月城かなと、宝塚退団後は挑戦と発見の日々「毎作品新しい出会いがある環境が新鮮で刺激的」

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2025年10月26日 10:10  クランクイン!

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クランクイン!

月城かなと  クランクイン! 写真:米玉利朋子(G.P.FLAG inc)
 元宝塚歌劇団月組トップスターで、昨年7月に退団後はドラマ、コンサートなど新しいジャンルにも積極的にチャレンジし、輝きを増し続ける月城かなと。この秋は、草なぎ剛が主演を務める『終幕のロンド −もう二度と、会えないあなたに−』(カンテレ・フジテレビ系)で2作目の連続ドラマ出演を果たす。遺品整理を巡るヒューマンドラマと、大人のラブストーリー、さらにはサスペンス要素が複層的に絡み合う展開が早くも話題を集める本作で新たな魅力を放つ月城に、退団から1年が経ち、さまざまな作品で経験を重ねた今の心境を聞いた。

【写真】気品あふれる美しさから目が離せない! 月城かなと、インタビュー撮りおろしショット

◆「ネタバレになるので言えないことも多い」役どころは新たな挑戦

――本作出演のお話を聞かれた時のお気持ちはいかがでしたか?

月城:連続ドラマへの出演は2回目ということで、前回感じた反省点や、もうちょっとこういうチャレンジをしてみたかったなということも今回は思い切ってやってみたいと思いました。共演の皆さんもすごく素敵な方ばかりだったので、驚きと共にご一緒できる喜びを感じました。

遺品整理のお話が主軸なのですが、私はそことは直接絡まない御厨家の人間なんです。草なぎさん演じる遺品整理の会社と御厨家がどういう風に絡んでいくのか楽しみながら台本を読ませていただきました。

――その中で、演じられる御厨彩芽という女性はどんな役割を果たしていくのでしょうか?

月城:それがですねぇ、何か言うとネタバレになりそうで、あまり言えないのが御厨家なんですよね(笑)。一見華やかに見える御厨家の中にいったいどんな闇があるのか?というのが見どころになると思います。

彩芽はバリバリ働く女性でありながら、御厨家の跡取りは要潤さんが演じるお兄さんの利人。そういうことだけでも、何か匂わせるものがあると思いますが、いろんな問題が起きているんです。それを……。言っちゃダメなんです(笑)。でも見るからに何かありそうというか、何かないとおかしいメンバーじゃないですか(笑)。絶対この人たち、何かあるだろうっていうくらい濃いメンバーで御厨家はお届けしているので、1話ずつだんだんと見えてくるところがあると思います。

――相関図によると、彩芽は御厨ホールディングス広報部のやり手広報部長で、中村ゆりさん演じる真琴の親友。かと思えば、予告では真琴と彩芽は本当に親友なのか?というような場面もありました。

月城:そうですよね。とても複雑な立場なんです。

でも今回ありがたいことに、撮影が始まる時には4話くらいまで台本を頂けていたので、最初から彩芽の中にこういうものがあるんだというのを理解しながら演じることができたのでよかったです。

――彩芽はどんなキャラクターですか?

月城:ちょっと強引なところがあるんですよね。ズカズカと人の気持ちに入っていくところがあるので、そこは意識しました。私は普段どちらかというと周りを窺っちゃうほうなので、「なんでこんなこと言っちゃうんだろう?」と自分と違うなと思いながらも台本をしっかり読み込んで臨みました。

――彩芽に共感するところはありますか?

月城:それがなかなか共感できるところがなくって。そういう意味でも挑戦だったなと思います。撮影の合間に中村ゆりさんが「私もそういう難しい役をやったことあるんだよね」とお話してくださったりと、いろんな人に受け入れてもらいながら撮影ができて、自分としても難しいなと感じたところはたくさんありましたけど、思い切って挑戦できたかなと思います。

――今後の展開で、彩芽のここに注目してほしいというポイントは…。

月城:今回の登場人物はひとりひとりすごく複雑なものを抱えていますが、それぞれの感情をしっかり描いてくださっています。彩芽の気持ちを表現するシーンがけっこうあるので、楽しみにしていてください。

◆草なぎ剛との初共演で驚いたこととは?


――主演を務められる草なぎさんにはどんなイメージをお持ちでしたか?

月城:誰もが知ってる大スターですよね。お芝居を拝見するとすごく繊細な心の動きを表現されています。

実際に対峙してみると、テイクを重ねていく中で、毎回私の芝居を受け取って違うお芝居をしてくださるんです。自然とやってらっしゃるその空気感に甘えさせてもらったという感じでした。草なぎさんと一緒のシーンは、彩芽が御厨ホールディングスの代表として対峙することが多く、彩芽の素の部分を出す機会はなかったんですけど、その中でもやはり、演じていて感じるものがたくさんありました。

――共演してみて知った新たな一面はありましたか?

月城:「はい、スタンバイ中で〜す」とかスタッフさんが言うことを草なぎさんが言ってくださるんです(笑)。それに笑っていいのか、一緒にイェーイ!とやっていいのか分からなくて。楽しい方だなと思いながら、そこに乗り切れなかったところがあったので、次にお会いする機会があったら一緒に仲間に入れていただきたいなと思っています。

――親友役の中村ゆりさんの印象はいかがでしょう。

月城:気さくに優しくいろいろお話してくださったので、とてもありがたかったです。でも、役としてはお互いつらい立場にいることが多かったので、和気あいあいと撮影というよりは苦しい場面をご一緒することが多かったかなという印象です。

――彩芽という役を離れて月城さん個人としては、草なぎさん演じる樹と中村さん演じる真琴のラブストーリーはどのようにご覧になられますか?

月城:お互い立場が難しいじゃないですか。ゆりさん演じる真琴には旦那さんがいて、草なぎさん演じる樹は奥様と死別されている。その2人の恋ですから、なかなか思うようにはいかず、もどかしかったり難しかったりするところがあるんですよね。どこまで2人の恋が進んでいくのか、2人の関係はどうなるのかという点も楽しみにして観ていただきたいですね。

――そして、御厨家です。父・村上弘明さん、母・小柳ルミ子さん、兄・要潤さん、そして月城さんという一家は、美の圧がすごすぎます。

月城:みなさんオーラがすごいですよね。お会いすると「ああ!」って圧倒される存在感で、いまだに慣れないです(笑)。皆さんとても優しい方たちばかりなんですけど、なにせオーラと存在感がすごいので、あの御厨家の集いは傍から見るとかなり濃いと思います。そこも見どころでもありますね。

――今回、Tver限定スピンオフドラマ『愛と妄想のロンド』の第2話『新・御厨家の味』(10月27日本編第3話放送後配信)にもご出演されます。

月城:そうなんです。本編ではちょっと緊張感のある御厨家ですが、そんな御厨家の本編では見られない少しほのぼのとした日常をのぞき見していただけるようなスピンオフになっています。こちらもぜひ楽しんでいただきたいです。

――タイトルにちなんで、『もう二度と会えない』誰かに会えるとしたら、どなたに会いたいですか?

月城:ネコを飼っていまして、ちっちゃかった時にもう一度会いたいですね。あとは、自分がちっちゃかった時の両親や祖父母にももう一度会ってみたいなって思います。

◆毎作品新しい出会いがある環境が新鮮で刺激的


――宝塚を退団して1年3ヵ月。新しい環境でのお仕事はいかがですか?

月城:毎作品空気感が違うということに少し慣れてきた感じです。「あ、今回はこんな空気で撮っていくんだ」と、それを楽しめるようになってきたかなと思います。

今までと違って毎回新しい方とお仕事する機会が多くなったので、ある意味新鮮ですね。今回の作品のタイトルじゃないですけど、もしかしたらもうご一緒することがないかもしれないから、ご一緒できる3ヵ月、4ヵ月を大事にしようという気持ちがより強くなってきたところもあります。

――連ドラデビューとなった『キャスター』では、SNSで「あのきれいな人は誰だ?」「さすが宝塚のトップスター!」と大きな話題を集めました。宝塚時代から月城さんを知っている身としては、「そうでしょう〜?」と自慢したくなる気持ちと、「あぁ、ついに世間に見つかってしまった…」という気持ちがない交ぜになりました(笑)。そうした反響を実感されたりはしますか? 街で声を掛けられたり…。

月城:全然ないです(笑)。街でも誰にも気づかれないですね。いや、気づいてほしいとかじゃなくてですけど(笑)。

――(笑)。退団直後にお話を聞いた時は、いろいろな引き出しを増やしていきたいとお話されていました。

月城:新しい方と出会うという機会が本当に増えたので、この方はこういうお芝居をされるんだ、今回はこういう撮り方をするんだと毎回勉強することも多いし、驚くことも多いです。シーンによっても毎回見せる顔も違われたりするので、「今日のシーンではこういうところを出されるんだ!」と刺激にもなりますね。短い間しかみなさんとご一緒できないけれど、一緒にお芝居することで人となりをちょっと知れたり、こういうところが素敵だなと思ったりがあって刺激的な日々を過ごしています。

自分としてはずっと必死にやってますね。作品によって求められるものが違ったりするので、毎回本当にドキドキしながら臨んでいる感じです。慣れることあるのかなっていう感じで…。

もちろん宝塚時代とは性別も違うから当然なのですが、今までやったことのない役ばかりで、役が違うからこそ、その役ごとに得られるものもまた違ってくるというか。こういう感情もあるんだと、今まで舞台では感じられなかったものもいっぱい発見しています。

――退団後、コンサートに、映画の吹き替え、ドラマも今回で3本目、さらには展覧会の音声ガイドなど、活躍は多岐にわたります。

月城:振り返ってみるといろいろ挑戦したなと思います。でもどのお仕事も次に活かせることがそれぞれあるなと思って。声の仕事はドラマとは関係ないとかじゃなくて、全部がその時やらなきゃいけないお仕事につながっている気がするので、これからもどんなことが待っているのか楽しみでもあり、ドキドキもあります。

――前回、退団後にぬか漬けを始めてすぐに諦めたというお話がありましたが、ほかに何か始められたことは?

月城:ぬか漬けは瞬殺でしたね(笑)。あの時はちょうど、新しいことを何かしなきゃと自分で思っていたんですよね。

これから始めたいことになるんですけど、舞台と比べて今は時間が不規則なことが多いので、早く寝られる術を身に付けたいです。明日の朝早いってなってもなかなか早く寝られないんですよ。何か考え事をしちゃって寝られないことが多々あるので、すっと眠れる方法を探すというのが今の課題です。

――古巣の宝塚でいうと、現5組のトップスターは、雪組でご一緒だった永久輝せあさん、月組でご一緒だった鳳月杏さん、暁千星さん、同期で同県出身の朝美絢さん、桜木みなとさん、と、月城さんとご縁のある方が勢ぞろいされています。

月城:確かに! なかなか直接観に行く機会がなくって残念なのですが、自分としても新しい世界で一生懸命頑張ることが宝塚への恩返しになるかなと思っているので、「観に行きたい」という気持ちをグッと抑えながら仕事を頑張っています。

今もなお現役で頑張ってる同期がいるっていうのは励みになりますし、卒業して初めて分かったのですが、現役でいる間に少しでも、楽しく、いい時間を過ごしてほしいなっていう思いが常にあります。みんなのそんな姿を見て、自分としてももっともっと頑張らないといけないなと思っています。

(取材・文:田中ハルマ 写真:米玉利朋子[G.P. FLAG inc])

 ドラマ『終幕のロンド −もう二度と、会えないあなたに−』は、カンテレ・フジテレビ系にて毎週月曜22時放送。

 月城かなとが出演するTVer限定スピンオフドラマ『愛と妄想のロンド』第2話「新・御厨家の味」は、10月27日本編終了後配信。

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