ル・マンのサルト・サーキットを走るポルシェ・ペンスキー・モータースポーツとプロトン・コンペティションのポルシェ963(2025年) チーム・ペンスキーは、2026年のWEC世界耐久選手権でポルシェ963をグリッドに残す可能性について両組織間での提携交渉を行ったものの、プロトン・コンペティションへの関与を断念していたことが明らかとなった。
この最新の動きは、ポルシェ・モータースポーツのトーマス・ローデンバッハ代表がドイツの有力紙『Motorsport-Aktuell』に語ったコメントによるもので、これによりペンスキーがWECフルシーズン参戦に関心を持つ可能性はなくなった。
ローデンバッハはMotorsport-Aktuellに対し、「ロジャー・ペンスキーと協議の上、この計画をこれ以上追求しないことで合意した」と語った。
「我々は、ロジャー・ペンスキーを支援するあらゆるシナリオを検討した結果、ペンスキーが関与するプライベートチームはポルシェの裏口からの復帰と見なされかねず、同時に過去3年間にファクトリーチームとして世界選手権でともに築き上げてきた成果、特にル・マンにおけるファクトリー参戦という観点から見て、その価値を希薄化させる恐れがあると結論づけた」
ポルシェのファクトリープログラムが2025年限りでハイパーカークラスから撤退するとアナウンスされた後も、ペンスキーは2台のポルシェ963をWECのグリッドに残す方法を模索していた。ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツは、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権GTPタイトルの獲得により、来年のル・マン24時間レースへの自動招待権を保持しているからだ。
しかし、この招待権は、当該メーカーがWECの定めるハイパーカー世界選手権への最低2台という出場要件を満たした場合に限って効力を持つと、ACOのピエール・フィヨン会長は明言していた。
ペンスキー・レーシング社長のジョナサン・ディウグイドは、WEC最終戦バーレーンの週末、ペンスキーがWECに「独自に」参戦する可能性を否定していた。ペンスキーとプロトン・コンペティションのチーム代表クリスチャン・リードは、このドイツのプライベーターチームが2台体制を敷くために必要な追加リソースを満たすための協力関係構築について協議を続けていたことが今回明らかとなったが、それも実を結ばなかったことになる。
来週木曜日(11月27日)にエントリー申請の締め切りを迎える中、リード率いるプロトンは、トップクラスへの参戦に必要な2台体制への拡大に関わる予算を自力で確保しなければならない状況となっている。プロトンの他に、963のカスタマー候補はいない。
WECは12月初旬に2026年のエントリーリストを発表する予定で、これによりポルシェ・ペンスキーの自動招待が来年のル・マンで有効となるかどうかが正式に確認されることになる。
[オートスポーツweb 2025年11月23日]