リンゴの季節が到来。リンゴを食べるとき、多くの人がもったいないことをしているかも…… 1日1個のリンゴは医者を遠ざける。
リンゴの季節が到来しています。最近はスーパーの青果コーナーに行くと、聞いたことのない新しい品種のリンゴがずらりと並び、どれを買おうか悩んでしまうほど。
そうです、日本はリンゴ天国。さあみなさんは、リンゴをどのように食べていますか?
実は健康や美容のことを考えると、「どんなリンゴを選ぶか?」よりも、「リンゴをどう食べるか?」の方が重要だと言われるようになっています。
えっ、美容リンゴってどんなもの? そもそもリンゴって健康にどれほどいいの? と疑問を持っている人も多いでしょうから、今回は“リンゴの栄養を無駄なく摂取するためのカンタンコツ”を2つご紹介したいと思います。
◆リンゴは皮ごと食べないと、もったいない!
結論から申し上げれば、リンゴの栄養をロスなく摂取するために最も大事なのは、皮ごと食べることです。
リンゴの皮に含まれる栄養成分を果肉と比べた場合、ポリフェノールが2倍、カルシウムは8倍、マグネシウムなどのミネラル類が7倍、鉄分は4倍以上となり、合計21倍の栄養をロスしてしまうと指摘されるほど。
「1日1個のリンゴは医者を遠ざける。」ということわざがありますが、その効力は皮ごと食べてこそ。食物繊維も皮と実の間に豊富に含まれています。またリンゴの赤い皮には、目の健康をサポートするアントシアニンも含まれています。
◆リンゴポリフェノールの抗酸化力は、ビタミンCの59倍
最近、アンチエイジングや病気予防に関する健康情報としてたびたび登場するキーワードが、「抗酸化力」。しわやたるみなどの老化や、がん、糖尿病、動脈硬化の原因にもなる活性酸素を抑制・除去する力のことで、リンゴの抗酸化力(プロシアニジンというポリフェノール)はビタミンCの59倍も含まれているのです。
リンゴの皮にはこの成分の約3〜5割が含まれているため、皮をむいてしまうと抗酸化力は大幅に失われていることに。
リンゴがあまりにも定番すぎるせいなのか、他の果物に比べて美容効果が期待できないイメージがあるかもしません。しかしながらそれは大きな誤解。リンゴに含まれるポリフェノールには筋力アップ、ウルソール酸には肥満抑制作用があり、皮ごと食べることでダイエットにも適した果物として推奨されています。
◆実はレンチンリンゴは抗酸化力がアップする
そしてもう一つは、抗酸化力を高めるための簡単アイデアについて。
リンゴに含まれる食物繊維は100度以上に加熱することでポリフェノールの吸収率を増加させることがわかっています。
またリンゴポリフェノールは加熱によって大きく減少しないため、温かいリンゴ料理は健康・美容に◎。また加熱することで甘味が強くなるため、焼きりんごは満足度の高い美容スイーツと言えます。
そして抗酸化力をさらに高める方法として注目したいのが、電子レンジでの加熱。レンチン3〜4分で抗酸化力が56%アップするというデータが報告されています。
これは焼きりんごを作るのが面倒だと感じる人にも嬉しい話。作り方はカンタンで、りんごの上面を切り落とし、はちみつを大さじ1垂らしてラップをふんわりとかけて600ワットで4〜5分加熱するだけ。お好みでバターやシナモンシュガーを乗せても良いでしょう。
今年はリンゴをたくさん食べよう!と思った方もいるかもしれません。健康・美容のためにリンゴを程よく堪能してみてはいかがでしょうか!?
参考:『完全版 その調理、9割の栄養捨ててます!』(世界文化社)
<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>
【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12