被爆80年イベントで発言する日本被団協の浜住治郎事務局長=11日午後、東京都千代田区 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)などは11日、東京都千代田区で被爆80年イベントを開催した。この日はノーベル平和賞受賞決定から1年に当たり、約300人の来場者に「核兵器廃絶は過去の話ではなく、今の私たちの話だ」と共働を呼び掛けた。
イベントは「核兵器も戦争もない世界を求めて〜記憶を受け継ぎ未来へ〜」と題し、日本被団協を含む約30の団体と個人が実施した。登壇した浜住治郎事務局長(79)は「ノーモアヒバクシャは被団協の願い。核廃絶も国の原爆被害への償いも道半ばで、皆さまとどのように進めるか考えていきたい」と訴えた。
若い世代が被爆者との対話などから作り上げた、「継承」がテーマの朗読劇も披露。平和運動に携わる10人の討論もあり、一般社団法人「かたわら」の高橋悠太さん(25)は「私たちは被爆者にはなれないが、被爆者の記憶を世界の記憶にすることはできる」と力を込めた。
会場の外では、被爆者や東京大空襲体験者と語り合うブースも設けられた。参加した女性(75)は「何か行動しないといけないと思い来た」と話した。
昨年10月11日、ノルウェー・ノーベル賞委員会は日本被団協への授賞決定を発表した。来場した田中熙巳代表委員(93)は「これからの運動の決意の集まりになった。核の問題は若い人の問題で、真剣に考えてほしい」と語った。

被爆80年イベントで取材に応じる日本被団協の田中熙巳代表委員=11日午後、東京都千代田区