
東京国際映画祭ガラ・セレクションに出品した映画「ナイトフラワー」(内田英治監督、11月28日公開)の公式上映が28日、ヒューリックホール東京で行われた。内田英治監督(54)は、質疑応答で観客からキャスティングについて聞かれ「(芸能界における)政治的なキャスティング、人気ある人とか、いろいろあるけど、自分が内面的に(魅力を感じる)もしくは、何かを秘めていて現場で爆発することをお目にかかれるという期待がある方」と忌憚(きたん)のない思いを語った。
「ナイトフラワー」は、内田監督が脚本から手がけたオリジナル作品。21年に日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した「ミッドナイトスワン」の脚本を書いた時、同時に夜の犯罪社会で生きる「母」についてのストーリーを思い浮かべ、作り上げた。主演の北川景子(39)が、2人の子供の夢をかなえるためにドラッグの売人になることを決意したシングルマザー永島夏希、森田望智(29)がタッグを組む格闘家・芳井多摩恵を演じた。
内田監督は「東京国際映画祭は6年ぶりくらいに来ました」と、東京国際映画祭に久しぶりに参加した感慨を口にした。その上で、作品について「日が当たるところより、日の当たらないところで頑張っているキャラクターが好き」と語った。
そして、関西テレビ所属の吉條英希プロデューサーに視線を送り「テレビ局の方なので、100%、一緒にやってはくれないだろうと思ったんですけど…自分たちの幼少期の話をして、お母さんと頑張ってこられたと。そのあたりも脚本に織り込みました」と語った。同プロデューサーは「最初に画面に出てきたものがナチュラル、リアリティーがあり、ドキュメンタリーみたいだった。ご一緒して、こんな感じなんですけど、穏やかな監督の人柄が現場にあり、ピリついてなく、俳優が落ち着いて芝居できる。すごいなと思ったのは演者と監督の距離感が近い。安心して芝居ができると思いました」と内田監督を評した。
内田監督は、観客からキャスティングについて聞かれ「昔は、役者を信用していない時期があった。演出主導…僕も若い時、そういう時代があった。ある日、役者さんをバックアップする仕事だと思った。その場の(俳優の)内面的な仕事が大事。僕らはバックアップすれば良いという時代を経て今がある」と、役者との向き合い、演出に転換点があったと明かした。
|
|
|
|
内田監督は、公式上映の最後に「米国に行って、映画の衰退を感じました。でもスクリーンで見るのは良い文化。日本ではオリジナル映画は5%の文化…応援していただいて。公開は1カ月後…文句でも良いんで、発信してもらいたい」と観客に呼びかけた。
◆「ナイトフラワー」 借金取りに追われ、2人の子供を抱えて東京へ逃げてきた永島夏希(北川景子)は、昼も夜も必死に働きながらも、明日食べるものにさえ困る生活を送っていた。ある日、夜の街で偶然、ドラッグの密売現場に遭遇し、生きるため、子供たちのために自らもドラッグの売人になることを決意する。そんな夏希の前に心に深い孤独を抱える格闘家・芳井多摩恵(森田望智)が現れる。ボディーガード役を買って出た多摩恵とタッグを組んだ夏希は、さらに危険な取引に手を伸ばしていく。ところが、ある女子大生の死をきっかけに、2人の運命は想定外の方へと動き出す。
|
|
|
|
|
|
|
|
Copyright(C) 2025 Nikkan Sports News. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。