シリーズ年間最多勝記録更新。デニー・ハムリンが節目を祝う感涙の通算60勝をマーク/NASCAR第33戦

0

2025年10月14日 17:20  AUTOSPORT web

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AUTOSPORT web

、シリーズ最多となる今季6勝目、キャリア通算60勝目を挙げたデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)
 ラスベガス・モーター・スピードウェイで開催されたポストシーズン“Round of 8”初戦、2025年NASCARカップシリーズ第33戦『South Point 400(サウスポイント400)』にてデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)が感動の勝利を収め、キャリアにおける重要な節目を迎えることに。

 最後の10周で2台をパスし、残り4周でジョー・ギブス・レーシング(JGR)の僚友チェイス・ブリスコ(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)から首位を奪うと、この日のレースハイとなる267周​​中129周でラップリードを記録していたカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)を1.533秒差で抑え込み、シリーズ最多となる今季6勝目、キャリア通算60勝目を挙げた。

 プレーオフも後半戦に突入し、いよいよ8名による計3戦のエリミネーションが争われるなか、NASCARの運営側は来季に向けたシリーズ運用計画の一部を公表。カップシリーズを開催するすべてのロード/ストリートコース、そして1.5マイル未満のオーバルコース、合計17のレーストラックにて、エンジン出力を従来の670PSから750PSにパワーアップした仕様を適用する。

「うれしいね。おそらく、より良い方向への一歩だと思うよ」とパワーアップ版適用に歓迎の意を示したのは、すでに同仕様のテストも経験するラーソン。

「ただしメディアの皆、そしてファンの皆さんには、まるでこれですべてが解決するかのように、過剰に宣伝しないようお願いしたい。期待は控えめにして欲しいと思っているんだ。最近テストをしたが、パワーアップだなんて誰も言ってくれなかったし、僕自身も実感しなかった。だからフィーリングや見た目が劇的に変わるとは思えないんだ」

 そんななか迎えたラスベガスのオープニングは、最初のフリープラクティス(FP)でタイ・ギブス(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)が先行すると、続く予選ではハムリンを先頭にブリスコ、クリストファー・ベルとカムリXSE艦隊がワン・ツー・スリーを独占。その背後にはチェイス・エリオット、ウイリアム・バイロン、そしてラーソンと、こちらもヘンドリック・モータースポーツ陣営が3台を並べるなど、トヨタvsシボレーの直接対決の構図が整った。

「正直に言って、良い感触だった」と通算47回目のポールシッターとなる自身のラップについて語ったハムリン。

「これ以上のことは考えられない。チームが僕のマシンを良い状態に仕上げてくれたのは素晴らしい仕事だった。練習走行でもショートランで良い結果が出ていたし、明日に向けてロングランで取り組む必要はあるが、土曜のタイムこそがこのサーキットでの我々の弱点だった。今回の予選はその前評判を覆す絶好の機会だ」

 迎えた決勝では、ステージ1こそFPからロングランのアベレージで最速を刻んでいたバイロンが制覇したものの、レースを通じてJGR艦隊のライバルたちが次々と脱落する厳しい展開に。

 その最初の犠牲者となったのは14番手発進だったライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)で、オープニングステージ終盤にタイヤトラブルに見舞われた12号車マスタングは、わずか70周でウォールに激突。マシンを降りた後のブレイニーの落胆ぶりは明らかだった。

「今はあまり満足していないが、明日の朝には次のレースに向けて前向きになれるだろう」と、次戦タラデガでは過去3勝、続くマーティンズヴィルのプレーオフでは2勝を挙げた実績を持つブレイニー。

「次のふたつのイベントでは過去にも良い結果が出ている。このスピードで今日の穴を克服したいと思っているよ」

 同じくステージ1で優勝し、決勝では55周をリードしたレギュラーシーズン王者バイロンも、レース終盤で奇妙な衝突事故に遭遇。彼の24号車シボレーは、ピットインしようとした10号車タイ・ディロン(カウリグ・レーシング/シボレー・カマロ)の後部に激突し、全速力で走っていたバイロンはスローダウンするディロンの意図を「まったく感じなかった」と語った。

 このアクシデントによりバイロンはランキングで大きく後退し、カットオフラインから15ポイントも下回り、ディフェンディングチャンピオンのロガーノも、最後のコーションピリオドで2タイヤストップという賭けに出て6位でフィニッシュ。エリオットもレース序盤のピットインミスとペナルティから巻き返したものの18位で終わり、これでスタンディングはエリオット(-23)、ロガーノ(-24)、ライアン・ブレイニー(-31)のオーダーへと変わる。

 さらに残り23周のリスタートでは4列目のギブスが“ビッグワン”の引き金となり、迎えた残り14周。ブリスコは2本交換の恩恵を受け、より有利なトラックポジションを獲得して首位を快走。対する4本交換のハムリンは2列目5番手からリスタートしたが、フレッシュの恩恵を活かして残り5周でラーソンをパス。さらに残り4周でブリスコも捉えてトップへ浮上し、今季6度目のトップチェッカー。これで最終“Championship 4”の4枠中最初のひとつが確定し、ハムリンは2021年以来となる初タイトル獲得のチャンスを手にした。

 恒例のバーンナウトを決め11号車から降りたハムリンは、勝利後に観客に繰り出すお決まりの冗談めいた会話とは対照的に、カメラは感動的な瞬間を捉え、スタンドに歩み寄った44歳のベテランは病気療養中の父デニスについて、より厳粛な口調で語った。

「この勝利は大きな意味を持っている。ファンの皆には少し(悲しみを)お見せするところだが、今日は違う。すべてに本当に感謝しているんだ」と目に涙を浮かべた無冠の帝王。

「もちろん、故郷にいる父と家族に『やぁ』と言いたいだけだ」と震える声で付け加えたハムリン。「今日は60勝を挙げたいと思っていたが、まさか達成できるとは思っていなかった。最後の10周、ひたすらアクセルを踏み込み、それを実現した」

「チームとクルーの皆がマシンを完璧な状態に仕上げてくれた。僕はただクルマをしっかりとコントロールした。僕にできるのはそれだけ、ただ全力で走り切るだけだ。失うものは何もない。とにかく思い切って挑戦し、チケットをゲットした。最高の気分だ」

 併催されたNASCARエクスフィニティ・シリーズ第30戦『Focused Health 302(フォーカスド・ヘルス302)』は、シーズンを席巻した19歳の“神童”コナー・ジリッシュ(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)と、ジェシー・ラブ(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)によるトップ3の激闘を制し、41歳のアリック・アルミローラ(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタGRスープラ)が3勝目、キャリア通算10勝目を飾ることに。

 パートタイムで参戦するベテランは、残り9周で今季圧倒的な強さを見せたジリッシュからトップを奪い、シーズン屈指の激戦となったこのレースでチャンピオンシップリーダーを0.696秒差で抑え込むことに成功。この勝利により、自動的に“Championship 4”への初出場権を手にしている。

https://www.youtube.com/watch?v=ZyQfKr5yDZ8

[オートスポーツweb 2025年10月14日]

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定