
本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。 台北の街を爆走するノンストップ・カーアクション!
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『ドライブ・クレイジー:タイペイ・ミッション』評点:★3.5点(5点満点)
ポップコーン片手に楽しみたい王道ジャンル映画
邦題の印象や、『ワイルド・スピード』シリーズのサン・カンとルーク・エヴァンズが共演していることなどから、うっかり『ドライブ・クレイジー』という映画のシリーズがあるのかと思ってしまいがちだが、本作は独立した一本のアクション映画である。
製作と共同脚本を務めたのはリュック・ベッソンで、彼が製作した『TAXi』や『トランスポーター』のシリーズと同様、完全に肩の力を抜いて楽しめる王道ジャンル映画。
台北の麻薬王と彼を追うアメリカの捜査官の応酬に、かつて捜査官の恋人でいまは麻薬王の妻となっているヒロインが絡む物語はマンガ的でありつつも映画を引っ張るのに十分な牽引力はある。
意外なフックとなっているのはヒロインが麻薬王のもとで育てた13歳の息子で、現代っ子らしく、環境保護の視点に基づいて彼がとった行動が周囲を巻き込む一大事に発展する(麻薬王の表の顔は水産王なのだ)。
また本作の特徴は随所に回想を挟むストーリーテリングにあり、何がなんでも数分おきにアクション場面を提供する仕組みで、そのためいわゆる「ダレ場」が非常に少ないのもジャンル映画として正しい、文字通りの「ポップコーン映画」になっている。
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STORY:麻薬取締局の捜査官ジョンは潜入捜査に失敗。そこに密売組織の帳簿データについての匿名メールが届く。ジョンは情報を求め台北へ飛ぶが、メールの送り主の母は天才的ドライブテクニックを持つ、かつての恋人だった
監督・脚本:ジョージ・ホアン
出演:ルーク・エヴァンス ほか
上映時間:100分
全国公開中

