2025年F1第19戦アメリカGP 角田裕毅(レッドブル) F1チームとドライバーたちは今週末のF1アメリカGPで、3つのチャレンジに直面しようとしている。
テキサス州オースティン郊外のサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)での最初のチャレンジは、ピレリがアメリカGPに向けて選択したタイヤである。F1タイヤサプライヤーのピレリは、オースティンで使用可能なハードとミディアムのコンパウンドの間に大きな性能差を設けることを選択した。ターン1の後に非常に高速なセクションを持つこのコースのために、ピレリはハードコンパウンドとしてC1タイヤを選んだ。だがC2は持ち込まず、代わりにC3とC4をミディアムおよびソフトとして提供することを決めたのだ。
これだけでもフリープラクティスでどのセットを使うかという判断を難しくするが、アメリカGPがスプリント形式で行われることが、難易度を倍増させる。実際、さまざまなコンパウンドを試せるのはわずか1時間のフリープラクティス1回のみであるため、チームはシミュレーションや過去のデータに大きく頼って走行計画を立てざるを得ない。さらにCOTAは、普段あまりレースで使われないために、プラクティス開始時の路面は汚れており、最初の走行では代表的なデータが得られないという厄介な事情もある。
ピレリは次のように説明している。
「今回は連続しない3種類のコンパウンドを持ち込む。前回それを実施したのはスパ・フランコルシャンで、その時と同じく今回も、ハードがC1、ミディアムがC3、ソフトがC4となる。ベルギーでは悪天候により、この選択が戦略にどのような影響を及ぼすかを確認することができなかった。したがってCOTAでのレースが、この組み合わせの実質的な初のテストとなるだろう。昨年のアメリカGPよりもハードは一段階硬いものとなり、ミディアムとソフトは同一だ」
「ハードコンパウンドとミディアムコンパウンドの性能差が拡大することで、理論的にはふたつのシナリオが考えられる。もしドライバーがC1(最も遅いが最も安定したタイヤ)を好む場合は、C3との組み合わせで1ストップ戦略が可能になる。一方で、C3とC4を組み合わせる場合は、より速いラップタイムが得られるものの、2回のピットストップがほぼ確実に必要になるだろう」
「ベルギーGPと同様に、オースティンでもスプリント形式が採用されるため、チームは1時間の走行時間の中で、ロングランとショートランの両方を通じてさまざまなオプションを試すしかなく、そのことが週末の展開をさらに不確実にする」
タイヤ、スプリント方式に続くオースティンでの3つ目の挑戦は、天候である。グランプリ前の木曜日、FIAはアメリカGPに対してヒートハザード宣言を行った。「本イベントのスプリントまたは決勝の時間帯のどこかにおいて、熱指数が31.0℃を超えると公式気象サービスから予報が出された」と、FIAは述べている。
前戦シンガポールで、F1史上初めてヒートハザード規則が適用された。冷却ベストの着用は任意であり、マックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトンはこのシステムについてポジティブな意見を示していない。今回、FIAにとっては、ドライバーたちから再びフィードバックを得る良い機会になるかもしれない。
[オートスポーツweb 2025年10月17日]