能登半島地震の震源近くには約1500万年前のマグマが冷え固まった硬い岩石が分布しており、内部の断層が破壊されて地震が大規模になった可能性が高いことが分かった。東北大の高木涼太准教授らが地震前に臨時に地震計を多数設置して観測した成果で、15日付の米科学誌サイエンス・アドバンシズに発表した。
能登半島北東部では2020年12月ごろから約3年間、群発地震が活発に続いたが、24年1月にマグニチュード7.6(最大震度7)の能登半島地震が突然起きた原因は謎だった。「古マグマ」は震源のすぐ西側に、深さ5〜15キロ、幅10〜15キロにわたって分布。この内部にある断層が一気に破壊されたことで、震源域が全長約150キロに延びるに至ったという。
高木准教授らは23年10月中旬から11月末にかけ、群発地震が多発する半島北東部に高性能な小型地震計を12台、臨時に設置。海の波の圧力変動が地下に地震波として伝わることを利用し、既存の地震計データを含めて地下構造を調査した。
その結果、地震波が周囲より速く伝わる硬い岩石が分布していることが判明。産業技術総合研究所(産総研)の地質図と照合すると、日本列島が形成された約1500万年前の火山活動によるマグマが冷え固まった岩石と判明した。
群発地震の発生域は南から北へ広がるとともに、深い所から浅い所に移る傾向が見られており、原因は地下深くの岩石から分離した水を主成分とする流体の移動と考えられている。高木准教授は「古マグマは水を通さず、3年間は流体の移動を妨げる壁となっていたが、能登半島地震の際は断層破壊を加速させ、東西に延びる引き金になった」と説明した。
半島北部沿岸には大規模な海岸段丘が3段あり、過去の大地震による隆起で形成されたとみられることが、これまでの産総研の調査で分かっていた。古マグマの断層破壊が過去にも起きていた可能性があるという。