愛する人と築いた「居場所」を継ぐ法的権利がない…『これからの私たち - All Shall Be Well』予告編

長年連れ添った同性パートナーの死後、法的に家族と認められないがゆえに「遺産」と「居場所」を巡る問題に直面する女性を描き、昨年のベルリン国際映画祭LGBTQ映画最高賞＜テディ賞＞を受賞した『これからの私たち - All Shall Be Well』。現在クラウドファンディングも実施中の本作から、予告編とポスターが解禁となった。

本作は香港の同性愛に関する法律の問題点や根深く残る差別を描き、ベルリン映画祭でLGBTQをテーマにした優れた作品に贈られるテディ賞を受賞。同時に、深刻な住宅不足や就職難、経済格差などの問題も浮かび上がらせ、多角的な視点で香港社会をとらえている。

同性カップルだけではなく、事実婚カップルや、1人で老いる不安を抱えるシングルにとっても、他人事とは思えないテーマを映画にしたのは、『ソク・ソク』 で長年抑圧されてきた同性カップルの老年の愛を描いて高く評価されたレイ・ヨン監督。

愛する人に突然先立たれたアンジーの複雑な心情を繊細かつ力強く演じるのは、『ソク・ソク』で香港金像奨助演女優賞に輝き、話題作への出演が続いているパトラ・アウ。

パット役には30年以上も銀幕から遠ざかっていたマギー・リーが起用され、短い出番ながらも、自立し颯爽としたキャラクターを鮮烈に演じている。

同性婚が非合法の香港では、遺言状がなければ、世を去ったパットの遺産をアンジーに継ぐ権利はない。2人で力を合わせて築いた財産や2人で買った家であっても…。

今回解禁された予告編では、このベテラン俳優陣が織りなす緊張感と、法的な権利がない現実を突きつけられたアンジー（パトラ・アウ）の絶望、そして彼女を支えようとする友人たちの静かな連帯が克明に捉えられている。

また、あわせて解禁された本ポスターは、アンジーとパットが穏やかに寄り添う姿に、Screen Daily誌の「不公平な社会への、静かで、力強い異議申し立て。その訴えは、観る者の心を離さない。」という批評をコピーとして大胆に配置し、作品の持つ社会的なテーマ性を強く印象付けるデザインとなった。

『これからの私たち - All Shall Be Well』は12月13日（土）よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開。




（シネマカフェ編集部）