
倍賞千恵子(84)が29日、ヒューリックホール東京で行われた、東京国際映画祭センターピース作品に選ばれた山田洋次監督(94)の新作映画「TOKYOタクシー」(11月21日公開)公式上映に登壇。国際映画祭のため、同時通訳を交えての舞台あいさつで「自分が出た映画で、日本で初めて通訳の人を交えてあいさつする。どの程度、長く話せば良いのか…」と1961年(昭36)に映画「斑女」でデビューして以来、64年での“初体験”だと明かした。
「TOKYOタクシー」は、24年に日本アカデミー賞外国作品賞を受賞した22年のフランス映画「パリタクシー」(クリスチャン・カリオン監督)が原作。さえない日々を送る個人タクシー運転手が偶然、乗せた人生の終活に向かうマダムと出会い、東京の柴又から神奈川・葉山の高齢者施設まで送り届けて1日、旅をする姿を描いた。倍賞は85歳の高野すみれ、木村拓哉(52)は個人タクシー運転手の宇佐美浩二を演じた。倍賞は「ゆっくり、お話しさせていただく…途切れ途切れになって、分からなくなっちゃうかも知れない。自分の出演させていただいたのが、こういう形で皆さんの前で話すのが理解できない」と戸惑い、照れ笑いを浮かべた。
トークの中で、台湾、香港、シンガポールでの公開が決定していると発表された。倍賞は「1つの山登をしたと思っている。こういう山だろうな、と全員が集まって『TOKYOタクシー』という山に登りました。形がなかった山だったんですけど、富士山よりすばらしい山に登ることができた。私にとって、忘れられない作品になりました」と作品を評した。その上で「試写をやって、見た友人が『倍賞さんが生きていて良かった』と言うのを聞いて、うれしくなりました。そんな、すてきな山田さんの作品に出演できて、うれしかったです。今後とも、どうぞよろしくお願い致します」と山田監督に頭を下げた。
センターピース作品とは、37回を迎えた前回の同映画祭で初めて設けられた。オープニング作品、クロージング作品と並ぶ目玉作品として映画祭の中盤を盛り上げる大作を上映し、24年は最初の作品として米映画「グラディエーター2 英雄を呼ぶ声」(リドリー・スコット監督)が選ばれた。
◆「TOKYOタクシー」 タクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)は、ある日、85歳の高野すみれ(倍賞千恵子)を、東京の柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設まで送ることに。すみれが浩二に「東京の見納めに寄りたい場所がある」と願い出たことから、2人で彼女の思い出の地を巡ることに。会話を交わし打ち解け、次第に心を許していく中で、すみれは自らの壮絶な過去を語り始める。たった1日の旅が2人の人生に想像もしなかった“奇跡”をもたらしていく。撮影は2月から4月まで東京近郊で行われ、倍賞が諏訪さくらを演じた山田監督の代表作「男はつらいよ」シリーズの舞台・柴又でも行われた。倍賞と木村の共演は、04年のスタジオジブリのアニメ映画「ハウルの動く城」以来21年ぶり。山田組への参加は、倍賞は19年「男はつらいよ お帰り 寅さん」以来6年ぶり、木村は06年の主演映画「武士の一分」以来19年ぶりとなる。
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