
公明党の連立離脱に揺れる自民党。一方で、総理大臣指名選挙で一本化を目指す野党は、幹事長会談を開催。野党内の駆け引きも激化しています。“有力候補”と目される国民民主党・玉木代表に総理指名選挙に臨む方針を聞きました。(10月14日「news23」の放送より)
両院議員懇談会 高市氏「連立離脱は私の責任」14日夕方、スタートアップ企業が集まる会合に呼ばれた自民党の高市総裁。自己紹介では…
自民党 高市早苗 総裁
「自民党の総裁になったけど、総理になれないかもしれない女と言われている、かわいそうな高市早苗です」
そして、慌ただしかった1日を振り返りました。
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自民党 高市 総裁
「今しがたまでやってた両院議員総会で、私の決意を伝えてきたところでございます」
なぜ公明党が連立離脱にいたったのか。午後3時、高市総裁が説明する、両院議員懇談会が開かれました。
――どういった話をしたんですか?
自民党 猪口邦子 参院議員
「たくさんの良い意見が出ました」
自民党 寺田稔 衆院議員
「長い連立関係があった公明党ですから、これからも真摯にいろんな政策の説明をして、協力関係、政策面でもしっかり協議をしていこうという意見が、非常に多かったと思います」
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――どんな雰囲気?
自民党 西田昌司 参院議員
「一意団結して、高市さんの首班指名できるように頑張りましょうと」
――自民党としては野党からの総理誕生はないと踏んでいる?
自民党 西田 参院議員
「わたしはそう思っている」
自民党 大岡敏孝 衆院議員
「連立解消以上に、政権を失うことが最も大きな責任問題になると申し上げた。確実に政権が維持できる見通しが立つまでは、石破総理に総辞職をしていただくべきではない」
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高市総裁は…
自民党 高市 総裁
「今回の連立離脱ということは私の責任でございますので、皆様にお詫びを申し上げました。首班指名の瞬間、ギリギリまで、一生懸命、合意できる政党と一緒に歩めるように努力をしていく」
公明党の離脱で揺れる自民党。不透明感を増しているのが来週予定される、総理指名選挙の行方です。
いま各党が秋波を送るのが国民民主党。14日に幹事長会談が相次いで開催されました。
【幹事長会談】
・午後1時30分 幹事長会談(自民・鈴木氏、国民・榛葉氏)
・午後3時 両議院懇談会(自民党)
・午後4時30分 幹事長会談(国民・榛葉氏、公明・西田氏)
・午後5時 幹事長会談(立憲・安住氏、維新・中司氏、国民・榛葉氏)
午後1時半、国民民主党の榛葉幹事長は自民党の鈴木幹事長と会談。
国民民主党 榛葉賀津也 幹事長
「政治の安定は大事ですが、そのために枠組みありきではなくて、どことどこが連立を組むとか数合わせじゃなくて、政策実現に我々は協力しますから」
“次の総理”は誰になるのか。鍵を握るのが、国民民主党の玉木代表です。
国民民主党 玉木雄一郎代表
「政権をともにするのであれば基本政策の一致は必要だと思う。立憲、国民、維新でやったとしたら首班指名はとれるかもしれないが、固い結束で結ばれておかないとすぐに崩れちゃう。立憲民主党には、ぜひ現実的な安全保障政策に転換されることを求めていきたい」
名指しされた立憲民主党。野党一本化による「政権交代」を訴えています。
立憲民主党 野田佳彦代表
「政権交代できたのが1993年と2009年。自民党から政権を奪えたというのは、十数年に1回しかチャンスはめぐってこない」
その立憲と維新・国民民主の3党の幹事長が、14日夕方に会談し、総理指名選挙などをめぐって、15日、「党首会談」を行うことで一致しました。
立憲民主党 安住淳幹事長
「ここまでくると、あとはそれぞれの代表の判断。明日は明日の風が吹くのかな」
仮に“野党共闘”が実現した場合、総理に選ばれる可能性が高いのが玉木氏です。
玉木雄一郎氏(2009年)
「朝の2時57分にホテルから歩いて国会前に到着したのですが、二番乗りでした」
2009年に「政権交代」を果たした当時の民主党公認で初当選した玉木氏。その後、再び自公政権となり、野党再編の波に飲まれる中…
玉木雄一郎氏(2020年)
「変革の旗を高らかに掲げて、きょう私たちは船出をします。みなさんどうぞ、よろしくお願い申し上げます」
2020年、立憲民主党とは一線を画す、今の国民民主党の代表に就任し、支持を拡大してきました。自公が連立を解消し、総理の座が現実味を帯びてくると…
国民民主党 玉木雄一郎代表(10日)
「私自身、公党の代表として、内閣総理大臣を務める覚悟はあります」
急浮上する“玉木総理”の可能性に街の人は…
60代
「私はいいのではないかと思う。(玉木氏が)総理になった方が、新しい世界が開けるのかなと」
20代
「正直ちょっと前にスキャンダルが出て、好感度としてはちょっと低いかな」
40代
「できたら政府を運営するということを知ってというか、実際にどこかと組んでやってからの方が、良さを潰さずにいけるのかなと」
20代
「数合わせで他の野党と組んでというところだと、うまくいかないと思うので、そこはわりと慎重に動いてほしい」
小川彩佳キャスター:
連日のように玉木代表を巡る動向をお伝えしていて、メディアへの露出も増えている中で、支持者からの「玉木さん総理になって」という声も高まっているのではないですか。
国民民主党 玉木雄一郎代表:
いろいろなお声をいただくのは、ありがたいと思っています。ただ、重い職責ですから真剣に考えています。
一方で、我々はまだ小さな政党であり、単独で過半数を取れない、どんな形であれ他党と組んでやらなければいけません。その中で、どのような連携が取れるのか、基本政策の一致が図れるのかということを、14日は幹事長間でやっていましたが、15日は党首同士で、丁寧にしっかりやっていきたい思います。
藤森祥平キャスター:
15日の3党の党首会談で、立憲民主側が基本政策を国民民主党側に近づけてきたら、その場で決断することもあり得るんですか。
国民民主党 玉木代表:
どういう話があるのか、まず伺いたいと思いますが、1回では終わらないのではないしょうか。
ヨーロッパだと多党制の中での連立交渉というのは、場合によっては数か月かけることがあります。ドイツでは100ページを超える、連立合意文書を作ります。選挙ではそれぞれの主張を掲げて戦いますから、その中で合わせていく。連立政権を作っていくに当たっては、各国その積み上げたものがあって。
日本の場合は逆にずっと自公政権で、それがもう当たり前でしたが、多党化時代の新しい政権運営のルールと作法がまだ定まらない中で、大きな目で見ると、14日にやることも15日にやることも、連立連携交渉の一環だと思います。
石破内閣がある程度続いても、合意を得る間は丁寧な議論をしながら、次の政権の枠組みを行っていく。そういうルールを作るのも1つだと思いますから、15日はしっかりお話を伺い、議論をしたいと思います。必ずしも1回で終わらせるものでもないのかなと思います。
総理を務める覚悟 具体的には?小説家 真山仁さん:
いろいろなところで「覚悟はある」と言っていますが、皆さんが一番聞きたいのは「玉木さんが総理になりたいかどうか」だと思います。そこはどうですか。
国民民主党 玉木代表:
衆議院に初当選して以来、「必ずこの国のトップリーダーとしてこの国を率いていきたい」というのは、変わらず思い続けてきました。
特に党の代表を務めてからは、野党ではありますが、「いつか政権を担うんだ」という思いでやってきたので、野党であっても現実的な政策、責任ある政策を出していこうと、これまでやってきました。
小説家 真山さん:
そういう意味では、チャンスが来ているのではないでしょうか。こういうチャンスは逃さない方がいい気がしますが、どう思っていますか。
国民民主党 玉木代表:
もちろん、大切な機会だと思います。一方で、政権運営というのは重いことであり、そして連立政権を前提にします。連立の合意、政策の一致。特に安全保障は、1日も1秒も揺らぎがあっては国家・国民を守れないので、そこはしっかりと一致させたい。
私の初当選は民主党の政権交代時ですが、民主党政権が3年3か月で終わってしまった1つの要因は、辺野古崎の基地の問題で、社民党さんが連立から離脱されたり、アメリカとの関係も信頼関係が揺らいだということを身をもって経験しました。自分が政権を担うときには、安全保障は他国との関係でもあり、国内で決めて終わらない話でもあるので、ここはしっかりと一致点を見いだしたいと思います。
安保・エネルギー政策…大事なのは「政策の一致」小川キャスター:
これだけ混沌としてる中、総理になりたいというお気持ちはあれど「火中の栗を拾うのは…」という不安があったりもしますか。
国民民主党 玉木代表:
両方の意見をいただきます。ただ、判断基準は政策本位ということですから、安全保障も含めた政策で一致できれば「GO」ですし、一致できなければ駄目だということです。
政策本位で判断するということが、こういう混沌とした政治状況だからこそ、判断の軸というのはとても必要で、それを私達は「政策本位でやっていこう」ということで、15日も判断していきたいなと思います。
小説家 真山さん:
政策本位は大事だと思いますが、普通連立する場合には、まず「ここは同じ」と共通項をすり合わせた上で、「ここが違う」という話になると思ういますが、今回はずっと“違う点”を議論している気がします。共通項からすり合わせ、違うところをどう調整するか、とはならなかったのでしょうか。
【立憲の「基本政策」に対して】
国民民主党 玉木雄一郎代表(12日)
「立憲民主党としても、そろそろ安全保障政策・エネルギー政策を現実的なものに整理し直してはどうかと申し上げている。そのことで一致できれば、政権をともにすることは可能」
国民民主党 玉木代表:
私はいろんな政策があっていいと思いますが、政党が違うので、その中で、最低限一致させなければいけないところだけ一致させようと。それはやはり、国の根幹に関わる安全保障政策であったり、エネルギー政策に関することについてです。
なので私たちはたくさん言っていません。逆に「ここだけは」というオペレーションシステムのような基盤だけはちゃんと合わせて、その上にいろんなものが乗っかってきたらいいと思います。
過去の民主党政権の経験もあるので、安全保障や原発を含むエネルギー政策については、しっかりすり合わせた上で、様々なバリエーションはむしろ交渉の対象です。
例えば、我々は「178万円まで所得税控除額上げましょう」と言っていますが、「160万円でいい」とか、「150万円ではないか」などは交渉の対象になると思います。ただ安全保障だけは他国の関係もあるので、一致させることが必要だと思います。
多党化時代の政権運営 「新たな枠組みの構想が必要」TBS政治部長 岩田夏弥:
国民民主党は、2024年の衆議院選挙で7議席から28議席と4倍に議席数を拡大しました。今回の参議院選挙でも、改選4議席が17議席というように大きく議席を増やしました。
次の衆議院選挙でさらに議席を増やし、大きな塊となって、そのタイミングで自分が総理大臣になるというような未来を描いているのでしょうか。
国民民主党 玉木代表:
今回は立憲民主党さんから、「有力候補だ」ということで挙げられて、交渉のテーブルに乗ることになったので、今回は今回としてしっかり判断していこうと思います。立憲民主党さんにも思いがあると思うので、真摯に向き合ってどこまで我々として基本政策の一致ができるか、そこをまずしっかり話し合いたいと思います。
【各党の議席数】
・自民党:196議席
・立憲民主党:148議席
・日本維新の会:35議席
・国民民主党:27議席
・公明党:24議席
・その他:35議席
衆議院過半数:233議席
藤森キャスター:
今の議席数で衆議院を考えると、野党で連携して政権を取るには、立憲民主党の大きな塊の中に入り、組んでいかなきゃいけない…。かつて袂を分かった仲間たちとやっていく不安のようなものはありますか。
国民民主党 玉木代表:
維新と国民を足しても過半数に足りないので、新たな少数与党を作るということなんです。
仮にこれができて首班指名で取ったとしても、過半数を維持して法律を通したり、予算をすすめるためには、もう一つどうするんだと。その隙間を埋める政権の枠組みの構想が必要だと思いますが、それが幹事長会談でも示されませんでした。
榛葉幹事長から安住幹事長に対して、「そもそもどういう枠組みであるのか」。衆議院に比べて参議院はもっと厳しい状況にあるので、過半数をどういった政党の協力を得て、維持していくのか、運営していくのか。ここの政権構想を併せて示してもらいたいと申し上げていますので、15日に答えが来ると期待しています。
藤森キャスター:
そこまでがっちり固めないといけないということですね。
国民民主党 玉木代表:
よく考えないと国民の皆さんに迷惑をかけますし、単にポストが欲しいというわけではなくて、国家・国民をどう守っていくのか。そのために最低限、考えるべきことは考えていきたいということです。
小説家 真山さん:
結果的に見ると、どっちも過半数を超えられないわけです。自民党だとしても過半数を超えられないのは事実です。連立になったときに過半数を超えられないからやらないのではなく、超えられないんだったら、自分たちが違う政治をやることで国民の信を求めるという選択肢もありますよね。そういうチャレンジはないんですか。
国民民主党 玉木代表:
それもあり得ると思います。民意ってすごいと思いますが、どっちに行っても足りないという、この数の配分をまさに国民が選んでいるんです。
どこも過半数を取れない中で、多党化した時代の政治運用をどのようにやっていくのかというのは、新しいルールと作法が必要で、そこに建設的に与党も野党も知恵を出していかなければいけないなと思います。
国に尽くす「思いは熱い」小説家 真山さん:
多くの国会議員が「自分が国をよくする」と思っていると思います。
テクニカルな話やリスクはよくわかりましたが、それより「国を良くするチャンス」が来てるときに、テクニカルな話をよりも、もっと熱い想いを前に出した方が、まさに民意としては「国に尽くしたいという人が総理になったらいいな」という感触もあると思いますが、どう思っていますか。
国民民主党 玉木代表:
思いは熱いですよ。きょうはテレビなので少し落ち着いて話していますが、何とかしたいと思っています。
ただ、本当に真剣に考えるべき話で、軽々に熱意と気合いと根性だけではなかなかうまくいかないところがあると思います。
真剣に考えているからこそ、どのように対応していくのがベストなのかということを考えていますし、きょう(14日)も眠れない夜を過ごして、あす(15日)の党首会談に臨みたいと思っています。
藤森キャスター:
立憲の安住氏は「きれいごとを言っていたら政権交代できない」と、覚悟が足りないのではないかといったトーンで言っていますが、どうお考えですか。
【立憲民主党 安住幹事長】(14日)
Q.エネルギー・安保分野での党内調整は
常任幹事会では一切異論なく全員賛成で代表一任を取り付けた。
私たちの党はそんなに幼稚な党ではない。
政権を皆で目指すことについては、一丸となれると信じている。
国民民主党 玉木代表:
先輩の温かい励ましだと受け止めています。
小川キャスター:
仮に国民民主党が求める姿勢が他党から出てきた場合、玉木さんが率先してリーダーシップを取ってまとめていく自信と覚悟はありますか。
国民民主党 玉木代表:
しっかりとした基本政策が一致するのであれば、その上には様々な可能性が乗っかってくると思います。14日に枠組みと3つの重要政策について問い合わせをしている状況なので、答えが野田代表からどう返ってくるのか、そこをお伺いしたいと思っています。
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<プロフィール>
国民民主党 玉木雄一郎代表
東大卒、財務省から政界へ「対決より解決」
“永田町のYouTuber”実家は香川の兼業農家
真山仁さん
小説家 2004年「ハゲタカ」でデビュー
近著に政治家のリーダーシップを描いた「アラート」
岩田夏弥
TBS報道局 政治部長
元官邸キャップ
小渕総理以来、主に政治取材を担当