日本テレビ(C)ORICON NewS inc. 放送倫理・番組向上機構(BPO)は21日、公式サイトで日本テレビ『月曜から夜ふかし』の「街頭インタビューの恣意的な編集に関する意見」を発表。「本件放送は恣意的な編集によって事実に基づかない虚偽の内容を放送し、取材対象者がソーシャルメディア上において想定外の誹謗中傷にさらされる事態を招き、民放連の放送基準及び日本テレビの取材・放送規範の各項目に反しているとして、放送倫理違反があったと判断した」と結論づけた。これを受け、同番組の公式サイトが更新された。
【写真】番組公式サイトに掲載されたお詫び全文 『夜ふかし』のサイトでは「2025年10月21日にBPOから通知された「月曜から夜ふかし」に関する意見を真摯に受け止めております。ご指摘をふまえて再発防止に向けた体制の強化や社員・スタッフの研修に取り組み、今後の番組制作にいかしてまいります」とした。
BPOのサイトでは「日本テレビは、2025年3月24日に放送したバラエティー番組『月曜から夜ふかし』の街頭インタビューのコーナーで中国出身の人の声を紹介したが、放送後この人から実際に話した内容とは違うという指摘を受けた。日本テレビは、制作スタッフの意図的な編集で当初の発言の趣旨とは全く異なる内容となっていたことを認め、番組ウェブサイトと社長会見で事実を公表して謝罪し、その後番組内でMCが謝罪のうえお詫びコメントを表示した」と経緯を紹介。
続けて「委員会は同年4月、放送倫理違反の疑いがあり取材から放送に至る制作プロセスを検証する必要があるとして審議入りし、日本テレビや制作会社の関係者を対象にヒアリングを実施。街頭インタビューを担当したディレクターが、オチが付き面白い内容になると考えて、中国出身の人が別の文脈で発言した言葉を恣意的につぎはぎする音声の編集を単独で行ったこと、発言していない内容を発言したかのように放送した結果、取材対象者がソーシャルメディア上で誹謗中傷にさらされる事態に至ったことを確認した」とした。
さらに「更に委員会は、なぜ制作幹部が恣意的な編集に気づかず、事案の発生を防げなかったのかについて検証した。その結果、▼放送内容の正確性を担保し、番組の制作過程に不正がないかどうか疑念を持つ意識が制作幹部に希薄だったこと、▼取材対象者に放送内容の真正性を確認する場が放送を許諾するよう仕向ける場となっていたり、番組の制作過程で生じた疑念を制作陣全体に共有する仕組みがなかったり、不正抑止のための仕組みが機能不全を起こしていたこと、▼制作陣が、取材対象者は自主的にオチのある発言をし、視聴者はそれを冗談だと受け止めると一方的に期待して、笑いやオチを優先させるなかで、不正リスクの軽視につながった組織風土が醸成されたことに問題があったと認めた。また、他国への偏見とはいえないまでも、他国の人々の感情を尊重する姿勢が不十分であったと付言した」と付け加えた。
その上で「以上のことから委員会は、本件放送は恣意的な編集によって事実に基づかない虚偽の内容を放送し、取材対象者がソーシャルメディア上において想定外の誹謗中傷にさらされる事態を招き、民放連の放送基準及び日本テレビの取材・放送規範の各項目に反しているとして、放送倫理違反があったと判断した」と結論づけた。
■『月曜から夜ふかし』騒動をめぐる時系列
3月24日:問題となる街頭インタビュー放送
3月27日:番組公式サイトで「お詫び」と題した文書を掲載。
3月28日:日本テレビも「この度の責任は、すべて日本テレビにあります」との声明を発表。
3月31日:問題発覚後初の放送も、言及なく、通常放送。
4月14日:BPOが審議入りを発表。同日放送では言及なく、通常放送。
5月12日:公式サイトで街頭インタビューの再開を報告。
9月11日:日本テレビ『2025年10月改編説明会』でコンテンツ戦略局 総合編成センター部長・大井秀一氏が「BPO審議に至ったことを極めて重く捉えています」としたうえで「一方で続けるという判断をしています」とコメント。「ひとつは再発防止策を社内で検討し、研修やチェック体制の見直しができることが確認できたこと。もうひとつは、視聴者の方から大きなご支持をいただけているということです。このようなトラブルが二度と起きないような再発防止策ができたうえで、引き続き面白い番組として提供できればと判断しました」と話した。
10月21日:BPOが「街頭インタビューの恣意的な編集に関する意見」を発表。『月曜から夜ふかし』公式サイトで声明。