GMシボレー陣営は、来季のNASCARカップシリーズに最新のスタイリングを採用した改良型カマロZL1を投入する 盟主ヘンドリック・モータースポーツ(HMS)のカイル・ラーソンが、自身2度目のタイトルを獲得した2025年のNASCARカップシリーズだが、来季2026年に向け、そのGMシボレー陣営が新たなウエポンを発表。直近にも本国発売が開始された最終型カマロZL1の“カーボン・パフォーマンス・パッケージ”のアクセサリーキットと調和する、最新のスタイリングを採用した改良型を投入する。
その新型車両のデリバリーを受ける陣営内のトラックハウス・レーシングは、来季3台体制に拡充するチーム体制を確定。今季5勝を挙げた"SVG"ことシェーン-ヴァン・ギスバーゲンはゆかりのNo.97に回帰し、昇格を果たす“神童”コナー・ジリッシュがNo.88を引き継ぐ。
カップ戦では2018年にカマロZL1の第6世代モデルを初投入したGMシボレー陣営だが、2024年シーズン終了後にはプロダクションモデルの生産が終了したことに伴い、そのベース車両の去就が注目されていた。
今回、市販最終モデルのラウンチ時にリリースされた資料には「第6世代カマロZL1の性能を最適化する」と記されており、そのスタイリングに際し「シボレーは、このアップデートにおいてNASCARやそのチームと協力しました」と、シリーズ由来の造形であることを強調していた。
これにより来季カップシリーズに投入される最新のNext-Gen規定モデルでも、大型化されたボンネットパワードーム、改良されたフロントグリル、そしてより目立つロッカーパネルが採用されることに。もちろん、それら造形はすべてカーボンファイバー製ボンネットインサートとロッカー、そして『ZL1 1LE』仕様のフロントグリルとスプリッターを踏襲したものとなる。
新型モデルは、来季もボウマン・グレイ・スタジアムで2月1日に開催される開幕前エキシヴィジョンで初めて実戦に登場し、HMSのチェイス・エリオットが2025年度のこのイベントで勝利している。そして6年連続のマニュファクチャラーズ・チャンピオンシップ獲得を目指す陣営内にあって、その勢力を拡大するトラックハウスも、カップシリーズ2年目のシーズンを迎えるSVGが、自身ゆかりの97号車をドライブすることがアナウンスされた。
その97番はSVGが通算80勝と3度のチャンピオンシップを獲得したオーストラリア時代に、RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップで大切にしてきた車番であり、NASCARシリーズに移籍後、武者修行の場であったエクスフィニティで使用したナンバーでもある。そしてさらに重要なのは、シェーンの父であるロバート-ヴァン・ギスバーゲンも、レーシングドライバーとしてこのナンバーを使用していたという点だ。
「僕にとって特別なカーナンバーを背負うことができてうれしい。ジャスティン(・マークス/トラックハウスのオーナー)が97番に変更する機会をくれた時は、本当に特別な気持ちだった。家族にとっても僕にとっても、とても大切なナンバーで、父がレーシングドライバーとして使っていたナンバーだったからね」と続けたSVG。
「だから僕もレーシングドライバーとしてキャリアを始めた時、このナンバーを使いたいと思ったんだ。それ以来、基本的にあらゆる場面で97番を使ってきた。この数字とともにたくさんの特別な瞬間を経験してきたし、カップシリーズでさらに多くの瞬間を創造する機会を得られるのは素晴らしいことだ」
そんなSVGは来季もクルーチーフのスティーブン・ドランとコンビを継続。ふたりはコンビ初年度にカップシリーズで通算5勝を挙げ、ランキング12位を獲得した。
「2025年は本当に特別なシーズンだったが、僕はすでに2026年を見据え、これまでの成功を基にどこを改善できるかを考えている」と応じたドラン。
「シェーン(-ヴァン・ギスバーゲン)はNASCAR史上最高のロードコースドライバーのひとりであり、このチームの一員となれることを光栄に思う。シェーンとともにゼロからチームを築き上げ、彼のドライビングスタイルに適応し、互いに学び合えたことは特別な経験だ。来シーズン、さらなる成果を上げられることを心待ちにしている」
一方、ロス・チャステインは引き続き1号車をドライブすると同時に、ルーキーシーズンに88番の改良型シボレーZL1に乗り継ぐジリッシュも「88号車の伝統を受け継ぐことができてうれしい」と、カップでのSVGの系譜とともに、自身がエクスフィニティで打ち立てた年間最多10勝の記録をともにした、愛着のある番号で最高峰デビューを果たす。
「この番号は僕にとってすぐに大切なものになった」と語った19歳のジリッシュ。「シェーン、デイル・ジャレット、デイル・アーンハートJr.など、88番を背負って走ってきたすべての人たちと、このスポーツにおけるこの番号の歴史も大切にしている。確かに大きな責任を担っているが、それを引き継いでいけることを願っている」
そのNASCARは先週金曜にも2026年に向けた技術規則の大幅な改訂もアナウンスし、そのなかでも注目すべき変更点は、車両のパワー向上とテストガイドラインに関するものに。
シーズンでは1.5マイル(約2.4km)未満のすべてのサーキットで馬力向上が見込まれるうえ、さらにブリストルを筆頭とした5つのトラックでは、実に750PSに増強されたショート/ロードコース用エアロパッケージが適用される。
そして来季よりカップシリーズの全トラックで“Aポストフラップ”の装着も義務付けられ、各車はいわゆるAピラーの双方に沿ってフラップを設定。このフラップは、ルーフフラップと連動して車両が地面から浮き上がるリスクを低減するように設計されている。
またテストに関して、NASCARは3大ナショナルシリーズすべてに新たなルールを制定し、各テストは最大2日間連続で実施可能で3月1日までに完了、新規メーカーのテストは最大3回まで……などの日数制限が設けられた。これら規定詳細は、例年同様1月にルール概要全文が公開される予定だ。
[オートスポーツweb 2025年11月18日]