
今月15日に開幕する、聴覚障害のあるアスリートの国際大会デフリンピック。初めて日本で開催される今大会に特別な思いで臨むデフスイマーがいる。5大会連続出場となる茨隆太郎(いばら・りゅうたろう、31)。「デフリンピックの知名度がまだ低い状況なので、一人でも多くの人に知ってもらいたい」と語る茨は過去4大会で金メダル5個を含む計19個のメダルを獲得している、日本水泳界のエースだ。
【写真を見る】「息子の誕生日に金メダルを」水泳界のエース・茨隆太郎 "金メダル6個"が目標 日本初開催となるデフリンピック15日開幕
今大会は8種目に出場、メダルラッシュが期待されている。
3歳の時に水泳に出会う「水の中に入ると“無"の世界」生まれつき難聴の茨。3歳の時に水泳に出会うと、耳が聞こえる健聴者と同じスイミングクラブに通い、その魅力に取りつかれていった。「水の中に入ると“無"の世界。聴こえる人、聴こえない人関係なく、自分の世界に入り込めるような場所だと思う」。
水泳にのめり込んだ茨は、高校生の時に初めてデフリンピックに出場すると、いきなり金メダルを獲得した。その後も結果を残し続け、エースと呼ばれる存在へと成長を遂げた。
|
|
|
|
そんな茨を近くで支えてきたのが妻の美里さん。大学時代に出会い、6年前に結婚。一昨年には長男、かなと君が誕生した。
「見えない重圧もあると思うので、それに負けないで欲しい。私も気持ちが入っちゃうので、それがプレッシャーにならないといい。かなとのためにとすごく言っているが、自分のためにやればいいと思う」と涙ながらに話した美里さん。ストイックに競技と向き合ってきた茨を思いやった。子どもが生まれて初めて挑むデフリンピック。迎える水泳の初日、20日はかなと君の誕生日ということで、茨は「息子の誕生日に金メダルを獲ってかけてあげられたら最高の誕生日になる」とパパの顔を見せた。
ずばり今大会の目標は「金メダルを6個獲ること。(現在19個の)デフリンピックのメダルを25個に増やしたい。特に200mと400mの個人メドレーについては世界新記録を出して金メダルを獲りたい」と自信を覗かせた。
初の日本開催「結果で恩返ししたい」「現役のうちに日本で開催されるデフリンピックに出場できるなんて思ってもみなかった。本当に嬉しいこと。今までお世話になった方々に結果で恩返ししたい」という茨が出場する水泳は、東京アクアティクスセンターで20日に開幕。事前申し込みなく、誰でも無料で観戦することができる。
東京2025デフリンピック 水泳
茨隆太郎 出場種目(予選・決勝は同日)
(会場:東京アクアティクスセンター 東京都江東区)
11月20日(木) 400m自由形
11月21日(金) 200m平泳ぎ、200m自由形
11月22日(土) 200m個人メドレー
11月23日(日) 400m個人メドレー
11月24日(月) 100mバタフライ
11月25日(火) 200mバタフライ、400mメドレーリレー
|
|
|
|
“デフ=Deaf=聞こえない”。聴覚に障害のある人たちの4年に一度のスポーツの祭典「デフリンピック」が、15日から26日にかけて日本で初開催される。21競技が行われ、80の国と地域が参加する。
