刊)
監督:佐藤信介

脚本:倉光泰子、佐藤信介
音楽:やまだ豊
撮影監督:河津太郎
美術監督:斎藤岩男、中山慎
アクション監督:下村勇二
VFXスーパーバイザー:土井淳
エグゼクティブ・プロデューサー:坂本和隆
プロデューサー:森井 輝、高瀬大樹
制作協力:株式会社THE SEVEN
企画・制作:株式会社ロボット
©麻生羽呂・小学館/ROBOT
製作:Netflix
(文:斎藤 香(映画ガイド))
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