画像はイメージです 忙しいビジネスパーソンにとって、休日にしっかり休養を取るのも大切なこと。そんな時間を自分勝手な振る舞いによって妨害されたとしたら、誰しも不快極まりないだろう。
人材会社で営業職として働く葛木晃平さん(仮名・32歳)が語ってくれたのも、そうした体験談である。
◆休日の昼前に目を覚ましたら…
「数年前の夏の話です。わりと普段から帰宅が遅くなることが多いんですが、金曜の夜に深夜まで飲んでから帰宅し、翌日の土曜は昼前まで眠っていたんだと思います。
で、目を覚まして、今日は一日のんびり過ごそうと思っていました」
ゆっくりと洗濯をして、ベランダに干そうとした時だった。
「カーテンを開けてベランダに出たら、あたりに煙が立ち込めていました。自分の部屋はアパートの2階なんですが、下を見てみたら、アパートの同じ階に住んでいる大学生が、友人たち4〜5人とアパート前の道路でBBQをやっていたんです」
葛木さんが住むアパートがあるのは、袋小路の突き当たり。車の通りはほぼなく、人通りもアパートの住人程度のもの。そうした立地のためBBQ場所として選ばれたようだった。
「非常識だなあと思いましたよ。煙のせいで週末にまとめてやっている洗濯もできないですし。ただ、文句を言うのも面倒なので、昼下がりには終わるだろうと思って我慢することにしました」
◆意を決して注意するも、事態は悪化
だが、BBQは14時ごろになっても終わらなかった。それどころか参加者が増え、騒ぎ声が不快に思われるようになっていった。
「平日の疲れが残っていたので昼寝しようと思ったんですが、うるさくて眠れなくて……。段々とイライラが募ってきたので、注意することにしました。といっても叱りつけたりしたら逆効果になると思ったので、あくまでも穏やかに、『悪いけど、ここでBBQをするのはダメだと思うし、音が気になって休めないからそろそろお開きにしてもらっても良いかな』と伝えたんです」
住人は「わかりました……」と答えたので、これで静かになるものと思われた。
「いやあ、甘かったですね。注意したことを馬鹿にするように、大きな音で音楽までかけはじめて、騒ぎは悪化してしまったんです。自分では無理だと思ったので、管理会社に電話することにしました」
◆やむなく警察に通報した結果…
担当者は「すぐにBBQをしている住人に連絡をとる」と約束してくれた。
「ですが、しばらく待っても変化はありませんでした。あらためて管理会社に電話してみると『BBQはもうやめると言っていたんですが、まだやめてないんですか?』とのことでした。もう一度注意してやろうとベランダに出たら、逆に声をかけられ『管理会社に言いつけたみたいですけど、ここは公道なのであなたに注意される筋合いはありませ〜ん』と煽られる始末でした」
腹に据えかねた葛木さんは、警察に通報することにした。
「大事にはしたくなかったんですが、そうするしかないと思いました。警察官はすぐに来てくれたんですが、酔っ払った大学生たちは警察官にも食ってかかったんです。『ここは公道だから文句を言われる筋合いはない』と。当然、警察官に『公道でBBQが許されるわけがないだろ!』とこっぴどく叱られていました」
ようやくBBQはお開きになった。
「女性陣は警察官に名前を控えられたのが気に食わなかったらしく。住人の大学生に『ここならOKって言ったよね!?」と責められていました。そうしたこともあってしょげたのか、その後は静かになり、報復されるようなこともありませんでした」
いや、報復がなかったのは別の要因かもしれない。以後、例の大学生の部屋の集合ポストはボコボコにされ、部屋のドアの前にもゴミがばら撒かれることが度々あったらしい。
ほかのマンションの住人たちもBBQ騒ぎを苦々しく思ったのか、はたまたほかにも恨みを買っていたのか――。
ともあれ、ハメを外したくなるほど楽しい時間こそ、周囲への思いやりを忘れぬようにするのが己のためにもなろうというものだ。
<TEXT/和泉太郎>
【和泉太郎】
込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め