
10月4日より放送が始まったTVアニメ『僕のヒーローアカデミア FINAL SEASON』では、爆豪勝己の大きな見せ場が次々と描かれている。今わの際から奇跡の復活を果たし、オール・フォー・ワン(AFO)と正面から対峙する……。まさにもう1人の主人公といった扱いだ。
本稿ではこの機会に、爆豪がこれまでヒーローとしてどのような成長を辿ってきたのか紹介。“覚醒”に至るまでの軌跡を振り返っていきたい。
爆豪がヒーローを目指すようになった原点は、少年時代に抱いたオールマイトへの憧れにある。皮肉なことにその点はライバルである緑谷出久と同じだ。しかし天性の戦闘センスがあった上、「爆破」という優れた個性を持っていたことからプライドが肥大し、周囲を見下すようになってしまう。とくに無個性の出久のことは「道端の石っコロ」と見くびってイジメに近い態度を取っていた。
つねに「一番になる」ことを目指すストイックな姿勢は強みでもあるが、自分に欠けている部分を直視できず、他人と協力できないという意味で、大きな弱みでもある。そのことは雄英高校に入学した当初から指摘されていた。
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しかし爆豪は学園生活やヴィランとの戦いを通して徐々にこの欠点と向き合い、精神的に成長していく。それを象徴するエピソードの1つが、第7巻に収録された演習試験だ。
ここで爆豪は出久とチームを組まされ、オールマイトと模擬戦を行うことに。当然爆豪は拒絶反応を示し、出久の力を借りるくらいなら負けた方がマシだとすら言うが、その弱さをオールマイトに突かれて敗北しかける。だが出久から「諦める前に僕を使うくらいしてみろよ!」と諭され、苦渋の決断で共闘を受け入れるのだった。
また出久との関係性の変化でいえば、第13〜14巻に収録されたエピソードが印象的だ。爆豪は自分がヴィランに誘拐されたことが間接的にオールマイトを引退に導いたと考え、激しい罪悪感に苛まれていた。そして行き場のない感情を抱えたまま、出久に戦いを挑む。
そこで爆豪はいつもの傲岸不遜な態度とは打って変わって、不安と焦りに満ちた表情をさらけ出しながら、自分の弱さを赤裸々に打ち明ける。出久がオールマイトに認められて強くなっていく一方で、自分はオールマイトを終わらせてしまった……。そんな慟哭を浴びた出久は、全力で戦うことでその気持ちに応えようとする。
これは幼い頃から一緒にいた2人が初めて“本音”を語る転機でもあり、戦いの最中にはそれぞれ相手に抱いていた気持ちをぶつけ合う。いわく爆豪は幼い頃から出久が自分のことを本気で追い抜いていくつもりで、俯瞰したような目で見てくることに苛立ちを覚えていたという。
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戦いを終えた後、仲裁に入ったオールマイトは「互いに認め合いまっとうに高め合うことができれば」「最高のヒーローになれるんだ」という言葉を贈る。そして2人はここから過去の因縁から解放された“まっとうなライバル”としての関係に変わっていくのだった。
とはいえ出久がどう思うかとは別に、爆豪が本当のヒーローになるには、過去の過ちを清算していくことが必要だった。
爆豪の成長をよく示しているのが、第29巻収録の第284話で描かれた回想シーンだ。そこで爆豪は、かつて自分が出久を虐めていた理由を分析してオールマイトに語っている。
出久は自分を勘定に入れず、他人のために動く“ヒーローらしい”人間性だが、強さにしか価値を見いだせなかった爆豪はそれを理解できず、遠ざけようとしてしまったのだという。自分の弱さを的確に言語化し、それを憧れの相手であるオールマイトに打ち明けるのは、自尊心の塊だった頃の爆豪には到底できなかった行為だろう。
それに続く第285話で描かれているのが、「爆豪勝己:ライジング」。出久が目の前で死柄木弔に致命傷を負わされそうになった瞬間、爆豪が助けに入って代わりに串刺しにされてしまう展開を描いた回だ。“他人を助けるために身体が勝手に動き出す”という出久と同じヒーロー性が、爆豪にも芽生えたことが象徴的に示されている。
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さらに決定的な過去の清算を描いたのが、第33巻収録の第322話だ。孤独にヴィランと戦うことを決意した出久を引き留めるため、爆豪は雄英高校1年A組の面々と共に駆け付ける。
そして自分が今まで出久に対して何を思っていたのか、その本音のすべてを包み隠さず打ち明けると、「今までごめん」と謝罪。今の出久の姿はオールマイトの理想そのものだと認めた上で、出久を支える手助けがしたいと訴えるのだった。
ここにあるのは出久のことを救いたいという純粋な想いだ。あれほどプライドが高かった爆豪の姿はもう存在しない。真にヒーローとしてのスタートラインに立った瞬間と言ってもいいのではないだろうか。
なお現在『僕のヒーローアカデミア FINAL SEASON』で描かれている最終決戦では、爆豪の活躍が存分に描かれている。それはかつてのように負けん気だけで突っ張る少年の姿ではなく、仲間と肩を並べて戦うヒーローとしての姿だ。とくに第3話では、オールマイトを救うために出久と連携するのだが、そこで出久の手を自ら掴みに行くという胸が熱くなるシーンもあった。
出久に感化されて成長を続けてきた爆豪は、どんな形のヒーローとして完成するのか。その集大成がアニメでも描かれるはずなので、ぜひ最後まで見届けてほしい。
◤ 新ビジュアルが、来た。◢
『僕のヒーローアカデミア
FINAL SEASON』
【爆豪vsAFO】ビジュアル解禁!!
10月25日(土) 第4話(No.163)
「"個性"!!爆破!!」放送!!
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— 僕のヒーローアカデミア/ヒロアカ アニメ公式 (@heroaca_anime) October 18, 2025
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