タイトルに飢える広島が優勝へ王手…初のルヴァン杯決勝に臨むジャーメイン良「勝たないと本当に意味がない」

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2025年10月13日 14:49  サッカーキング

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広島のルヴァン杯決勝進出に貢献したジャーメイン良 [写真]=J.LEAGUE via Getty Images
 サンフレッチェ広島が3年ぶりのルヴァンカップ決勝進出を決めた。12日にホームで行われた2025JリーグYBCルヴァンカップ・プライムラウンド準決勝の第2戦で横浜FCに2−1で勝利。2試合合計4−1として、初優勝を果たした2022年以来の決勝に駒を進めた。

 大一番の『エディオンピースウイング広島』には2万6192人が集まり、クラブ史上初となるカップ戦チケット完売を達成。紫の大歓声に後押しされた広島は立ち上がりの9分、MF川辺駿のパスをペナルティエリア中央のFWヴァレール・ジェルマンがダイレクトでつなぎ、チャンスを演出。反応したFW加藤陸次樹が倒されてPKを得ると、キッカーのジェルマンがGKの届かないゴール右隅に突き刺した。

 貴重な先制ゴールを決めたフランス人FWは、「アウェイで勝っていたとはいえ、セカンドレグで1点目がすごく大事になると、みんなの共通意識としてあった」と明かし、「ムツキがPKを取ってくれて、自分が蹴ることになったけど、やっぱり全員が今日の1点目はすごく大事だとわかっていたので、ゲームの始めからかなり圧をかけて入っていたし、そこでちゃんとゴールを取れたことが大きかったと思います」と振り返った。

 しかし、17分に相手CKの流れでMF山根永遠に豪快なミドルシュートを叩き込まれ、試合は1−1で折り返す。前半には相手との競り合いで顔面を強打したMF田中聡が脳震盪の疑いで交代となり、詳細はまだわからないものの、ミヒャエル・スキッベ監督は試合後の会見で、「すでに病院に行っていて、顔面を骨折した可能性がある」と明かしていた。

 アクシデントに見舞われたが、後半にはケガで欠場が続いていたFWジャーメイン良とFW中村草太が待望の復帰を果たした。59分に途中出場したジャーメインは、9月23日の2025明治安田J1リーグ第31節の柏レイソル戦で負傷交代して以来の復帰を果たし、拍手と歓声を浴びながら久々のピッチに戻ってきた。

「自分が入った時に広島の声援もありましたけど、相手サポーターのブーイングもしっかり聞こえましたし、いろんな声が自分には聞こえてたので、絶対に点を取りたいという1つの大きなモチベーションになりました」

 すると75分、敵陣の中央でパスを受けたジャーメインが「仕掛けたときに、はっきりと前が空いていた」という言葉の通りそのままドリブルで持ち上がり、ペナルティエリア前で左足を一閃。「(相手が)ファーを読んでくると思ってニアを狙いました」とシュートをゴール右隅に沈めた。
 
 復帰早々に勝負を決めるゴールを挙げて、「(これまでは)ポストに当たったり、ファインセーブされたりして、もどかしさがあったけど、1回休んだことによって決まったのかなと思います」と笑顔を見せつつ、チームを決勝へと導く得点で大事なシーズン終盤戦に弾みをつけた。

「1本入ったことによって、自分としてもここから乗っていけると思うし、シーズン終盤でこういうタイトルがかかっているゲームが多くなってくるので、そこに向けて個人的に大きな1点だったと思います」

 3週間ぶりのピッチで約30分プレーしたストライカーは、「まだちょっと体力的にきつかったり、ゲーム感がないなと感じながらプレーしていた」と明かし、「ここまでなかなか点を取ってこられなかったので、チームにもう少し貢献できるように状態を上げていきたいです」とさらなる活躍を誓った。

 チームとしては3年ぶりのルヴァンカップ決勝だが、今季加入のジェルマンとジャーメインの2人にとっては初の舞台。もちろんタイトルにかける思いも強い。

 ジャーメインは、「僕自身国内のメジャーなタイトルを取ったことがなくて、目標の1つなので、その舞台に立てるのはうれしいです」と決勝進出を喜びつつ、「決勝で勝たないと本当に意味がないと思うので、次が1番大事だと思います」と気を引き締めた。

 ジェルマンは、「個人的にはワクワクしているし、加入会見で広島というクラブは絶対に少なくとも1つのタイトルを獲得するに値するチームだという話をしたけど、ここまで本当に長くてタフなシーズンを戦ってきて、やっぱり最後にタイトルを取るに相応しいチームだと思っているので、なんとしても取って帰りたいです」と力強く語った。

 スキッベ体制の広島はタイトルがかかった戦いで悔しさを味わってきた。昨季のJ1では首位でシーズン終盤を迎えたものの急失速で優勝を逃し、AFCチャンピオンズリーグ2では規定違反による没収試合が響いて準々決勝で敗退。チームも選手もサポーターもタイトルに飢えている。

 ルヴァンカップ決勝は、11月1日に『国立競技場』で柏と対戦する。まず1つ王手をかけた広島。タイトルへの渇望を紫の大歓声とともに満たすときがきた。

取材・文=湊昂大


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