Z世代社員が電話を怖がるのは「真面目すぎるから」? 心理的ハードルを高める要因とは

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2025年11月05日 17:20  マイナビニュース

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「最近の若手社員が何を考えているのか、さっぱりわからない」――これは、長年上司世代が抱える共通の悩みかもしれません。しかし、社会環境が大きく変化する現代において、Z世代と呼ばれる新入社員の持つ価値観や行動は、これからのビジネスを加速させる大きな「強み」になり得ると考えます。



自身の業務に加え、新入社員の育成を担う管理職や先輩社員は、これまでの「当たり前」を押し付けるだけでは、彼らのポテンシャルを引き出すことはできません。新入社員が育った環境を理解し、その特性を活かしたコミュニケーションと育成方法を探っていくことが不可欠です。



本連載では、新入社員の特性を理解し、AIや音声解析といった最新技術も活用しながら、彼らが生き生きと活躍できる環境をどう創るか、そのヒントをお届けします。

困っても相談できない、間違えたらどうしよう……コールセンター業務でZ世代が抱える不安



Z世代の多くは、LINEやチャット中心の環境で育ち、電話を使う機会が激減しています。この「電話離れ」が、コールセンター業務への心理的な壁となっています。



電話では、テキストと違い、その場での対応が求められます。「間違えたらどうしよう」「言葉に詰まったらどうしよう」「正しく報告できるだろうか」という不安から、失敗を避ける傾向にあるZ世代の心理的なハードルを非常に高くしています。


この「失敗を避けたい」という傾向は、裏を返せば「完璧に、正しくやりたい」という彼らの責任感の強さ、真面目さの表れです。しかし、電話で求められる即時対応では、彼らがデジタル環境で鍛え上げた「情報検索能力」と「要約能力」を活かすことができません。



さらに、電話の場合は「声」のコミュニケーションとなるため、相手の感情や意図といった非言語情報が読み取りにくいという難しさがあります。Z世代は「曖昧さ」を嫌う傾向があり、テキストでの明確な指示・応答に慣れているため、即時性・感情的な要素が強い「電話」の環境そのものに強いストレスを感じます。



彼らが慣れ親しんだデジタル環境では、検索や準備ができる「透明性」が確保されています。この「透明性がない」状況こそが、Z世代のストレスの根源です。

採用難に追い打ちをかけるコールセンターの構造的課題



さらに、コールセンター運営の難易度は、年々高まっています。

○コールセンターの抱える課題


業務の複雑化:顧客のニーズや価値観が多様化したことにより、対応が複雑化し、オペレーターのスキルアップが課題となっています。

心理的負担の増加:カスハラ(カスタマーハラスメント)の社会問題化によるオペレーターの心理的負担が増加し、離職率の高さに拍車をかけています。

高コスト体質:高い離職率により、人材育成に継続的にコストがかかるという悪循環に陥っています。さらに、退職したZ世代がSNSなどでネガティブな口コミを拡散し、採用活動における企業イメージの低下など、Z世代特有のリスクも顕在化しています。


上記に加え、Z世代の場合は「電話への恐怖心」という特性が加わることで、課題はより深刻化しています。彼らの不安を取り除き、安心してスキルを磨ける環境を提供することが、業界全体の課題解決にも繋がります。

Z世代が安心して働けるコールセンターとは



Z世代が電話に苦手意識を抱える一方で、電話対応で培った伝える力や言葉遣い、臨機応変な判断力は、ビジネスのさまざまなシーンで活用できます。例えば、オンラインの会議や商談の場合も、画面越しに相手の反応や感情を瞬時に察知するのは難しいものです。相手の反応を見ながら話す、的確な質問をする、分かりやすく説明するなど、電話応対で磨いたスキルは、対面やオンラインのコミュニケーションの場でも役に立ちます。



このポテンシャルを引き出すには、まず電話対応の恐怖心を「安心」に変える環境を作りましょう。

○1.「困った時に相談できるスキル」を身につける



いきなり顧客対応を任せるのではなく、発声練習からはじめ、基本的なビジネスマナーを身につけ、トークスクリプトをもとにロールプレイングの機会を設ける等、少しずつ慣れていく機会を提供します。特にロールプレイングでは、「完璧な対応」ではなく、あえて解決できない状況を作り、「困った時に相談するスキル」を培いましょう。これにより、「完璧に、正しくやりたい」という責任感の強さからくるプレッシャーを解消することができます。

○2.デジタルツールで「透明性」と「公平な評価」を担保する



顧客対応の実践の場では、リアルタイム文字起こしや上司にヘルプサインを出す機能などを取り入れましょう。これにより、「一人で対応しなければならない」というプレッシャーを「いつでも助けてくれる環境への安心感」に変えることができます。



次回はAIを活用した具体的なコールセンター業務の育成・サポートの例を紹介します。



中村 有輝士 なかむら ゆきのり BPOコールセンターに10年間勤務。オペレーター、スーパーバイザー、マネージャー、営業など一通りの業務を経験。その後、外資の証券会社で、日本にある営業部門とシンガポールにあるカスタマー部門をマネジメント。2020年7月よりRevCommに参画し、カスタマーサクセスのマネージャーを経て、コールセンター向けプロダクト「MiiTel Call Centerプロダクトマーケティングマネージャーを担当。福岡県在住。 この著者の記事一覧はこちら(中村 有輝士)

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