火災事故に遭った自身と近隣住民を支援するためのチャリティ公演を終えた林家ペーさん・パー子さん晩婚化と高齢化に物価高や金利上昇が重なり、70歳前後で破産の危機に瀕する人が増え続けている。長く働いて稼ぎ続けるという解決策もあるが、実際にはシニア再就職市場は超狭き門。経済的不安に加えて病気や家族の問題まで抱える高齢者たちの現実を追った。
◆避けられない理由で破産危機に瀕することも
老後破産に繫がる収入減や病気、借金は避けられたかもしれないきっかけだ。一方で、努力しても避けられない理由で、高齢者はたちまち破産危機に瀕することもある。
9月19日、東京都北区のマンションで起きた火災事故が大きな注目を浴びた。出火元となった住居の主が林家ぺー(83歳)・パー子(77歳)夫妻だったからだ。
報道によると室内は真っ黒に焼け焦げ、トレードマークであるカメラで撮りためた写真は水浸しに。自宅にいたパー子さんはからくも逃げ延びたが、“4人”の愛猫を亡くしたという。
◆金銭的にも余裕がない状況
「火元は老朽化したコンセントからの漏電で過失はないようですが、住民へのお詫びと話し合いを続けていて、しばらく大変な状況が続きそう」
夫妻と親しい関係者はこう話す。さらに、金銭的にも余裕がない状況だという。
「ぺーさんはフィルム写真を撮るので、現像代などで毎年100万円以上かかり、人付き合いも多いのでお金が残らない。貯金もほとんどないそうです」(スポーツ誌記者)
◆どん底に叩き落された2人だが…
家も家族も失い、お金はない……。どん底に叩き落された2人だが、今、周囲の支援を受けて立ち直りつつある。
「捨てるカミあれば、拾うカミありで、たい平師匠に拾ってもらってね」
10月20日、浅草東洋館には“ペーパー”にかけて笑いを取るペーさんの姿があった。林家たい平氏が2人と火災被害に見舞われた同じマンション住民を支援するために主催したチャリティ公演だ。
◆老後の危機を救うのは…
「元気な2人の姿を見られて本当によかった。目を真っ赤にしながら話すから、こっちも泣きそうになった(苦笑)」
そう話すのはこの公演のために群馬から駆けつけた60代夫婦。200席のチケットは即完売し、3000円のチャリティTシャツも完売に。仲間とファンの温かい支援により、2人は老後破産の危機から抜け出そうとしているのだ。
「ありがとうございます。皆様には、感謝しかありません」
公演後、記者の直撃にそう答えたペーさんは翌日も新宿末廣亭の寄席に出演。温かい拍手に迎えられ、目をピンク色に充血させていた。老後の危機を救うのはお金でなく、人との繫がりなのだ。
※週刊SPA!10/28発売号より
取材・文/週刊SPA!編集部
―[[70歳破産]の悪夢]―