
年齢とともに骨の健康が気になってきますが、特に更年期世代は、意識をして対策をする必要があります。
管理栄養士の筆者が、骨の健康を守るために日常的に摂れる食材と効果的な食べ方をご紹介します。
■更年期と骨の健康との関係性
更年期は女性ホルモンが急激に減少します。
女性ホルモンには骨の新陳代謝を一定に保つ働きがあるのですが、ホルモン分泌量が低下すると骨の代謝バランスが変化して、骨を丈夫に保てなくなる可能性が高くなります。
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骨の丈夫さは、外から見て分かるものではないため自覚しにくいもの。そのため、更年期は特に骨の健康を意識すべき大切な時期だといえます。
まずは毎日の食事から、骨の健康維持に役立つ食材を取り入れて対策していきましょう。
■日常的に取り入れやすい骨に良い食材4選
(1)ヨーグルト
ヨーグルトには「カルシウム」が豊富に含まれています。カルシウムは骨の材料となる栄養素で、骨の健康を維持するためには欠かせません。
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カルシウムは、食材によって体内への吸収率が大きく異なります。
小魚や小松菜、牛乳・乳製品などにカルシウムは多く含まれていますが、その吸収率はそれぞれ約30%、約20%、40%であり、吸収率は圧倒的に牛乳・乳製品が高いのだそう。
ヨーグルトであれば忙しいときでも手軽に食べられ、吸収率も高いため、効率よくカルシウムを摂取することができますよ。
骨は夜寝ている間に作られることから、骨の健康を第一に考えるのであれば夕食後や就寝前にヨーグルトを食べると効果的です。
(2)サバ水煮缶
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サバ水煮缶などの缶詰食材には、切り身よりも約43倍ものカルシウムが含まれています。
缶詰は高温高圧で調理・製造されるため、サバの骨を取る必要がなく、柔らかくなった骨も一緒に食べられることから、カルシウム量が多いのです。
カルシウムは、酢と一緒に摂取すると吸収率が高まります。酢に含まれる「クエン酸」が、カルシウムを吸収しやすい状態にしてくれるのだそう。
そのため、「サバ水煮缶の南蛮漬け」や「サバ水煮缶ときゅうりの酢の物」「サバ水煮缶の酸辣湯麺」などのメニューで食べるのがおすすめです。
(3)しらす干し
しらす干しは、カルシウムや「ビタミンD」が多く含まれているのが特徴です。
乾燥して栄養素が凝縮している分、生のしらす(釜揚げしらす)よりも多くのビタミンDが含まれています。
ビタミンDは、カルシウムの吸収を促進する働きがあるため、しらす干しは骨の健康維持に最適な食材なのです。
単独で食べても効果的ですが、カルシウムが豊富な小松菜やチンゲン菜、カブの葉や大葉などの食材と組み合わせて食べるとさらに吸収率が上がります。
また、ビタミンDは脂溶性であるため、油など脂質を含むものと一緒に調理するのが効果的です。
「しらす干しとチンゲン菜のごま油ナムル」「しらす干しとカブの葉炒め」などのメニューがおすすめですよ。
(4)かぼちゃの種
かぼちゃの種にはカルシウムやポリフェノールの一種である「リグナン類」が含まれています。
リグナン類には、女性ホルモンのバランスを整える働きがあるとされており、その作用を通じて骨の代謝にも関与し、骨の健康維持に役立つと考えられています。
ほかにも、「鉄」や「亜鉛」などのミネラル類を多く含んでおり、血行促進や疲労回復など、体のさまざまな不調を和らげる効果が期待できます。
ポリポリとした食感でおやつ代わりにもなるため、常備しておくと良いかもしれませんね。これまでご紹介してきた、ヨーグルトや小松菜と和えてサラダにするのもおすすめです。
骨の健康に役立つ、常備しやすい食材を4つご紹介しました。毎日の献立に気軽に取り入れられる有能食材で、骨を守るための食習慣を付けてみてくださいね。
(フリーランス管理栄養士 今井尚美)