画像:テレビ愛知株式会社 プレスリリースよりかつては元気キャラのハーフタレントとして芸能界を席巻したベッキーさん。バラエティ番組に引っ張りだこだったものの、不倫スキャンダルが明るみになって世間から大バッシングを受けたのも記憶に新しいでしょう。そんなベッキーさんが最近、第2形態として芸能界のセカンドステージに立っています。
◆元気キャラから不倫スキャンダルへの転機
ベッキーさんといえば中学生の頃に芸能界デビューを果たし、子ども向け早朝番組『おはスタ』(テレビ東京)のマスコットガールとして活躍。その後は、元気でポジティブなキャラクターで数々のバラエティ番組に出演し、CM起用も相次ぐなど好感度も非常に高いタレントでした。
芸能界でのポジションを揺るぎないものにしていた2016年、人気バンド「ゲスの極み乙女」のボーカル川谷絵音さんとの不倫が週刊誌に報じられました。
今までの「汚いことにはNO」を突きつけるような優等生元気キャラと不倫というスキャンダルのギャップがあまりにも大きく、世間から大きく注目を集めました。さらに当時の報道では「ただの友達」と世間に嘘を突き通す2人のやり取りなどが流出したこともあり、ベッキーさんの好感度は急降下する事態に。
◆テレビからの一時退場と家庭生活の安定
川谷さんが既婚者であることを隠してベッキーさんと交際していたという情報も出ていたものの、一度落ちた好感度はなかなか戻ることはなく、ベッキーさんはテレビから一時姿を消していました。その後は事実上の芸能活動が休止状態に。
しかし2018年に元プロ野球選手の片岡治大さんと結婚し、2人の女の子を出産するなどプライベートは充実。現在は以前から続けてきた音楽活動のほか、大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK)にも出演するなど、女優業も奮闘しています。
ベッキーさんに対してはいまだに当時のスキャンダルを思い起こすために「もう表舞台から消えてほしい」として嫌悪する意見も少なくありません。こうした根強いバッシングは不倫スキャンダルを起こした芸能人につきものであり、ここからどのような活動をしてポジションを取っていくかが死活問題にもなっています。
こうした中、ベッキーさんはスキャンダルについて自虐したり周囲から突っ込ませたりする方向にシフトしています。
◆バラエティでの新たな立ち位置と自虐の笑い
10月に放送された深夜のバラエティ番組『見取り図じゃん』(テレビ朝日)の企画「リアル水掛け論」の女性版「女子びちゃびちゃ論」に出演したベッキーさん。同企画はお題に対して出演者たちが議論していき、論争が激しくなると水をかけ合うという体を張った企画です。
ベッキーさんは「赤裸々な下ネタで笑いを取るのはみっともないのか」「好きな男に貢ぐのは愛か悪か」というお題に対して持論を展開。しかし話の流れから他の出演者に「(考え方が)ブレちゃったね」と仕掛けると、「あんた元清純派やで、一番ブレてるで」と突っ込まれる展開に。その後は「今は清純派ではなく第2形態で頑張ってるんだよ!」と叫び、自虐でオチをつけていました。
また優等生発言をするアイドルに対して「なんかムカつく!」「止めろ、その手!」と水をかけまくるなどお局的な絡みも見せました。このベッキーさんの姿に「生き生きしている」「間の取り方やコメントはさすが元バラエティクイーン」「こういう自虐したり他に噛みついたりするキャラでもっとテレビで見たい」といったコメントも寄せられていました。
◆経験を生かした毒舌キャラと今後の展望
スキャンダルを避けざるをえないバラエティ番組において、スキャンダルNGとなってしまうと腫物扱いとなり、他の出演者も困りますし、制作側も使いにくいでしょう。しかし、ベッキーさんのように「いじっていいですよ」というスタンスで自分から仕掛けたりいじられる方向に持っていったりすることで笑いが生まれやすいのは確実です。
また若手タレントやアイドルなどに自身の経験をもとに辛口でアドバイスしたり嫌われ者として絡んでアイドルを引き立たせたりする立ち位置もスキャンダル経験者ならではと言えるでしょう。この動きは現在のアンジャッシュの渡部健さんを彷彿とさせるものです。
誰のせいにするでもなく、自分が悪かったと反省の弁を述べつつも、不倫スキャンダルのいじりは受けて立つ覚悟が垣間見えます。
実際、現在のベッキーさんが意外と視聴者に高評価なのは、彼女のバラエティ対応能力が相変わらず強いことも理由でしょう。自分のせいとはいえ、一度地獄を見た元人気絶頂女性タレントの這い上がり方としてロールモデルを示していることで、視聴者も興味を持つのではないでしょうか。
そもそも不倫スキャンダルがもう9年前であること、結婚して子育てをしている真面目な私生活を送っていることから「禊は済んでいる」という見方もあります。
ただ「友達で突き通す」として嘘をつこうとしたことでイメージダウンが起こったのは事実なので、今後は「過去は元気キャラで売ろうとしていました」と過去をぶっちゃけたり、性格の悪いお局毒舌キャラでいくという方向性が最も活躍しそうな道でしょう。40歳を超えた年齢やライフステージの変化もまたその毒やキャラの説得力を持たせていくはずです。
10月には朝の情報番組『ラヴィット!』(TBS)にも出演するなど、再びバラエティ番組での活躍が増えてきたベッキーさん。どんな球でも返してくるバラエティスキルや笑いに転換する安心感があるため、今までベッキーさんと絡んだことのない芸人もいじりやすく、共演も増えていくのではないでしょうか。
数々の荒波を超えて人生経験を経たベッキーさんの第2形態に今後も注目です。
<文/エタノール純子>
【エタノール純子】
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中