2025年F1第19戦アメリカGP 角田裕毅(レッドブル) 2025年F1第19戦アメリカGPの土曜日のスプリントに続いて、日曜日の決勝レースでも角田裕毅(レッドブル)はスタートダッシュに成功した。
予選13番手に終わった角田のグリッドポジションは、18番手スタートのスプリントとは違って、アウト側となった。スプリントではイン側から1コーナーへ向けて、さらにピットレーン出口から伸びる白線の内側を利用して、4台のマシンをごぼう抜きした角田。アウト側からスタートするレースでは、どのようなアプローチで1コーナーの攻防へ向かうのかが注目された。
ブラックアウト直後、スタートダッシュを決めた角田は、スタートラインまでに12番手スタートのリアム・ローソン(レーシングブルズ)をパス。1コーナーへの上り坂では、イン側にオリバー・ベアマン(ハース)、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)らがいたため、スプリントのようにイン側ではなく、アウト側にラインをとったカルロス・サインツ(ウイリアムズ)との間にできた中央のラインにマシンをねじ込んでいく。
1コーナーを上ってターンインしたときには10番手スタートのアロンソの前に出て、ふたつポジションを上げて11番手となる。
「イン側のスプリントと違って、今日はアウト側からのスタートだったにも関わらず、スプリントと同じようにポジションを上げることができてよかったです」(角田)
その後も角田の攻撃は止まらない。マシンを左右に振って、10番手のニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)に襲いかかる。さすがにターン9までのコーナーが連続する区間ではオーバーテイクできなかったが、直後のヘアピンとなるターン10の飛び込みでヒュルケンベルグをアウトから抜き去った。これでポイント圏内の10番手に上がる。
「今日もスタートはよかったです。スタート直後の1コーナーでのポジションどりだけでなく、その後のペースも悪くなかった」と言う角田の攻撃は、その後も続いた。3周目の1コーナーでは、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)とサインツにオーバーテイクされて9番手に下がっていたベアマンのインに飛び込み、9番手を奪取。わずか3周で4つポジションを上げることに成功した。
攻撃だけではない。この日の角田は、前方で繰り広げられていたアントネッリとサインツの攻防を「何かあったら、いつでも隙をつけるようにしていました」と見ていたように、冷静さも備わっていた。直後の6周目に、アントネッリとサインツが接触。労せずしてふたつポジションを上げることができたのは、単なる幸運ではなく、冷静だったことが大きく関係していた。
ピットストップ後はベアマンの猛追をかわし、そのベアマンに代わって8番手に上がってきたヒュルケンベルグを寄せ付けなかった角田。土曜日に続いて、2日連続で7位でチェッカーフラッグを受けた。
スプリントと同じ7位でも、決勝レースの7位は6ポイント。前日の2ポイントと合わせて、週末に獲得した8ポイントは、アゼルバイジャンGPと並んでレッドブル移籍後、自己最多タイだった。
それでも、角田は冷静にこう言う。
「まだショートランの改善が必須です。ここが僕たちの課題であり、メキシコシティGPに向けて集中して取り組まなければなりません」
後半戦、明らかにパフォーマンスが改善してきた角田。2026年のシートを賭けた戦いは、まだ終わっていない。
[オートスポーツweb 2025年10月20日]