2025年F1第20戦メキシコシティGP 角田裕毅(レッドブル)『角田車にも最新版フロントウイングを投入へ「コンマ3秒以上接近しても不思議ではない」とチームも期待/F1 Topic』の記事で報じた通り、2025年F1第20戦メキシコシティGPのフリー走行で角田裕毅(レッドブル)のマシンに最新のフロントウイングが装着された。
なぜ、メキシコシティGPから投入されたのか? レーシング部門責任者のジャンピエロ・ランビアーゼは次のように説明した。
「数がそろったので、2台とも投入することにした」
今回の角田のフロントウイングは、アメリカGPまでチームメイトのマックス・フェルスタッペンのスペアとして保管されていたものが角田に回ってきたというわけではなく、ファクトリーで新しく製造したものが投入されたと考えるほうが自然だ。
というのも、フリー走行1回目でフェルスタッペンのマシンを走らせたのは、若手ドライバー枠で参加したアービッド・リンドブラッドだったが、そのリンドブラッドが走るマシンにも最新のフロントウイングが装着されていたからだ。もし、アメリカGPまでのフェルスタッペンのスペアが角田に回されたとしたら、スペアパーツがない状態でリンドブラッドに最新のフロントウイングを使わせていたことになる。そんなリスクをレッドブルが冒すとは考えにくい。
この新しいフロントウイングの効果について、角田のレースエンジニアを務めるリチャード・ウッドは次のように語る。
「最新スペックは翼端板側のメインフラップが従来スペックよりも地面に近いため、グラウンドエフェクトが大きい。その分、フロントのダウンフォースは増えるけど、それに合わせたセットアップもこれまでとは違ってくるから、そこが金曜日の鍵になるだろう」
そんななかで始まったフリー走行1回目。新スペックの感触を確認しながら、徐々にペースを上げていった角田は8番手と悪くないスタートを切った。リンドブラッドにコンマ1秒遅れたのは、ベストタイムを出したタイミング。アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスはダスティなので路面の改善しろが大きい。中盤にベストタイムをマークした角田に対して、リンドブラッドがベストタイムをマークしたのは後半だった。
「FP1とFP2を通じてこれほど一貫したフィーリングを得られたのは久しぶり」と語る角田は、フリー走行2回目もトップ10圏内に入る7番手のタイムをマークした。
「ロングランとショートランの両方で改善すべき点はありますが、土曜に向けていい位置にいて、これまでの金曜日よりも状態がいい」
そう語る角田に、セッション後、ローラン・メキース代表が歩み寄り、しばらくの間、1対1で話し合っていた。
角田がフリー走行初日のふたつのセッションでともにトップ10に入ったのは、第5戦サウジアラビアGP(1回目10番手、2回目6番手)以来のこと。そのサウジアラビアGPで角田は予選で8番手を獲得。角田がレッドブルに移籍してからの予選最高位は第17戦アゼルバイジャンGPの6番手。今回のメキシコシティGPでそれ以上を期待しているのは、角田だけでなく、コンストラクターズ選手権2位の座がかかっているレッドブルのチーム全員の共通の思いだろう。
[オートスポーツweb 2025年10月25日]