「国際手話の楽しさ知って」=東京デフ五輪の公用語―低知名度・通訳不足の課題も

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2025年11月22日 15:02  時事通信社

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時事通信社

東京デフ五輪の大会運営本部が設置されたデフリンピックスクエアの観光案内所で耳の不自由な外国人観光客と国際手話で会話する三浦亮次さん(右)=15日、東京都渋谷区
 熱戦が連日繰り広げられる「東京2025デフリンピック(デフ五輪)」では、公用語として国際手話が使われている。国際手話は異なる国のろう者と交流する際の手話だが、日本では知名度が低く通訳士不足が課題だ。通訳士として大会を支える三浦亮次さん(37)は「大会を機に楽しさを知って、学ぶ人が増えてほしい」と話す。

 日本国際手話通訳・ガイド協会(東京都千代田区)などによると、手話は音声言語と同様に国で異なるため、デフ五輪などでは国際手話が用いられる。簡単で分かりやすい表現が採用されており、例えば「ありがとう」は投げキスのような動作で表す。一方、日本手話では、力士が懸賞金をもらうような動作で表現される。

 同協会の砂田武志理事長(64)は「日本ではまだ知名度が低く、資格も存在しない。国際的な場で通訳士として務まるレベルの人材は数人しかいない」と訴える。

 大会運営本部があるデフリンピックスクエア(渋谷区)の観光案内所では15日、三浦さんが国際手話で耳の不自由な外国人選手らに対応した。競技会場の場所や携帯電話の充電場所など、多岐にわたる質問に受け答えした。

 健聴者の三浦さんは大学生の頃、手話の得意な友達に誘われて手話サークルに入り、日本手話を学び始めた。ろう者と手話で会話するのは「新しい世界が広がったような感覚だった」という。

 学び始めて15年の節目となった2022年、新しいことに挑戦したいと考え同協会で国際手話を学び始めた。観光案内所では意味が分からず問い直すこともあったが、身ぶり手ぶりでコミュニケーションを取るなどした。「質問に答え、笑顔で送り出せた時はほっとした」と話す。

 三浦さんは「英語を話せなくても外国の人と交流できるのが国際手話の楽しさ。大会を機に学ぶ人が増えてほしい」と話している。 
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