
デンマーク王国大使館(東京都渋谷区猿楽町)は、11月1日に大使館の一部を一般公開する「Denmark Open Day(デンマークオープンデイ)」を開催した。毎年、猿楽町エリアにある複合施設「代官山ヒルサイドテラス」での「猿楽祭」に連動して行われる、デンマークの食やデザイン、アートや文化に触れられるイベントだ。
会場ではレストラン「Sortebro Kro(ソルテブロ・クロ)」のオーナーシェフであるジョン・コフォード氏が来日し、デンマーク産の食材を使用した特別メニューが振る舞われた。
パリパリの皮つきローストポークや、チーズ盛り合わせ、アーモンド入りライスプディングなど特別メニューを振舞うジョン・コフォード氏(手前)また、ワイナリーのFrederiksdal(フレデリクスダル)が出展し、世界的に高く評価されているチェリーワインとジュースが提供された。持続可能な方法での生産にこだわり、無添加・無ろ過の自然派だ。ブドウとはひと味違う、濃厚で深みのある味わいが楽しめるのが特徴。
そのほかデンマークのストリートフードを代表するソーセージワゴンや、Carlsberg(カールスバーグ)のビール、STAUNING(スタウニング)のウイスキー、Juno The Bakery(ジュノ・ザ・ベーカリー)などデンマーク生まれのショップが集まった。
食以外では、天窓専門メーカーのVELUX(ベルックス)や、スキンケア製品の販売スタンド、トートバッグやTシャツのワークショップなども出店していた。
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オーガニック製品や生態系を大切にした食材の消費や、伝統的かつ新しい方法で旬の食材を用いる、グリーン・ガストロノミー(サステナビリティへの取り組みを評価する指標)のトレンドをけん引するフードカルチャーなど、衣食住でデンマークの魅力を伝えていた。
Frederiksdalが提供するチェリーを使用したワインやジュースこの日はデンマーク大使公邸も特別に公開された。建築・設計は世界的に著名な建築家・槇文彦氏によるもので、1979年竣工。窓を広く取って自然光を取り入れるデザインは、日照時間が短く、陽の光を大切にするデンマーク文化に沿っている。
デンマーク大使のヤール・フリース=マスン氏によると、大使公邸は日本やデンマークからの重要な来賓をもてなす場で、食事会やレセプション、カンファレンスなどを開催し、多い時では1週間で数百人をもてなすこともあるという。大使公邸は住まいであると同時に、パソコンやデスクと同じ、仕事に欠かせない道具でもあると語った。内部のインテリアはすべてデンマーク製。リビングの椅子は建築家・家具デザイナーのフィン・ユール氏による彫刻的なデザインが特徴だ。
デンマーク大使館の玄関からリビングを望む。写真中央のリビングの椅子はフィン・ユール氏によるデザインこの日、ライブラリーには、ファッションと家具のブランドのGUDRUN & GUDRUN(グドゥルン・グドゥルン)と、サウンドアーティストのイェンス・L・トムセン氏がコラボレーションした作品「THE SEA IN ORCA」が展示されていた。羊の毛皮で覆われた椅子型のデバイスは、椅子の表面に触れることで生じるサウンドを、ヘッドフォンを通して聴くことができる。波のような不思議な音に包まれる、没入感のある体験ができる作品だ。
サウンドアーティストのイェンス・L・トムセン氏(左)と、グドゥルン&グドゥルンのグドゥルン氏が手掛ける作品「THE SEA IN ORCA」ダイニングの照明は野菜のアーティチョークをモチーフとしたLouis Poulsen(ルイスポールセン)が設えられている。照明デザイナーのポール・ヘニングセン氏によるデザインは、外光を重んじつつ、足りない明かりを補填(ほてん)するという考え方を体現している。ここにも、日照時間が少ない分、陽光を大切にするデンマークらしさが表れている。
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ダイニング。大きな窓から外光を取り入れつつ、陽の光を補うためにアーティチョークをモチーフとした照明が飾られている大使館という普段は立ち入ることのできない空間で、デンマークのデザインや食べ物の魅力を味わいながら、生活の質に欠かせない心地よい空間や時間を過ごすという意味を持つデンマーク語の「ヒュッゲ」を体験できるイベントだった。
