途中離脱はもったいない!三谷幸喜『もしがく』は菅田将暉の“揺れる演技”で大化けの予感

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2025年10月15日 08:50  女子SPA!

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(画像:「もしもこの世が舞台なら、 楽屋はどこにあるのだろう」フジテレビ公式サイトより)
 菅田将暉が主演を務め、脚本・三谷幸喜の半自伝的青春群像劇である『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(以下、もしがく/フジテレビ系)の放送がスタートした。

 本作には菅田のほか、二階堂ふみ、神木隆之介、浜辺美波、菊地凛子、市原隼人…と挙げればキリがないほど主演級の豪華俳優陣が集結している。

◆離脱者の多さが目立つが…もったいない!

 ただ、第1話では登場人物も場面転換も多く、「ごちゃごちゃしてよく分からない」と、視聴を途中離脱してしまった視聴者も続出。初回の平均世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は5.4%に留まり、第2話はそこからさらに1%ダウンと、初回途中離脱の多さが反映されてしまった。

 だが、このドラマの初回を最後まで観ずに途中で離脱してしまうのはもったいない。

 今作は菅田演じる劇団演出家・久部三成が、横暴な性格が災いして自身が立ち上げた劇団から追い出される場面から始まる。路頭に迷った久部はわめき散らしながら辺りを彷徨うため、少しうるさく感じられた。

 しかし、このドラマは第1話の最後の5分と第2話で菅田の持ち味が発揮され始める。

◆理性と感情、善と悪。菅田将暉は一つの型に収まらない

 そもそも、菅田将暉という役者の魅力は、一つの型に収められない。理性と感情、善と悪、闇と光、静と動…。

 そうした相反する2つの要素の狭間を、繊細に、揺らぎながら自在に行き来する。それが菅田が人々の心を掴んで離さない唯一無二の魅力だ。

◆見違えるように生き生きと変化していく

『もしがく』初回のラスト5分では偶然辿り着いたストリップの「WS劇場」でダンサーとして舞う倖田リカ(二階堂)に魅せられ、彼女に夢中になって照明を当てる久部の姿がクローズアップされた。二階堂に見入る菅田にこちら側が見入ってしまうほど引き込まれるシーンだ。

 必死に倖田に光を当てていた久部だが、彼女こそが久部にとって光となった。

 久部は、風営法改正で立ちいかなくなった「WS劇場」で倖田をはじめとするダンサー達や、放送作家役の神木、用心棒役の市原らを説得し、あらたに劇団を立ち上げ一発逆転を計る。

 心の内が絶望から希望へと変わった菅田の表情は見違えるように生き生きとして、うつろな目はしっかりと焦点が定まり、うるさく聞こえたがなり声は演劇人らしいよく通る声に変わっていった。

◆三谷幸喜の真骨頂×菅田将暉の躍動感

 俯瞰的に見れば、第1話の雑然としたストーリー運びは久部のぐちゃぐちゃな胸中を、第2話の「WS劇場」のまとまりは彼の光を見出した心模様をそのまま表しているようでもある。

 第3話以降は「WS劇場」が久部を中心に活性化していく様がより明確に描かれるはずで、さびれてしまった空間を劇的に再生していく物語に長けた三谷幸喜の真骨頂が見られるだろう。その筆を動かしているのは希望に向かう菅田の躍動感に違いない。

 第1話の早い段階で途中離脱してしまった人にも、ぜひ第2話以降を見て継続視聴するかを判断してもらいたい。

<文/こじらぶ>

【こじらぶ】
フリーライター・コラムニスト。言語学修士。男性&女性アイドル、地下、ローカルなど様々な現場を経験。ドラマ、スポーツ、エンタメ全般から時事ネタまで。俳優、アイドルなどのインタビューも。X: @kojirabu0419

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