若い恒星の巨大フレア観測=初期地球への影響手掛かりに―京大など

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2025年10月27日 21:01  時事通信社

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時事通信社

太陽とよく似た恒星で年齢が約1億年と若い「りゅう座EK星」がフレア(恒星表面の爆発)に伴ってガスを噴出する様子の想像図。高温・高速の噴出が青で、比較的低温で速度の遅い噴出が赤で描かれている(国立天文台提供)
 京都大や米航空宇宙局(NASA)などの国際研究チームは27日、米ハッブル宇宙望遠鏡や京大せいめい望遠鏡(岡山県浅口市)などを使って若い太陽型恒星の表面で起きる爆発現象(フレア)を同時観測し、10万度の高温ガスが噴出する様子を捉えたと発表した。

 成果はこうした高温ガスが初期地球の大気組成や生命誕生に及ぼした影響などを知る手掛かりになるという。論文2編が同日、国際科学誌のネイチャー・アストロノミーとアストロフィジカル・ジャーナルに掲載された。

 太陽は今もフレアやそれに伴う高温ガスや粒子の噴出を起こしており、人工衛星や通信、電力網など地球環境に影響を及ぼすことがある。誕生から間もない太陽ではより大規模、高頻度で噴出現象が起きたと考えられているが、似た条件の若い恒星で同様の現象は観測できていなかった。

 京大の行方宏介特定助教らは昨年3月、地球から約110光年離れた年齢1億年程度の若い太陽型恒星「りゅう座EK星」を、ハッブル宇宙望遠鏡とせいめい望遠鏡、兵庫県立大のなゆた望遠鏡(同県佐用町)などで、紫外線と可視光で同時に観測した。

 その結果、太陽での観測史上最大に匹敵する規模のフレアが起き、約10万度の高温ガスに続いて1万度程度の低温ガスが噴出する様子を捉えることに成功。太陽で見られる高エネルギーの噴出現象が、若い恒星でも起きていると確認された。 

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