原口あきまささん ものまねタレントとして活躍する原口あきまささん(49歳)が、芸能生活30周年を迎え、50歳の誕生日に都内で単独ライブ「我夢謝裸(がむしゃら)」を開催。単独としては、実に15年ぶりの開催となる。
原口さんは25年前、タモリのものまねをするコージー冨田さんと組み、明石家さんまのものまねで大ブレイク。以後、そのレパートリーは200人を超え、後輩芸人たちとも積極的にライブをするなどものまね界を牽引。
私生活でも2010年に結婚。4人の子どもの父親としても奮闘中だ。芸能生活30周年、15年ぶりの単独ライブ、50歳、ブレイク25年、結婚15周年と、人生の節目を迎えている原口さんに、さまざまな話を聞きました。
◆単独ライブ開催のきっかけは清水ミチコの“一言”
――芸能生活30周年、単独ライブ15年ぶり、今年50歳、ブレイク25年、結婚15周年と、2025年はメモリアルな一年ですよね。
原口あきまさ(以下、原口):それも人に言われて「あそうだ」と気づいた感じですけどね(笑)。11月3日(月)が僕の誕生日で、そこで50歳になりますが、単独ライブをやるタイミングではあるんでしょうね。
――「我夢謝裸(がむしゃら)」というタイトルには、どのような想いを込めているのでしょうか?
原口:「我夢謝裸(がむしゃら)」というタイトルは、以前に単独ライブで使っていたものなんです。それ以来なので知る人ぞ知るタイトルで、当て字なんですけど、自分らしく夢に向かい、夢を叶えるために感謝の気持ちにウソなく、裸でぶつかっていこうぜという言葉にしたんです。でも、やっていることはものまねなんでウソばっかりなんですけど(笑)。
――久々に開催しようと思ったきっかけは何でしたか?
原口:2年前のある時、清水ミチコさんに「自分のライブやってる?」と言われたんですよ。その時「あ、単独ライブお休みしてるわ」と気づいて、ちょっとやらなくちゃいけないなと思ったんです。そういえば芸能生活30周年も去年過ぎていたなと(笑)。50歳になる年やし、これは久しぶりですが、やっておかなくちゃいけないだろうなということなんです。
◆結婚を機に“後輩も家族”と思うように
――なぜ開催しなくなったのでしょうか?
原口:それまではコンサートを年一でやっていたのですが、結婚してすぐくらいかな、変な責任感がわいて周囲のことを気にしだして。ものまね界を背負っていかないといけない、リーダーシップを取っていかないといけないと勝手に思いはじめたんですよ(笑)。
それでユニットライブだけをやって、ものまね界全体を盛り上げているつもりでやってきたのですが、ミチコさんの一言で自分のことをやっていないなと気づかされたんです。
――15年前にご結婚されているので、15年ぶりの単独ライブ開催ということで本当に時期が合っていますね。
原口:結婚して守るものができたっていうことですよね。子どもも増え、自分が引っ張って行かなくちゃいけない大事さみたいなものを、自分が家族を持って思うようになりました。
ものまねという芸能界でいう狭いジャンルだから、後輩も家族と思うようになった。勝手な使命感じゃないけれど、ものまね四天王さんが作ってくれた芸能界のジャンルを、僕ら世代に安心してバトンを渡せるように、僕ら自信も頑張らなくちゃいけないということで、動き出したところもあったんですよ。
◆夫婦円満の秘訣は、ルールを決めないこと
――結婚生活15年、夫婦円満の秘訣は何でしょうか?
原口:僕は嫁ちゃんに拾ってもらった感じだと思っているのですが、一番はコミュニケーションだと思います。コミュニケーションがなくなれば、絶対にヒビが入る。あとは歳の差かな。嫁ちゃんが9歳下なので、たとえば彼女の機嫌が悪くても、その歳にそうなってしまう理由がわかるじゃないですか。あとは、家庭内のルールを決めないようにしました。
――それは具体的には?
原口:何事も気づいたほうがやりましょうと。片付けでも何でもね。までも9割9分、気づくのはオレなんですけど(笑)。長いこと一人暮らしをしていたこともあって、どうしても気づいてしまうんですよね。ただ、そのほうが円満に過ごせる。ただただ、それだけですね。これは思いやりや愛情なんでしょうね。やってあげたいという気持ちが先にあるのかも。
――年上だから経験で年下の気持ちがわかるというのも素敵ですね。
原口:「どうして今日は機嫌が悪いの?」とか、気づいてあげることも大切じゃないですか。探るじゃなく勘でもいいので、「今日嫌なことあった?」と聞いてあげることで、自分のことわかってくれていると思うはずだから。気遣いですよね。それも無理しているわけじゃなくて、日常生活でナチュラルにしています。これは「すごいね」とよく言われるけれど、それが僕にとっては普通ですからね。
◆「向こうが動いている時にオレも動く」
――それが普通という感覚も素敵ですが、家事もやられているんですね。
原口:今4人子どもがいて、男の子が食べ盛りでね。ひとりで買いものに行くより、ふたりで行ったほうが荷物も楽じゃないですか。そいうことを考えます。洗濯もね、ある日嫁ちゃんが「わたしたちコンビネーションがいいよね」とふと言ったんですよ。
結婚のパートナーなんでもちろんコンビネーションは大事なんですけど、たとえば嫁ちゃんが洗濯ものを干している時に、俺は台所でたまっている洗いものをやっておくとか、向こうが動いている時にオレも動くんです。そうすると休憩時間も一緒になり、ということは一緒に外に出かけられる時間が生まれる。
――効率がいいですね。
原口:自分の時間って結婚するとなくなると思いますけど、なんとか作ることはできるんですよ。ふたりの時間もね。有効利用ですよね。子どもの野球や習い事の送り迎えも平日はオレがやっていて、その間に嫁ちゃんがご飯を作る。上手いこと回っている。
結局、お互いが相手に干渉しすぎず、相手に求めすぎずという感じがよくて。何かしてほしい、何かやってほしいで亀裂が生まれてくるような気がするんですよ。
――また、子育てという意味で、父親としてものまねをやっていてよかったことはありますか?
原口:長男・次男が年少くらいの話なんですけど、ものまねのご本人、さんまさん、高田純次さんがテレビに出ていると、「パパだ」って言うんですよ(笑)。最初の頃、楽しませようと思って必死だったんですよ。家に帰ってきて、インターホンのモニター越しに、鍵持ってるのにわざわざものまねして。そんなことを繰り返していました。
嫁ちゃんが調子に乗って「からの〜」とかふってくることもあって、最終的にプリンセス天功をふられた時は、画面から消えるしかなかったけど(笑)。最近ではもうやらないですけどね。さんざん現場でウケて帰ってきて、玄関前で滑らされたらたまらないですから。気持ちよく帰りたい(笑)。
◆「本当にやりたいことなら、全面協力する」
――次の30年といいいますか、将来はどのような夢をお持ちですか?
原口:仕事がなくなったら、俺たち家族で旅芸人だなという話はしています。一座ですね(笑)。酒が入った時の冗談ですけど、その時になってみないとわからないですけどね。ただ。子どもたちには自分たちがやりたいことをやってほしいです。本当にやりたいことなら、全面協力するというスタイルでいます。
僕は子どもの頃、やりたいことをやらせてもらえない環境だったんです。親は応援することしかできないから、経験してきたことを伝える。でもそれをまねする必要はないし、自分の人生だから自分が正しいことをしなさいと。早めに自分がやりたいことが見つかるといいねとは言っています。
――ちなみにお子さんがものまね芸人になりたいと言ったら?
原口:いやあ、200パーセント止めますね(笑)。
――全力ですね(笑)。
原口:全力ですよ(笑)。ほかのジャンルなら応援できるかもしれないけれど、同業だとマジになってより厳しくなっちゃうんで(笑)。
<取材・文/トキタタカシ>
【トキタタカシ】
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。