
いよいよ11月も折り返しを過ぎ、2025年も終わりが見えてきました。今年もゲーム業界では色々なことがありましたが、「アサシンクリード シャドウズ」(以下シャドウズ)の炎上騒動もかなりの注目を浴びたのではないでしょうか?
この連載でも何度か取り上げてきたこの騒動。発端は、日本が舞台の本作の主人公が、実在した黒人の「弥助」だったことです。これにポリコレ的なものを感じた海外ユーザーから批判が殺到したのですが、さらに開発者から史実とフィクションを混同させるような言動があったり、トンデモな歴史認識が語られたりして日本人の反感も買うことになりました。その後も予告動画のおかしな日本の描写、画像の無断盗用疑惑などもあって、ゲーム発売後までずっと炎上し続けました。
先日、パリで行われたゲームイベント内で、開発元であるUbisoftのイヴ・ギルモCEOが、3分ほどの動画を用いてこの騒動について言及しました。ゲームメディア「IGN Italia」の記事によると「『シャドウズ』が政治的メッセージではなく、何よりもまずビデオゲームであることを示すための戦いだった」「私たちを憎む人たちにばかり目を向けるのをやめ、私たちを応援してくれる人たちを鼓舞し始めました」といった内容が語られたようです。
これらの発言、ボクには「フィクションなのに不当に攻撃された」と、自らを被害者の立場に置こうとしているようにしか思えません。批判された原因には触れず、わざわざ動画を作ってまでそんなことを訴えるCEOに、ボクは今回の騒動の本質を見た気がします。
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騒動のキッカケは弥助だったかもしれませんが、その後も燃え続けた原因はUbisoftの対応の悪さです。同社は一度は謝罪して作品はフィクションであると釈明しましたが、その後も日本人や日本の歴史を軽視するような“雑な仕事”が次々に明らかになり、炎上の火は消えることがありませんでした。
シャドウズ発売後、Ubisoftは販売の好調さをアピールしていましたが、11月13日に2025-26年度上半期決算発表の延期を発表しました。本当にシャドウズの販売は好調だったのでしょうか? ボクは一連の騒動を見てきて、炎上はさせないこと以上に、その後の対応が重要だと思い知らされた気がします。
●著者紹介:サダタロー
1998年にテレビ番組「トロイの木馬」出演をきっかけに漫画家デビュー。代表作は「ハダカ侍」(講談社、全6巻)、「ルパンチック」(双葉社、1巻)、「コミックくまモン」(朝日新聞出版、既刊7冊)など。現在、熊本日日新聞他で4コマ漫画「くまモン」を連載中。Pixivはsadataro、Twitterは@sadafrecce。
●連載:サダタローのゆるっと漫画劇場
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漫画家のサダタローさんが、世界初の電脳編集者「リモたん」と一緒に話題のアレコレについてゆる〜く語るまんが連載。たぶん週末に掲載します。連載一覧はこちら。過去の連載はこちらからどうぞ。
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