
いまも昔もこの世は弱肉強食。圧倒的な力をもつ強者=大手企業が業界を牛耳り、中小企業やフリーランスの多くは辛酸を舐める羽目になる───。
こうしたことは、どうやら殺し屋界隈にとっても例外ではないようです。スタイリッシュなアクションが話題となった韓国映画『キル・ボクスン』のシェアード・ユニバースへようこそ。
毎週金曜は各配信サイトで観られるオススメ作品を紹介する日。
今週もよく頑張った……週末はおうちでゴロゴロしながら、Netflix韓国映画『カマキリ』を観て、カウチポテトになっちゃお〜!
【あらすじ】
業界最大手の暗殺企業・MKエンターテインメントがつくった3つのルール「未成年者は殺さない」「会社が許可した作品(殺し)のみをつくる」「会社が許可した作品は必ずトライする」。
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この規則があることによって、いまや無所属の殺し屋は干され気味。こっそりルールを破って小金を稼ぐ者もいますが、そのことがバレるとMKから抹殺されてしまいます。
MKに対する不満が最大限に膨れ上がっているさなか、MKトップに君臨する代表・ミンギュが亡き者に……。あっという間に秩序が崩れ去り、殺し屋業界は混沌を極めることになるのです。
【ココが見どころ!】
<その1:最強の殺し屋・カマキリの帰還>
ミンギュ亡きあと、海外での休暇を終えて帰ってきた一流の殺し屋、カマキリ。両手にカマを携えた「二刀流」で作品をつくりあげる伝説の男です。MKの絶対的リーダーがいなくなったことで、カマキリは引く手あまたの状態になります。
カマキリを演じているのは、『イカゲーム』シーズン2、3で「333番」を演じたイム・シワンさん。
サイコな役を演じさせたら韓国で1番、といっても過言ではない方ですが、本作のカマキリは「どこか飄々とした愛すべきお兄ちゃん」という感じ。しかしそのいっぽうで、2本のカマを駆使してターゲットのカラダをバラバラにする(!)といった狂気的な技も披露しております。一見普通のお兄ちゃんだからこそ、余計こわいわ。
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<その2:親友&師弟による三つ巴決戦>
カマキリには、ジェイという殺し屋仲間がいます。MKに所属していれば安泰だったけれど、フリーで働くジェイのために起業までするのです。なぜなら、カマキリにとってジェイは大切な友人であり、恋心を抱いている相手でもあったから。
しかしジェイにとってのカマキリは絶対に勝てないライバルであり、目の上のたんこぶでした。そして、その気持ちが抑えきれなくなったとき、ジェイはカマキリのもとを離れる決意をします。
やがて訪れる対決のとき───。カマキリとジェイの師匠でもあるMKの現代表・トッコも加わり、殺し屋の頂点をかけた三つ巴の戦いに!!!
<その3:世界観を拡張していく「キル・ボクスン ユニバース」>
前作『キル・ボクスン』のスピンオフとして誕生した本作。世界観を共有するシェアード・ユニバース作品なので、作中には前作の登場人物もちらりと登場します。
また前作には「トッコは引退してカマキリは休暇中」といったセリフが出てくるシーンも! そのため前作を鑑賞しておくと、よりいっそう楽しめるはず。
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とはいえ、本作だけで十分楽しめることもたしかです。なにせ、作品冒頭でこれまでの流れをざっくり解説してくれていますし、新たな主人公による物語でもあるので、すんなりと入り込めることでしょう。
【ジェイとカマキリの行く末、彼らが選ぶ未来】
凄惨な殺しとダイナミックなアクション、社会人ならではの生きづらさ。さまざまな角度から楽しめる本作ですが、私個人としては、カマキリとジェイの関係性に注目してほしいなと!
というのも、このふたり、ずっとエモい。
はじめは仲の良い友人同士だったのに、片方は変わらず相手を慕い想い続けて、もう片方は「勝てない」という悔しさゆえに憎み続ける。けれど本当に、殺したいほど憎いわけではなく、むしろやさしさに感謝している。
なにがあってもジェイを助けて受け入れるカマキリと、そんなカマキリを憎みきれないジェイ。ふたりが選ぶ結末を、あなたのその目で見届けてあげてください。
■今回紹介した作品
Netflix映画『カマキリ』(原題:Mantis / 사마귀)
2025年9月26日から独占配信中
※カウチポテトとは:ソファや寝椅子でくつろいでポテトチップをかじりながらテレビやビデオを見て過ごすようなライフスタイルのこと。
執筆:田端あんじ (c)Pouch
Photo:Cho Wonjin © 2025 Netflix, Inc.