セバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2025年WRC第12戦セントラル・ヨーロピアン・ラリー 2025WRC世界ラリー選手権は10月19日(日)、第12戦『セントラル・ヨーロピアン・ラリー(CER)』の競技最終日デイ4が、ドイツ南東部パッサウのサービスパークを起点に行なわれ、日本のTOYOTA GAZOO Racing WRTから5台のトヨタGRヤリス・ラリー1が出走。カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)が総合優勝を飾り、TGR-WRTは5年連続、通算9回目のマニュファクチャラーズタイトル獲得を決めた。
エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)が総合2位を獲得してTGR-WRTがワン・ツー・フィニッシュを達成。前日のクラッシュから復帰したセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)も日曜のみの順位で競う“スーパーサンデー”と最終パワーステージを制して日曜日に獲得可能な最大ポイントを手にした。日本の勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)は総合4位、TGR-WRT2からエントリーのサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)は総合6位フィニッシュを果たした。
■ドライバー選手権が大きく動いたCER
CERの最終日デイ4は、ドイツとオーストリアで4本、合計77.78kmのステージが行なわれた。現地は早朝3度前後とかなり冷え込んでいたというが、青空が広がり、路面は全体的にドライコンディションとなった。
デイ4最初のスペシャルステージ(SS)15は、前日のデイリタイアから再出走したオジエを含む計3台のクルマが順調に走行を終えたが、ヒョンデの1台がクラッシュした段階でステージがキャンセルに。そのため、大部分のドライバーに対してノーショナルタイム(救済タイム)が与えられた。SS16ではスーパーサンデー最速の座を狙うオジエがベストタイム。総合3番手のエバンスも2番手タイムで続き、総合2位オィット・タナック(ヒョンデ)との差を5.2秒に縮めた。
次ぐSS17でもオジエは連続でステージウインを飾り、ロバンペラが4.6秒差の2番手、エバンスが4.7秒差の3番手、勝田が5.5秒差の4番手となり上位をTGR-WRTが占める結果に。これで首位ロバンペラはタナックとの差を42.9秒に拡げ、エバンスはタナックとの差を1.1秒に縮めた。
タイヤフィッティングゾーンを経て始まった最終のパワーステージSS18では、総合首位ロバンペラが3番手タイムでフィニッシュし、第9戦ラリー・フィンランド以来となる今シーズン3勝目を獲得。ロバンペラはさらにスーパーサンデーでも3番手に入ったことで合計6ポイントのボーナスを加算。ドライバー選手権ではオジエと同ポイントの2位となった。
一方、タナックと最後まで総合2位を争ったエバンスは、パワーステージを2番手タイムで走破し、タナックとの差を逆転して総合2位表彰台を獲得。また、スーパーサンデーでも2位となって合計8ポイントのボーナスを加算。デイ2でコースオフを喫したオジエに代わり、ドライバー選手権首位に返り咲いた。なお、今大会はコドライバーのマーティンにとってWRC出場200戦目。選手権首位に復帰するポジティブな結果で記念のラウンドを飾った。
オジエは前日のデイリタイアで総合成績によるポイント獲得は逃したが、最終日はパワーステージを含む全ステージでベストタイムを記録。スーパーサンデーでも1位を手にし、日曜の最大ボーナスポイントである10ポイントを加算。ドライバー選手権ではロバンペラと同ポイントの2位につけ、通算9回目となるタイトル獲得を見据えた位置につけている。
なお、TGR-WRTはロバンペラ、エバンス、オジエの活躍により合計60ポイントを加算。その結果シーズン2戦を残して5年連続6回目、トヨタとしては通算9回目となるマニュファクチャラーズタイトルを獲得した。なお、この9回のタイトル獲得は、ランチアの10回に次ぐWRC史上2番目の記録となる。
デイ3のチェコのSSで2本のベストタイムを刻むなど速さを発揮した勝田は、最終日を4、5番手のタイムで走行し総合4位でフィニッシュ。パワーステージ、スーパーサンデーでも4番手となり、ボーナスポイントを獲得している。重要なホームイベントとなる次戦ラリージャパンへ向け、ポジティブな形でCERを走破した。TGR-WRT2で乗る若手パヤリは、パワーステージで5番手タイムを記録し、総合6位でフィニッシュ。大会を通じて好タイムを重ね、経験値をさらに高めて難関ターマックラリーを完走した。
チームにとって選手権制覇を決めたCERを終え、ユハ・カンクネン代表代行は「今日、我々チームを心から誇りに思います」とし、コメントを発表している。
「ラリーのフィニッシュラインで1位と2位を獲得し、ふたたびマニュファクチャラーズタイトルを勝ち取ったと知った時、正直なところ目頭が熱くなった」
「私の役職において、それは、今年達成すべきもっとも重要なことだったからだ。これまでドライバーとしてはタイトルを獲得したことがあったが、チーム代表としてもタイトルを手にすることができたのは、私にとって5回目の世界選手権制覇のようなものだ」
「今年、チームのスピリットと雰囲気は素晴らしく、ドライバーたちも見事な仕事をしてくれた。エルフィン、セブ(オジエ)、カッレのランキング争いは現在非常に拮抗しているので、残り2戦はとてもエキサイティングな戦いになるだろう」
いよいよ次戦はトヨタのホームであるラリージャパン。愛知・岐阜を舞台に11月6〜9日にかけて開催される予定だ。
[オートスポーツweb 2025年10月20日]