日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』の場面カット (C)TBSスパークル/TBS 俳優・妻夫木聡が主演を務める、TBS系日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』(毎週日曜 後9:00)の第7話が、23日に放送される。“有馬記念で勝つ”――その夢に向かって突き進む栗須栄治(妻夫木聡)と山王耕造(佐藤浩市)に対し、さまざまな思いを抱えているが故にその夢を否定し、時に障壁ともなった耕造の妻・京子(黒木瞳)と息子の優太郎(小泉孝太郎)。しかし、そんな関係性も物語が後半戦へと突入する中で、少しずつ変化の兆しが――。
【写真多数】豪華キャストを一挙紹介!妻夫木聡、佐藤浩市、目黒蓮ら 第7話では、物語の柱となる“継承”と対をなす、もう一つの柱である“家族の物語”にもフォーカスが当てられる。今回、京子、優太郎を演じる黒木と小泉にインタビュー。耕造と対立しつつも家族を支える妻と息子の“秘めた思い”を胸に、物語に深みを宿らせている二人から見えてきた、山王家ならではの「家族像」を語る。
■思わぬ“反響”? 「普段競馬を見ない夫が…」
――ドラマの放送が始まってからは、周りからどのような反響がありましたか?
黒木:普段はゴルフ中継しか見ない夫が競馬中継を見るようになりました(笑)。ですが(原作者の)早見(和真)先生とお話しした時に、その変化にも妙に納得したところがありまして。先生がこの作品を連載されていた当時、原稿を書き上げると毎回、まず最初に全く競馬をご存知ない奥様に読んでもらい、どこが分からないのかを尋ねて、その都度奥様にも分かるように書き直されていた、とおっしゃっていて。
そのお話を聞いて、「だから原作の小説も分かりやすいんだ」と思いましたし、このドラマも競馬の世界を知っている方だけではなくて、知らない方にも受け入れられる作品に仕上がっているんだな、と思いました。
小泉:僕も競馬の世界を全然分からないという方々からも「このドラマ面白いよね!」ってよく言われます。黒木さんがおっしゃったように、早見先生のそういった努力もあったから、これだけ内容も素晴らしい上に、競馬の世界も分かりやすく描かれた脚本にもなったんだと思います。
特に原作はある意味、早見先生による“競馬解体新書”と言ってもいいくらいですよね。本当にすごく分かりやすく書かれていらっしゃるので。
黒木:あとはドラマの台本の注意書きにも「光るものはダメ」、「傘はささない」、「音声マイクを近づけない」とか、たくさんの“馬の取説”のような注意書きがあるじゃないですか。そういう細かいところからも馬への配慮がすごく感じられますし、だからこそ現場でも常に馬、キャスト、スタッフが三位一体になっているようなところが、この作品の魅力でもあるのかなと思いますね。
■京子の“プライド”と、優太郎の“純粋さ”
――黒木さんが演じられている山王京子、小泉さんが演じられている山王優太郎について、お二方それぞれ、どのような人物だと捉えて、演じていらっしゃいますか?
黒木:京子は本心と言っていることが少しアンバランスなところがあって、いろいろな思いを持っている人なんだろうなと、想像しながら演じています。複雑さを抱えつつも、家庭内では耕造さんを手のひらで転がしているようにも見えますしね。ですが、だからこそ耕造さんも自分の夢に没頭できるのかな、とも感じています。結局、馬との相性は良くないけれど、耕造さんとの相性は良いのではないかと(笑)。
小泉:(笑)たしかにそうですね。逆に息子の優太郎は、父親に対して「“潰してやろう”というような思惑を持つ人物」と、うがった見方をされる方もいたと思うんです。でも僕はそうではなくて、本来はすごく純粋な男だと捉えています。優太郎にとって、当初は特に“ギャンブル”にしか見えない競馬に没頭している父親がどうしても許せなくて、「なんでお母さんみたいに真面目にやらないんだ」という真っ直ぐな思いが、そう見えさせているだけなのかなと。
――おっしゃるように物語の当初から耕造と京子、優太郎との関係性を見ていると“対立”ともまた少し違うように感じました。
小泉:そう、違うんですよね。言うならばお互いに“清濁あわせ呑む”みたいな感じかなと。母も何があっても、例え心にメラメラと怒りの炎があったとしても、ドーンと大きく構えてくれている、そんな家族関係と言いますか。
黒木:ただ愛人だった美紀子(中嶋朋子)さんに子供を産ませていたという辺りは、はっきり言って許せません(笑)。けれども、それも含めて耕造さんなので。怒りの炎を内に秘めながらも「支えてあげなきゃいけない」という妻としてのプライドというか、そういったものもあるのだと思います。
小泉:その許せないという雰囲気は撮影の時にものすごく感じました。いつのも黒木さんとは違う、話しかけるのも躊躇するような炎の色のオーラを(笑)。
黒木:(笑)。ですが京子っていつも起こった事柄に対して受け身なので、愛人と隠し子のことを知ったところに関しては「少し動きを出したい」ということを監督にお話して、第5話(美紀子の病室を訪れるシーン)では、受け身ではない京子を出させていただきました。
■息子も嫉妬する!? 栗須と耕造の“絆”
――物語もいよいよ佳境へと入っていきますが、これまでの放送で印象に残ったシーンなどはありますか?
小泉:僕は優太郎の目線で言うと、耕造さんって栗須さんと一緒にいる時が一番生き生きしているように見えるんです。もちろん大好きな競馬のことをやっているというのもありますが、その姿が時折父と子のようにも見えたりして、なんか素敵だなと。競馬って“ブラッドスポーツ”とも言われますが、そうではない、血は繋がっていないけれども、心と心が繋がっている耕造さんと栗須さんの関係性を描いているシーンはどれも好きですし、とても印象に残っています。
黒木:いいですよね。第1話で「俺を裏切るな」って耕造さんが栗須さんに念押しするシーンがありましたが、あれってある意味、主従関係のようで主従関係ではないんですよね。そして父と子のようとおっしゃいましたけれども、親子のような甘えはなくて、それがすごく素敵な二人に見えるんだなと思います。でも息子としては、少しは嫉妬心もあるんじゃないですか?
小泉:そうなんですよね。息子だから“あれ?本来そのポジションは僕なのに…”みたいな(笑)。
黒木:(笑)。でも優太郎さんは会社や山王家を守らなければいけない、長男の宿命みたいなものもありますからね、その重責は大きいと思います。
小泉:そうなんです。ただそういうところも、息子目線での栗須さんって“いいポジションだな”と(笑)。
■山王家の“素顔”が垣間見える第7話
――第7話では、耕造から耕一(目黒蓮)への継承や待望の新馬・ロイヤルファミリーの誕生のほか、山王家にとっても重要な展開が待ち受けています。見どころについて、お聞かせください。
黒木:第7話では“家族の絆”のようなものをすごく感じていただけると思います。
小泉:山王家ってこうだな、という形がすごくハッキリと見えたシーンというか、家族としての温度を感じたような瞬間もありましたよね。
黒木:そのいつもバラバラだった温度が一つになると言いますか、やっぱり山王家は何だかんだと言っても、耕造さんを頂点としてまとまっているという…結局、口では「嫌だ嫌だ」と言いながらも(みんなも耕造さんを)応援しているんでしょうね(笑)。
小泉:そうですよね。京子さんと優太郎それぞれにも妻として、息子として、(耕造に)惚れた部分や尊敬している部分がもちろんあって。一見するとバラバラな家族に見えても、ちゃんと根っこのところでは一つにまとまっていたんだ、ということを感じていただけると思います。