木村拓哉(52)が20日、東京・丸の内ピカデリーで行われた山田洋次監督(94)の新作映画「TOKYOタクシー」(11月21日公開)完成披露試写会に登壇。劇中で、東京の柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設までマダムを送るタクシー運転手として名所を走行するシーンを演じるが、最新の撮影技術を使ってスタジオで撮ったと明かした。その上で「テクノロジーで囲まれた中でも人として大事なことは、こうじゃないか…テクノロジーではなく、あくまでも人が前に出る現場」と、山田組の心のあり方をたたえた。
「TOKYOタクシー」は、24年に日本アカデミー賞外国作品賞を受賞した22年のフランス映画「パリタクシー」(クリスチャン・カリオン監督)が原作。さえない日々を送る個人タクシー運転手が偶然、乗せた人生の終活に向かうマダムとの出会い、1日、旅をする姿を描いた。木村は個人タクシー運転手の宇佐美浩二、倍賞は85歳の高野すみれを演じた。
トークの中で、倍賞が山田監督の91作中、70作に出演していること、木村が06年の主演映画「武士の一分」以来19年ぶりの山田組への参加であることが紹介された。まず倍賞が、山田組の印象について「山田組に出ると、自分が勉強していなかったことが、よく分かる時があります。私にとっての『学校』かなと思っているんですね。芝居のではなく、人間としてどう生きていくか…作品を通じ、演じて考える人間の学校として出演しています」と語った。
木村は、倍賞に続いて質問されると「倍賞さんと同じですね」と、まず口にした。「監督という立ち位置にいてくれるんですけど、撮影現場という豊かさを教えてくださるというか、伝えてくださるというか、一緒に作業をしてくださる。作業場なんですけど、人の気持ちがすごく乗っかった。やっていて、うれしい…豊かなところ」と山田監督を評した。
その上で「タクシーの走行シーンに関しまして、映画を見てくださった方だからお伝えすると、僕が、すみれさんを乗せて走っているシーンは1回も走っていない。全てスタジオで撮りました」と明かした。そして「今のクオリティーのすごさを感じましたけど、あくまでも人が前に出る現場」と強調した。また、観客に「愛情の確認、愛してくれていることの感謝、逆に愛することの幸せを感じてくれたのかなと思います。ぜひぜひ、何度か乗車してくださったら、うれしいかなと」と呼びかけた。
|
|
倍賞と木村の共演は、2004年(平16)のスタジオジブリのアニメ映画「ハウルの動く城」以来21年ぶり。山田組への参加は、倍賞は19年「男はつらいよ お帰り 寅さん」以来6年ぶり。
完成披露試写会には、若き日のすみれの夫・小川毅役の迫田孝也(48)、浩二の妻薫役の優香(45)、クラリネットが得意な宇佐美家の1人娘奈菜役の中島瑠菜(19)と山田洋次監督(94)も出席した。
「TOKYOタクシー」は、27日に開幕する第38回東京国際映画祭のセンターピース作品に決定している。センターピース作品とは、37回を迎える前回の同映画祭で初めて設けられた。オープニング作品、クロージング作品と並ぶ目玉作品として映画祭の中盤を盛り上げる大作を上映し、24年は最初の作品として米映画「グラディエーター2 英雄を呼ぶ声」(リドリー・スコット監督)が選ばれた。
◆「TOKYOタクシー」 タクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)は、ある日、85歳の高野すみれ(倍賞千恵子)を、東京の柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設まで送ることに。すみれが浩二に「東京の見納めに寄りたい場所がある」と願い出たことから、2人で彼女の思い出の地を巡ることに。会話を交わし打ち解け、次第に心を許していく中で、すみれは自らの壮絶な過去を語り始める。たった1日の旅が2人の人生に想像もしなかった“奇跡”をもたらしていく。撮影は2月から4月まで東京近郊で行われ、倍賞が諏訪さくらを演じた山田監督の代表作「男はつらいよ」シリーズの舞台・柴又でも行われた。
|
|
|
|
Copyright(C) 2025 Nikkan Sports News. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。