2025年F1第19戦アメリカGP 決勝スタート FIAは2024年度財務規則に対するF1各チームの遵守状況の認証結果を、予想されていた時期から1カ月以上経過した現在も発表していない。2チームが規則を遵守できなかったものと考えられている。
メキシコシティGPを前にして、パドックでは、2チームが認証を受けられなかったとの見方が広がっていた。残りの8チームはすでにFIAから「問題なし」の通知を受け、2024年の支出に関して承認を得ているようだ。
その後、アストンマーティンは、『違反容認合意(Accepted Breach Agreement)/ABA』に署名したことを明らかにした。アストンマーティンの件は、3月31日の期限前にFIAに提出された完全監査済み書類に署名がひとつ欠けていたことに起因すると考えられている。
これは同チームの制御が及ばない事情によるものであり、チームは適切な署名を得られた時点で書類を再提出したという。アストンマーティンはFIAに状況を常に報告し続けており、支出額自体は上限を下回っていた。しかし署名の欠如により、手続き上の違反として、形式的には違反を犯したとみなされた。
参考までに述べると、2023年にはFIAコストキャップ管理者が9月5日に、全チームが2022年度の予算上限規則を遵守したと発表し、昨年は2023年度の支出に関して同様の発表が9月11日に行われた。
しかし今年は、10月最終週に入ろうとしている今も、そのような発表は行われていない。つまり、アストンマーティン以外のチームにも何らかの問題があることは明白であり、そのチームとFIAは、3月31日までに提出された書類をチェックし、連盟独自の調査結果と照合しているとみられる。
FIAからこの件に関する明確な声明はない。ただ、「FIAは特定のチームおよび/またはパワーユニット製造者による個別の提出物についてコメントしない。確立された慣行に従い、すべての提出物の評価が完了し確定した時点で審査結果を公表する」という公式コメントのみが発表された。
昨年のコストキャップは基本額が1億3500万ドルに設定されていたが、インフレとカレンダーの規模拡大に伴う調整により、約1億6500万ドルとなった。
過去に発表が9月上旬よりも遅れたのは2022年のみで、この時はレッドブルとアストンマーティンが2021年のコストキャップ規則違反を犯したと判定された。アストンマーティンの場合は、手続き上の違反で45万ドルの罰金を科された。一方、レッドブルは支出超過で軽微な違反(コスト上限の5パーセント未満)を犯したと判断され、700万ドルの罰金に加えて12カ月にわたり風洞試験およびCFD作業の10%削減というスポーツ上の制裁を受けた。
現在調査対象となっているチームも、支出超過違反を犯し、3年前のレッドブルと同様のペナルティを受ける可能性があると考えられている。
当然ながら、提出書類が承認された8チームは、昨年支出超過を犯したチームに対してスポーツ上のペナルティを科すよう、FIAに圧力をかけている。なぜなら、支出超過は、マシンに導入する開発やパーツの製造を増やすという、競技上の優位性につながるからだ。
一方で、そのチームは、来季のニューマシン開発に大きな影響が及ばないよう、どれほど高額であっても罰金での解決を望み、交渉していることだろう。
[オートスポーツweb 2025年10月24日]