2025年F1第22戦ラスベガスGP フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン) ラスベガス・グランプリは、リバティ・メディアとステファノ・ドメニカリにとってもっとも大切な大会のようだが、ドライバーやチーム関係者には人気がないようだ。
その理由は、路面が驚くほどグリップを欠いていること、過去3回のグランプリでつねに気温が非常に低かったこと、そしてカタールGPのわずか1週間前というスケジュールであること。ドライバーは厳しく批判しており、なかでもベテランのフェルナンド・アロンソはレース終了後に声高に非難した。
アロンソは「このサーキットは高速なので楽しい」と認めつつも、「路面の状態はF1の基準ではないと思う」とすぐにつけ加えた。
「正直、とても滑りやすくてタイヤを温めることができないし、そもそものグリップもまったくない。路面は非常にバンピーで、安全面はレースが可能かどうかの瀬戸際だ」
「今後、ラスベガスGPがさらに数年間続くことになるのかどうか、FIAと話し合う必要も感じている」
「次のカタールGPも含めたスケジュールも僕たちにとって厳しい。2週間前にいたヨーロッパやブラジルから、総合的にどれだけの距離を移動して、どれだけの時差があるだろうか」
「さらにはカタールに直行し、17時間の飛行機での移動と時差もある。世界中のどのスポーツでも、それを受け入れているとは思えない。つまり、コースレイアウトは問題ない、ただし路面の状態とカレンダーのタイミングはギリギリだ」
そして考えた末にアロンソは、いつもの辛辣な口調で「このタイミングでレースをしているのは、ラスベガスは今が一番閑散とした週末だからだと聞いた気がするが、そのように物事を進めることはできない。であれば、閑散期の2月にモナコに行くことと同じことだ。まずはスポーツとして考えなければならないことがいくつかあるんじゃないか」と付け加えた。
若い世代もアロンソの言葉に同調しており、ストリートサーキットを得意とするオリバー・ベアマンは次のように語った。「路面のグリップがもっと高ければ、このサーキットはもっとよくなる。とくにこの気温もそうだ。より暖かければ影響はずっと少なく感じると思う。ウォールがこれほど近く、高速コーナーがものすごく多いので、リスクはその分高まる。コースの舗装をやり直す余裕があると思うし、実際に悪い考えではないと思うよ」
この件は既にGPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)に持ち込まれており、理事のカルロス・サインツは「ステファノには意見を伝えている」と述べている。
「このレースはブラジルと連戦にするべきだ。少なくともヨーロッパに戻ってヨーロッパのタイムゾーンに慣れ、またここに戻ってくる必要がなくなるからだ。ラスベガスに直行してラスベガスでレースをし、1週間を挟んで最後に中東のダブルヘッダーで終わることができる」
「その方が理想的なスケジュールが組めるだろう。ラスベガス、カタール、アブダビのトリプルヘッダーが2年連続で行われるというのは、誰にとってもよいことではないと思うよ」
しかしドメニカリはドライバーたちの批判には触れず、ラスベガスGPの経済的利益に焦点を当てて次のように開催意義を説明していた。
「それほど昔ではないが、アメリカではレースがひとつしかなかった。今では3つあり、すべてが独自の特徴を持ち、急速に成長している。我々は、ラスベガスの人々にもたらすことができるプラスの影響と価値、つまり昨年は9億3400万ドル(約1458億4000万円)、2023年には15億ドル(約2341億1400万円)という莫大な経済的利益を示さなければならないことを理解していた」
「我々は常設のオフィスを構え、最近はグランプリプラザをオープンした。また、素晴らしいパートナーや関係当局と非常に良好な関係を築いている。これにより、地域社会に利益をもたらす質の高いグランプリを開催できる」
[オートスポーツweb 2025年11月28日]