
三菱UFJフィナンシャル・グループは、2026年春から「同僚手当」という制度を始めます。
同僚手当とは、男女問わず連続1カ月以上の育児休業(以下、育休)を取得した社員の担当業務をカバーする同僚に、最大10万円を支給するもの。同僚2人でカバーしたら10万円を2人で分けるなど、人数で分配します。三菱UFJ銀行はじめ、系列会社の従業員約3万8千人が対象です。
ねらいは、特に男性の育休推進です。日本の育休取得率は女性が86.6%で男性は40.5%(2025年7月、厚生労働省)。今は働きながら育児する女性が多く、それでも夫が長時間勤務で“ワンオペ育児”を強いられています。こうした娘たち世代を救うために、男性の育休取得が重要なのです。
実は、従業員1千人以上の企業では、2023年度から育休取得状況の公表義務化などがあり、育休取得率は男性も上昇しています。三菱UFJ銀行でも、育休の男性取得率は98.8%です(2024年度)。
残された問題は取得期間です。三菱UFJ銀行は女性が平均464日に対して、男性は平均16日間。そこで、長期取得を促すために、1カ月以上の育休取得を同僚手当の支給条件にしたのでしょう。
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ほかにも三井住友銀行は10月から、男性社員を対象に1カ月間の育休取得を原則必須としました。そのうえで、男女に関係なく育休取得者と、所属する部署の同僚に1人5万円の報奨金を支給します。
大企業だけではありません。読売広告社は2022年度から育休取得者の所属チームに報奨金を支給します。支給額は育休が2週間なら10万円、1週間だと5万円です。
■ANAでは介護休業を最大1年間取得可能に
これらの取り組みが進み、育児負担が女性に偏らず、夫婦で協力して子育てができる働き方が浸透してほしいと思います。
いっぽう、読者世代が渦中にいるのは介護でしょう。「介護休業」は育休以上に取りづらく、毎年約10万人が介護離職しています。2030年には介護する人の4割、約318万人が働きながら介護する「ビジネスケアラー」になると見込まれ、介護休業を取りやすくすることは喫緊の課題です。
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そんななか、介護休業に取り組む企業も出てきました。大和ハウスグループのGOOD PLACEは、育休に介護休業も含め休業者の業務を引き継ぐ従業員に最大月10万円を最長6カ月支給します。
全日本空輸(ANA)は国の規定では93日間の介護休業を、最大1年間取得可能としています。
鉄鋼業の大谷製鉄は介護休業中に雇用保険から支給される「介護休業給付金」に、給料の10%を上乗せ支給しています。
国にも介護休業にもっと注力していただき、“介護中の休業取得は働く人の権利”という認識が広がってほしいと思います。
育児休業や介護休業はパートでも取得できます。退職を決める前に「介護休業を取りたい」と申し出てみてはいかがでしょう。
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【PROFILE】
おぎわらひろこ
家計に優しく寄り添う経済ジャーナリスト。著書に『65歳からは、お金の心配をやめなさい』(PHP新書)、鎌田實氏との共著『お金が貯まる健康習慣』(主婦の友社)など多数
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