『ペンギン・レッスン』英語教師のトムと重油にまみれた瀕死のペンギンの偶然の出会いを描き、世界22か国で刊行された実話を基にしたベストセラーの映画化『ペンギン・レッスン』。この度、主人公のペンギン、“フアン・サルバドール”を演じたペンギンたちとイギリスの名優スティーヴ・クーガンの撮影秘話が到着した。
1970年代当時のアルゼンチンの悲惨な歴史背景下、分断された国家やその授業環境に教育への情熱を失いかけていた教師と重油にまみれた瀕死のペンギンとの偶然の出会い。
その奇妙な同居生活と周囲の人々の暮らしを笑いたっぷりに描いた本作は、世界中の映画祭で喝采を浴び、アメリカ、ヨーロッパでスマッシュヒットを記録した。
本作の主役・教師トム・ミシェルを繊細に演じ上げたのは、コメディからシリアスな演技までこなせる名優スティーヴ・クーガン。そして、もう1人の主人公、ペンギンのフアン・サルバドールは、主に2羽のペンギンのババとリチャードが担当した。
スティーヴ・クーガンは撮影の大半でババとリチャードと密接に行動を共にし、撮影前には数週間をかけて彼らの住処を訪れ、話しかけ、抱きかかえながら親しみを深めていったという。
「撮影が始まる頃には、もう彼らを抱き上げるのにすっかり慣れていました。別れのときは本当に感動的でした。ペンギンには、人の心をほぐす不思議な力があります。人間は往々にして内向きになり、些細なことに囚われすぎるものですが、この鳥たちは“すべてを真剣に受け止めすぎないこと”を教えてくれます」とふり返り、共演したペンギンたちから大切なものを受けとったという。
監督のピーター・カッタネオは「ペンギンは1羽1羽、性格がまったく違う。活発なペンギン、友好的なペンギン、おとなしいペンギン――その多様さに驚かされた。当初、撮影チームは動物園でしかペンギンを見たことがなく、どう接すればよいのか手探りの状態だった」と語る通り、撮影では予測不能な彼らの動きに、スティーヴ・クーガンは臨機応変な対応を迫られた。
「幸い、これまでのキャリアで即興演技を多く経験してきたので、計画通りに動いてくれないときも動揺せずにすみました。無理にコントロールしようとせず、受け入れること――それが最高の瞬間を生むこともあるのです」とスティーヴ・クーガン。
こうして築かれたペンギンたちとの強い絆は、撮影現場の空気を和ませ、スティーヴ・クーガンに“人生をあまり深刻に考えすぎないこと”を思い出させてくれたようで、別れの瞬間は、まさに心に残る経験となったようだ。
劇中で見せるミシェルとフアン・サルバドールが育んだ深い絆は、撮影という枠を超えて、まるで本物の家族かのような温もりを帯び、それがそのまま作品となってスクリーンに刻まれていった。解禁されたメイキングカットからも、その雰囲気を感じることができる。
『ペンギン・レッスン』は12月5日(金)より新宿ピカデリー、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。
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(シネマカフェ編集部)