迫田孝也(48)が20日、東京・丸の内ピカデリーで行われた山田洋次監督(94)の新作映画「TOKYOタクシー」(11月21日公開)完成披露試写会に登壇。「自分が油をかけられる、あのシーンだけは、目を背けてはいけないと思いましたが…背けました」と吐露した。
「TOKYOタクシー」は、24年に日本アカデミー賞外国作品賞を受賞した22年のフランス映画「パリタクシー」(クリスチャン・カリオン監督)が原作。さえない日々を送る個人タクシー運転手が偶然、乗せた人生の終活に向かうマダムと出会い、東京の柴又から神奈川・葉山の高齢者施設まで送り届けて1日、旅をする姿を描いた。木村拓哉(52)は個人タクシー運転手の宇佐美浩二、倍賞千恵子(84)は85歳の高野すみれを演じた。
迫田は、蒼井優(40)が演じた若かりし日のすみれの夫・小川毅を演じた。「態度が豹変(ひょうへん)していく夫を演じました」「役の上では昭和の男、ちょっとバイオレンスの入りながらの役」と評するように、すみれと交際していた時と、結婚してからの態度は別人のように変わり、すみれに冷たく当たる。「油をかけられる、あのシーン」は、そうした夫婦のいさかいの中で描かれる1シーンだ。
迫田は、上映後の舞台あいさつだったため、観客に「皆さん、ごめんなさい」と舞台あいさつ冒頭から謝罪した。木村は、すかざす「油を用意しないでくださいよ」とツッコみ、山田洋次監督(94)は「謝ることはない」と言い、笑った。
迫田は、一連の毅の行動について「すみれが大好きで、大好きで、ああいう行動を取る。あなたのことが好きなのに、というのを忘れないように演じました」と、心中を分析した上での役作りを明かした。ただ、山田監督から「二枚目の空気を出してくれ…色気を出して欲しい」と演出された際は、困ったという。「色気を出したことがない。周りに味方もいない中、どう出せば良いか…幾つか提案した中で何%か、近いものが…」と振り返った。木村から「どなたもいないじゃないでしょう、味方が?」とツッコまれると「どうやったら色気を出せるか、という味方。言葉のセンスが私はない。提案した1つが、近いものがあるかと思い、手掛かりを持って演じた」と振り返った。
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山田監督は、毅について「かなり異常な人間だけど、違う人間じゃない。皆さんの、どこかに実はあるもの。彼は、異常に膨らんだ、かわいそうな人間」と評した。木村は「今、監督が言ってくださった、皆さんにもある一部分…否定したいけど、団地で暮らした家の中の表情と、お隣さんに見せる顔(との違いは)嫌だけど分かるもんね」と、山田監督の見解に同意。「僕と倍賞さん、優香さんは過去パートに参加できてない。初めて見た時、ショック、ものすごく大きかったよね」と言いつつ、浩二の妻薫役の優香(45)に視線を送った。優香も「何て、ひどい人だろうと…」と言いつつ、迫田に視線を送り、笑った。
この日は、クラリネットが得意な宇佐美家の1人娘奈菜役の中島瑠菜(19)と山田洋次監督(94)も出席した。
◆「TOKYOタクシー」 タクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)は、ある日、85歳の高野すみれ(倍賞千恵子)を、東京の柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設まで送ることに。すみれが浩二に「東京の見納めに寄りたい場所がある」と願い出たことから、2人で彼女の思い出の地を巡ることに。会話を交わし打ち解け、次第に心を許していく中で、すみれは自らの壮絶な過去を語り始める。たった1日の旅が2人の人生に想像もしなかった“奇跡”をもたらしていく。撮影は2月から4月まで東京近郊で行われ、倍賞が諏訪さくらを演じた山田監督の代表作「男はつらいよ」シリーズの舞台・柴又でも行われた。
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