写真秋になるとどうしても眠くなる——そんな経験、ありませんか? 今回は、眠気にまつわる思わぬハプニングのお話です。
◆秋の眠気で、仕事や私生活に支障が
木戸優里さん(仮名・28歳・イラストレーター)は、毎年秋になると眠気に悩まされています。
「夏の暑さの疲れが出るのか、特に秋の始まりの頃は四六時中眠くて眠くて……。家で知らない間に寝落ちしてしまうのはまだいい方で、この間なんて彼氏の涼太(仮名・27歳/会社員)と電話で話している最中に寝て、怒られてしまいました」
毎晩7〜8時間は必ず睡眠を取っているにもかかわらず、寝起きもかなり悪く、スッキリと起きられる日は稀なんだそう。
「眠いと仕事にも集中できないし、人と会うのも億劫(おっくう)になるから人間関係も悪くなるし、最悪なんですよ。運動不足で身体も固まって、寝すぎて腰も痛くなるし……体調もいいとは言えませんね」
◆危機一髪! 自転車ごと車道に倒れかけて……
そんな優里さん、ある日その眠気のせいで危機一髪の事態に。
「夕方の商店街に自転車で買い物に行ったんですが、信号待ちをしながらサドルをまたいで立っていたら、ふと眠りに落ちて、そのまま車通りの激しい道路の方に倒れそうになってしまって。
間一髪のところで、たまたま隣にいたガタイの良いお兄さんが私を自転車ごと支えてくれたので事なきを得たんですが、あの時は本当に血の気が引きましたよ」
◆心配した彼氏が、思わぬ方向に話を進める
そのことを涼太さんに話すと、今度は怒るのを通り越してかなり心配されてしまい、秋の間は自転車に乗ることを禁止されてしまいました。
「さらに涼太が『そのうち、お風呂につかりながら寝てしまったり、台所で鍋を火をかけたまま寝て火事、なんてことになったら危なすぎる。だから、一緒に暮らそう。そうなったらもう追い追い結婚しよう』と勢いのままプロポーズされてしまい……眠気のせいでいいこともあるものだなと驚いてしまいました。もちろんOKしましたよ」
◆念のため大きな病院で精密検査
そして涼太さんに「そんなに眠くなる原因がもし病気だったら怖いから一応検査してもらってきてよ」とお願いされた優里さんは近所でいちばん大きな病院に行ってきたそう。
「かなり緊張しながら血圧などの検査を受け、脳のMRIも撮ってもらいましたが、結果は異常なしで安心しました。この眠気は毎年秋の短い期間だけのことで、冬になる頃には自然と治るので……単に気候が寝るのに適していて気持ちよくなりうつらうつらしてしまうだけのようです(笑)」
その後、検査結果に喜んだ涼太さんが、お祝いも兼ねてと婚約指輪をプレゼントしてくれたそうです。
<文/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop