レース終盤に緊急ピットインを余儀なくされたCARGUY Ferrari 296 GT3(ザック・オサリバン/小林利徠斗/澤圭太) 2025スーパーGT第7戦オートポリス 10月18〜19日にオートポリスで行われた2025スーパーGT第7戦。GT300クラスは目まぐるしくいろいろなことが起こる展開となり、最終的に666号車seven × seven PORSCHE GT3Rが優勝を飾った。ただ、レース全体を振り返ると、2戦連続でポールポジションを獲得し、決勝でも最後までトップ争いに絡んだ7号車CARGUY Ferrari 296 GT3がリードしていた。
土曜日の予選ではQ1のザック・オサリバンがA組トップ通過を果たすと、雨絡みの難しいコンディションとなったQ2では、スリックタイヤにかけた小林利徠斗が最終アタックで逆転し、2戦連続でポールポジションを獲得。前戦SUGOでは、タイヤのデグラデーションに悩まされ、レース中は順位を落としていく展開だったが、オートポリスでの決勝はスタートから小林が後続を引き離していく走りをみせた。
しかし、1回目のピットストップが終わると、0号車VENTENY Lamborghini GT3が逆転でトップに浮上。7号車CARGUYの第2スティント担当であるオサリバンが果敢に仕掛けるも、前に出ることはできなかった。
「40周くらい0号車の真後ろを走ったから、今ならランボルギーニの後ろ姿を描けるくらい、シルエットが記憶に残っているよ(笑)。すごく近くにはいたけど、ペースもほぼ一緒だったから追い抜くことができなかった」とオサリバン。
パートナーの小林もペースの良さは感じていた様子だが、最新鋭GT3マシンならではの特徴が影響したトップ争いだったと振り返る。
「ペース的にはこちらに分はある感じでしたけど、直接(0号車の)後ろを走っていると、僕たちのクルマはだいぶダウンフォース抜けをしてしまい、まるで(ダウンフォース抜けの挙動変化が)フォーミュラカーのような感覚でした」と小林。
自身のスティントでも他車の背後につく場面があったというが、そこで相手を追い抜くというのは難しかったようだ。
「本当にタイミングを合わせて、不意をつくような感じでパッと行ければ速かったんですけど、後ろにつくと厳しかったですね。また、加速も他車と比べて遅い場所があったので、単独で走ることができれば問題はないのですが、後ろに入ってしまうとなかなか厳しいです」
「なので、ザック選手のときは苦しみましたけど、基本的なペースは僕たちの方が間違いなく速かったです。スタート直後も後ろを引き離しましたけど、あれでも僕は少し守っていたくらいなので、相当速かったと思います」
■ドライブスルーに緊急スプラッシュで慌ただしくなった最終スティント
最終スティントに入るところで、ふたたびトップに返り咲いた7号車だが、残り1時間は予想以上に慌ただしくなった。まずは黄旗区間で追い越しがあったとして、0号車とGT500クラスの37号車Deloitte TOM’S GR Supraに対してドライブスルーペナルティが科された。
これは、59周目のメインストレートで360号車RUNUP RIVAUX GT-Rの左リヤタイヤにトラブルが発生し、ピット出口脇で止まったことが関係している模様。ちょうど2回目のピットストップタイミングだったことと、フルコースイエロー(FCY)導入を見越して何台ものマシンがピットストップを済ませた。このときに、イエロー区間になっているメインストレート後半で、ピットアウトしてきた1台を追い抜いたことでペナルティになったようだ。
ただ、幸いなことに後続とギャップが大きかったこともあり、ドライブスルーペナルティを消化しても7号車CARGUYはトップを維持。今季2勝目が見えてきていたが、今度は燃料が足りなくなるというトラブルが発生した。
「“Low Fuel”の警告が出て、ずっとピットと無線でやりとりをしていました。ただ、チェッカーまでかなり時間があるところだったので『これは持たないだろう』ということでピットに入りました」と小林。これで7号車CARGUYは2位に後退して、そのままチェッカーを受けた。
ただ、緊急スプラッシュでも給油量が十分ではなかったようで、フィニッシュ後クールダウンラップ途中のセクター3でマシンがストップする事態に。ピットで様子を見ていたオサリバンは「詳しいことは調べてみる必要はあるけど、ピットで計算していたものと実際に入っていた量が違っていた。そこは不運だった」と語った。
勝てるだけのパフォーマンスがあっただけに惜しい2位。「1スティント目も3スティント目もペースが良かったので……だからこそ勝ちたかったですね」と小林は悔しさを滲ませていた。
それでも、後半戦で一気にポイントを稼いだことで、7号車CARGUYは首位から4.5ポイント差のランキング3位で最終戦もてぎに臨む。
「もてぎはオートポリスほど相性は良くないと思っているので、今回のような良い感じのレースができるかどうかは分かりません。ですが、できるだけ最善を尽くしたいと思います」と小林。
一方のオサリバンは「最終戦はノーウエイトになる。チャンピオンを獲れる可能性もあるから、とにかく全力で頑張るだけだ。もてぎもスーパーフォーミュラで経験しているコースだから問題ない」と前向きだった。
[オートスポーツweb 2025年10月28日]