ポイントランキング首位で初のタイトル獲得を狙うエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) 11月26日(水)から29日(土)にかけて中東サウジアラビアにて、2025年WRC世界ラリー選手権の最終戦となる『ラリー・サウジアラビア』が行われる。
このイベントはシリーズ初の開催で、各陣営にとってはチャレンジングなイベントになることは間違いない。シーズン最終戦として、TOYOTA GAZOO Racing WRTで走るエルフィン・エバンス、セバスチャン・オジエ、カッレ・ロバンペラがタイトルを賭けて争うことはもちろん、近年では同地を舞台に行われているダカールラリーを5度制覇した経験を持つナッサー・アル-アティヤのラリー1初挑戦も注目を集めるなど、話題の多い大会となりそうだ。そんな第14戦を前に、各チームから選手らのコメントが届いている。
■Mスポーツ・フォードWRT
●グレゴワール・ミュンスター(#13 フォード・プーマ・ラリー1)
「サウジアラビアは初めてなので、この国の文化を体験し、この新しいラリーを体験することにとても興味がある。ステージは間違いなく真のチャレンジになるだろう」
「路面は砂地と荒れた路面が混在し、大きな岩が路面にたくさん転がっているので、パンクへの対処とマシンの良好な状態を維持することが非常に重要になると思う」。
「厳しいラリーになるだろうが、賢く立ち回ればチャンスも生まれるかもしれない。しっかりとした計画を持って臨み、シーズンを締めくくるために良い結果を残したいね」
●ジョシュ・マッカーリーン(#55 フォード・プーマ・ラリー1)
「サウジアラビアに向けて、ラリー1デビューシーズンを力強く締めくくることに集中している。日本は厳しい週末だったが、すぐに気持ちを切り替え、この新しい挑戦に向けて全力を尽くしているところだ」
「このイベントは誰にとってもまったく新しいイベントなので、参考にできる過去のデータがまったくないなかで、(ほかのラリーよりも)公平な戦いとなるはずだ」
「これまでの経験から、ステージは急速に状況が変化することは予想できる。ですので、このラリーはなるべくスマートに、かつ全力を尽くし、慎重さと前進のバランスをうまく取ることが求められるだろう。この挑戦に胸を躍らせ、全力を尽くす準備は万端だ」
●マルティン・セスクス(#22 フォード・プーマ・ラリー1)
「シーズン最終戦でMスポーツに復帰できること、とくにサウジアラビア・ラリーのような魅力的な新イベントに参戦できることを大変嬉しく思う。これは、2025年シーズンを通してプーマとともに歩んできた進歩を継続する絶好の機会となるはずだ」
「このラリーはすべてのクルーにとってまったく新しいイベントであり、全員が同じ土俵で戦うことができるため、非常にやりがいのあるチャレンジだと思っている」
「ステージはチャレンジングなものになるだろうし、素早く適応することが鍵となる。できる限り多くのことを学び、チームをサポートし、ポジティブなパフォーマンスでシーズンを終えることを楽しみにしているよ」
●ナッサー・アル-アティヤ(#20 フォード・プーマ・ラリー1)
「Mスポーツ・フォードでラリー1デビューを果たすことができることを、大変誇りに思う。そして、サウジアラビアでそれが実現したことで、この瞬間はさらに特別なものとなった」
「自分はプーマ・ラリー1の進化を綿密に追ってきたし、ついにこのレベルのパフォーマンスを自ら体験することができることが大変光栄だ」
「また、この地域のラリーは急速に成長しており、サウジアラビアで開催される初のWRCイベントに参加できることは、この上ない名誉だ。自分の目標は、この挑戦を楽しみ、できる限り多くのことを学び、力強いパフォーマンスで中東のファンの皆様に喜んでもらえるよう努めることだろう」
■ヒョンデ・シェル・モービスWRT
●オィット・タナック(#8 ヒョンデi20 Nラリー1)
「僕たちはラリー・サウジアラビアで未知の世界に踏み込むことになるので、そこへ行って、このイベントが何をもたらすのか発見する必要がある」
「このイベントでは、荒れたグラベルでとくに優れた性能を発揮するヒョンデi20 Nラリー1・エボに戻ることになる」
「サウジアラビアの荒れたグラベルで何が起こるか正確にはわからないが、チームは過去にもこのようなコンディションで強さを発揮してきたんだ」
●ティエリー・ヌービル(#1 ヒョンデi20 Nラリー1)
「僕たちはこのイベントについてあまり詳しいことがわかっていない。ステージの映像がいくつかあるだけで、それをチェックして路面とレイアウトの感じを掴むようにしたいね」
「それでも、ジェッダに到着するまでに完全に理解することはできないだろう。マシンのセットアップに何が必要になるかを正確に言うのは難しいが、パンクや崩れやすい石、荒れた路面のリスクが高いため、最大限の保護のために信頼性の高いマシンと高い車高が必要なのだろう」
「今シーズンは厳しい一年だったが、チームのために最後の勝利を目指して全力を尽くす。僕たちには、失うものは何もない」
●アドリアン・フルモー(#16 ヒョンデi20 Nラリー1)
「僕は新しいイベントが本当に好きだ。なぜなら、すべてのクルーが同じレベルの経験を持って参加するからだ」
「こうしたラリーではペースノートが極めて重要になる。砂や岩が多く、非常に荒れたイベントになると予想しているが、場所によってはかなり高速で路面が柔らかいので、完璧なセッティングを見つけるのは難しいかもしれないね」
「車内は暑くなりそうだし、タイヤもうまく管理する必要がある。それでも僕はシーズンを最高の形で終えたいと思っている。パフォーマンスの面では良い成果を上げてきたが、それが結果に反映されていないからね。シーズン最終戦で初勝利を収めることができたら、本当に素晴らしいだろう」
■TOYOTA GAZOO Racing WRT
●エルフィン・エバンス(#33 トヨタGRヤリス・ラリー1)
「サウジアラビアに向けてはまだ何も決まっておらず、チャンピオンシップの行方はまったくの白紙状態で臨むという認識だ」
「セブ(セバスチャン・オジエ)は手強い相手で、非常に高いレベルのパフォーマンスを発揮している。また、カッレ(・ロバンペラ)も現段階ではまだタイトル獲得の可能性を残している。きっと厳しい戦いになると思うが、もちろん全力を尽くす」
「このイベントがどうなるかは誰にも予想がつかないはずだ。どのドライバーも経験がなく、多くのステージが完全に新しいので、基本的に全員にとって白紙の状態だ。現地を訪れたらできる限りベストな戦いをすることに集中し、あとは結果を待つのみだろう」
●カッレ・ロバンペラ(#69 トヨタGRヤリス・ラリー1)
「自分たちの力だけでチャンピオンを決めることはほぼ不可能な状況だが、まだ可能性は残っているので、サウジアラビアでの展開を見守りたい」
「ステージは岩が多く非常にトリッキーに見えるため、どのドライバーにも何かが起こる可能性はかなり高いと思う。自分たちにできるのは良い仕事をし、良い結果を得ることに集中するだけだろう」
「その上で、他のドライバーが良くない結果に終わることを待つしかないことも事実だ。どのようなことがあっても、このチャプターを良い形で締めくくるために、良い戦いをしたい」
●セバスチャン・オジエ(#17 トヨタGRヤリス・ラリー1)
「ラリージャパンではエルフィンと激しく優勝を争ったが、最終戦を前にチャンピオンシップの差を縮められたのは良かった。今シーズンは調子が良く、パフォーマンスにも満足しており、このクルマの運転を本当に楽しんでいるんだ」
「今回のまったく新しいラリーが、チャンピオンシップにとって素晴らしく、そしてエキサイティングなフィナーレになることを願っているよ。どのような特徴のステージなのか、実際に経験している選手は皆無に等しいので、多くのサプライズが生まれる可能性がある」
「岩だらけの荒れたセクションもあるようだが、全ドライバーにとって公平なコンディションであること、そしてベストなドライバーが勝利を掴むことを願う」
●勝田貴元(#18 トヨタGRヤリス・ラリー1)
「初めて挑戦するラリー・サウジアラビアが楽しみです。誰も出場したことがないラリーですが、入手した情報によると非常に過酷なステージになりそうです」
「一部はケニアに似た特徴を持っているようなので、ケニアと同じようなアプローチが必要かもしれません。過去そのようなアプローチは自分に合っていましたが、実際に現地の状況を見て判断する必要があります」
「来年に繋げられるような、ポジティブなフィーリングで今年を締めくくりたいので、いつも通りベストを尽くします」
■TGR-WRT2
●サミ・パヤリ(#5 トヨタGRヤリス・ラリー1)
「ラリージャパンでは初めて表彰台を獲得することができて、本当に嬉しかった。ラリー1で臨んだ最初のフルシーズンで、自分たちが正しい方向に進んでいることを証明できたと思う」
「そして今、完全に新しいイベントであるサウジアラビアで一年が終わろうとしている。何が起きるかは誰にもわからないが、それでも楽しみだよ」
「堅実なアプローチが最終的に良い結果につながった、ケニアと似た部分があるかもしれない。しかし、どのようなチャレンジが待ち受けているかは、実際に走るまで分からない」
[オートスポーツweb 2025年11月25日]