記者会見する国民民主党の玉木雄一郎代表=18日、国会内 自民党と日本維新の会による連立政権の発足を受け、国民民主党が埋没を回避しようと躍起になっている。衆参両院で与党がなお過半数を割る状況をてこに、硬軟交えて政権と向き合い反転攻勢の機会を探る。所得税の課税最低ライン「年収の壁」の178万円への引き上げに再び照準を絞り、本格化する自民との交渉で成果を得たい考えだ。
「われわれの言い分が通れば、(2026年度)予算案への賛成だってあり得る」。国民民主の古川元久代表代行は21日、自民と「壁」引き上げを含む税制改正の協議をスタートさせた後、記者団にこう強調。結果次第で政権運営に協力する姿勢を示した。
国民民主は「手取りを増やす」と訴え、昨年の衆院選と今年の参院選で躍進。「壁」引き上げの実現は至上命令だ。党幹部は「年内に決着をつけないと、協力できなくなる」と自民をけん制する。
高市早苗首相は、連携相手として国民民主を引き続き重視している。12日の参院予算委員会では、榛葉賀津也幹事長に「互いに関所を乗り越えなければいけない」と呼び掛けた。18日には、玉木雄一郎代表の事務所を自民の小林鷹之政調会長が訪ね、「壁」引き上げなどを巡り意見を交わした。
もっとも、国民民主は早期の連立入りに慎重姿勢を崩していない。政治改革では攻勢に転じ、自民が後ろ向きな企業・団体献金の規制強化法案を、公明党と共同提出。禁止が持論の維新に賛同を迫り、与党間の連携にくさびを打ちたい考えだ。政権と一定の距離を保つことで、少数与党に対する影響力を維持する思惑も透ける。
報道各社の世論調査で、国民民主の支持率に一時の勢いはない。先の首相指名選挙では、玉木氏が野党統一候補となることに難色を示す中、維新が電撃的に連立入りを決断。SNS上で「玉木氏は決断力がない」などと批判も受けた。
党幹部は「次の選挙で風は起きない。厳しい戦いになる」と指摘。「愚直に政策を実現していくしかない」と力を込めた。