「まぜるな危険」「記録消去者即抹殺」……まるで危険物の注意書きのようなラベルが貼られた初代PlayStation用メモリーカードの写真が、Xで注目を集めています。
投稿したのは、えきどれ♪さん。「25年以上前の私は、血の気が多かったんですね」と添えられた一枚には、時代を超えて伝わる「ゲーマーの緊迫感」が詰まっていました。
えきどれ♪さんによると、今回のメモリーカードは、ゲーム関連のアイテムをまとめて保管していたケースの中から発見したそうで、ラベルにもあるように中には初代「グランツーリスモ」のデータのみが保存されているとのこと。
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同作は1997年に発売されたリアルドライビングシミュレーターで、データの保存に必要なブロック数は5〜15。
「リプレイデータとかで容量を喰うんですよね」と、えきどれ♪さんも振り返るように、PlayStationのメモリーカード容量(15ブロック)を大きく圧迫するタイトルでした。
さらに、初代「グランツーリスモ」にはオートロード機能がなく、ついうっかりロードを忘れて新規セーブをしてしまうと、既存データが上書きされてしまう……という仕様がありました。
このメモリーカードはえきどれ♪さんが自身専用として使っていましたが、もちろん本体自体は父や弟と共用で使用していたため、「もしカードを抜き忘れても気づくように……」との思いから、この強烈な警告文を自作。
努力を重ねて購入した愛車やチューニングの成果、獲得したライセンスやグランプリ入賞の栄光が、自身や家族のついうっかりが原因で全て失われてしまう……そんな“重大事故”を防ぐための工夫でもあったようです。
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加えて、初代グランツーリスモはひとつのメモリーカードにひとつのセーブデータしか作れないという制限も。
ラベルに書かれた「記録消去者即抹殺」という文言はもちろん冗談交じりですが、データの消失、または上書きされてしまったときの絶望感を知るプレイヤーにとっては、思わず首を大きく縦に振る注意喚起と言えるでしょう。
その後、果たしてメモリーカードのデータは保持されたのか?聞くと「消されることはありませんでした」とのこと。「しかし、ずっと放置していたので……壊れてなければ……」とえきどれ♪さんは笑います。
また、強烈すぎる警告文には「20代の頃なので、生き生きしていたのでしょう」と当時を懐かしむコメントも寄せています。
現在ではオートセーブやオートロード、クラウドバックアップ機能が当たり前に実装されていますが、当時はセーブデータを守ることはプレイヤー自身の責任であり、一枚のメモリーカードに魂を込めるような感覚すらありました。
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25年の時を経て発見されたこのカードは、単なる懐かしのゲームアクセサリーではなく、「自分の努力を守るために全力だった時代」の象徴ともいえる存在。
「まぜるな危険」……こう書かれたこのラベルには、データを消されたくないという切実な願い、そして真剣な情熱が込められていたに違いありません。
<記事化協力>
えきどれ♪さん(@k2k3t2)
(山口弘剛)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 山口 弘剛 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025101603.html
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