警視庁のトラブル対応を巡る訴訟の控訴審判決後、記者会見する原告の南アジア出身の女性=16日午後、東京都千代田区 トラブルに駆け付けた警視庁の警察官の対応を巡り、南アジア出身の50代女性と日本国籍の長女(8)が東京都に計440万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が16日、東京高裁であった。萩本修裁判長は請求を棄却した一審東京地裁判決を変更し、計66万円の支払いを命じた。
判決によると、女性らは2021年6月、公園で見知らぬ男性から息子が女性の長女に蹴られたと詰め寄られた。事情聴取後、警察官は民事訴訟での利用を条件に男性に女性の住所や氏名、電話番号を伝えたが、男性はその後、SNSで女性の個人情報を記した多数の差別的な投稿をした。
萩本裁判長は、男性は現場で、差別意識から乱暴な言動を繰り返しており、個人情報を知れば誹謗(ひぼう)中傷をする危険があることを認識できたと指摘。「女性の承諾を踏まえても注意義務に違反し違法」と判断した。
女性側は、警察官が長女に「どうせお前が蹴った」などと発言したとも訴えたが、「警察官の行動として容易には想定し難い」として一審に続いて退けた。
判決後、都内で記者会見した女性側の代理人弁護士は「一部勝訴と言えるが、提訴の趣旨からすると全く満足のいくものではない」と話した。
警視庁の庄司博幸訟務課長の話 判決内容を精査した上で今後の対応を検討する。